みんなの日本語(初級1)第40課の重要ポイントについて解説します。
「~か」「~かどうか」
導入文型の1.と2.は次の形です。
- JL107便は 何時に 到着するか、調べてください。
- 台風9号は 東京へ 来るかどうか、まだわかりません。
これらは、従属節として疑問文が埋め込まれた表現です。38課では形式名詞「の」によって名詞化した節を主文に埋め込む表現を学習しました。そこからの類推で理解させてはどうでしょう?以下のように導入しましょう。
「~の(こと)」で名詞化した節の埋め込み
「佐藤さんは明日来ます」という文を従属節にします。
「来ます」は普通形にして「来る」、名詞化の「の」をつけます。(この文では「こと」でも名詞化できます。)
「~の(こと)」による名詞化文との比較、類推から「~か」「~かどうか」の埋め込み文を導入してみる。
疑問文「来ますか?」を埋め込み
「佐藤さんは明日来ますか?」という疑問文を従属節にします。
「来ますか」は普通形にして「来るか」、疑問文の場合は名詞化の「の、こと」を付ける必要はありません。また口語では「を」省略することが多いです。
選択疑問文「来ますか、来ませんか?」を埋め込み
「佐藤さんは明日来ますか、それとも来ませんか?」のような選択疑問文を従属節にします。
「来ますか(それとも)来ませんか」は先ほどと同様に普通形にして「来るか来ないか」にします。「の、こと」をつけない、口語で「を」が省力されやすいのも同じです。
さらに一段「来るか来ないか」が「~かどうか」に簡略化されて「来るかどうか」となります。
「~てみる」
「~てみる」については、文型3.と例文6.を比較しつつ導入するのがよいと思います。
- 【文型3】この服を着てみてもいいですか。
- 【例文6】ぜひ一度 行ってみたいです。
【文型3型】
もとは「動詞て形+見る」、「動作をして観察する」ということから「Ⅰ.ある行為を試しにやる」という意味になります。「見る」は文法化していて「みる」と表記します。
【例文6型】
「~てみたい」の形になると「Ⅱ.控えめな願望」を表します。
Ⅰ.ある行為を試しにやる「~てみる」
- ①私が作ったケーキです。食べてみてください。
- ②この服を着てみてもいいですか。
「試しに」というニュアンスがあるので、以下の④は間違いになります。
- ③ 私が作ったケーキです。ちょっと食べてみてください。
- ④ ✕ 私が作ったケーキです。たくさん食べてみてください。
- ⑤ 私が作った料理です。ちょっと食べてください。
- ⑥ 私が作った料理です。たくさん食べてください。
Ⅱ.控えめな表現「~てみたい」
- ピカソの「ゲルニカ」を見たい。
- ピカソの「ゲルニカ」を見てみたいものだ。
- 一度、アメリカに行きたい。
- 一度、アメリカに行ってみたい。
この場合は「試しに」「少し」ということよりも、「できれば希望がかなうといいのだが…」という控えめな願望表現になります。
以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)などを参考にさせていただきました。
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