みんなの日本語(初級1)第29課 教案Tips

みんなの日本語初級第29課

みんなの日本語(初級1)第29課の重要ポイントについて解説します。

自動詞と他動詞

みんなの日本語第29課は「自動詞・他動詞」が重要ポイントとされています。

他動詞自動詞
窓を開けます。窓が開きます。窓が開いています。
電気をつけます。電気がつきます。電気がついています。
お皿を割ります。お皿が割れます。お皿が割れています。
ボタンを外します。ボタンが外れます。ボタンが外れています。
シャツを汚します。シャツが汚れます。シャツが汚れています。
袋を破ります。袋が破れます。袋が破れています。
車を止めます。車が止まります。車が止まっています。
枝を折ります。枝が折れます。枝が折れています。
動作 状態
ここでは、最初から自動詞、他動詞という言葉を使わずに、「を格+他動詞」で「動作」、「が格+自動詞(ています)」で「状態」を表すということを、まず多くの例によって示すことが大切かもしれません。

自動詞、他動詞のセット

 第29課では、自動詞/他動詞ペアのある動詞を主に扱いますが、教える側は「無対自動詞」「無対他動詞」「自他動詞」についてもよく認識した上で授業にのぞみましょう。

自動詞と他動詞 まとめ

自動詞と他動詞 まとめ

対比の「は」「それは、故障していますから、あちらのを使ってください。」

  • この袋 破れています。
  • そのコピー機 故障しています。
  • あの木 折れています。

 これらの「は」は「~に関して言えば」主題化の「は」であると同時に「対比」の「は」でもあります。実は対比の「は」は第27課例文に初めに出てきました。その時は以下のように2つを対比する文で提示されています。

  • 「このマンションでペットが飼えますか」
  • 「小さい鳥や魚飼えますが、犬や猫飼えません。」

 対比の「は」は必ずしも2つ以上に言及しなくてもよいということですね。

~てしまいます、~てしまいました

 「完了」の意味を表す「~てしまいます、~てしまいました」を導入します。

  • 宿題は、食事の前にやってしまった。
  • 私はまず机の上を片付けてしまってから、宿題をやります。

「無意志動詞+てしまいました」

 「無意志動詞+てしまいました」は「後悔」の意味が入ることが多くなることに注意。

  • 高価な花瓶を落として割ってしまった。
  • 財布を落としてしまいました。
  • 試験に失敗してしまいました。

新宿駅の事務所に行ってください

「に+行きます、来ます、帰ります」、着点を表す「に」に関しては実はここが初出になります。(これまでは「へ+行きます、来ます、帰ります」)

「に+行く」「へ+行く」のニュアンスの差も解説しておくといいでしょう

方向を表す「へ」と到達点を表す「に」

「へ」は方向を表し、「に」は到着点を示すという原義があるため、「に」の方が着点を明確化する効果があります。

「上海へ行く」と「上海に行く」

「上海へ行く」と「上海に行く」

余裕があれば、「中継点」「限界点」の「まで」との比較も!

到達点の「に」と中継点の「まで」

「に」と「まで」はともに着点に意識が向きますが、「まで」はときに着点が最終目的地ではなく中継点(途中)であることを暗示します。

  • 上海まで列車で行って、飛行機で日本へ行った。
列車で上海まで行って飛行機で日本へ

列車で上海まで行って飛行機で日本へ

「まで」の用法

「まで」は中継点とは限りません。

  • 今日は40ページまで復習した。
  • 行けるところまで行こう。
  • 20世紀、人類は月まで到達した。

これらの例は「まで」が目標点というよりとりあえずの「限界点」を示している、とも言えますね。そのような観点で「列車で上海まで行って、そこから飛行機で行く」という例にしても、「列車では上海までが限界」という「限界点」を示しているという見方もできます。

限界点の「まで」

人類、月に立つ。

人類、月に立つ。

以上の観点で上の3つの文を比較すると、

  • 20世紀、人類は月へ行った。しかし着いたところは別の星だった。
  • 20世紀、人類は月に行った。そして月の石を拾って帰ってきた。
  • 20世紀、人類は月まで行った。21世紀は火星まで行くだろう。

という文のつながりが考えられると思います。

まとめ

 以上、まとめると

「へ」方向「に」到達点「まで」限界点、中継点

「へ」方向「に」到達点「まで」限界点、中継点

以上は、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック スリーエーネットワーク社刊、などを参考にさせていただきました。

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「付帯状況」の表現法の一つ「~ながら」、「~ています」の「習慣」用法、複数動作を並列に言う「~し、~し」などを学びます。第26課「~んです」、第27課「可能動詞」と、ヤマ場的課を越えて第28、29課は、いわば小ネタ的な課となります。後半部分、ここまでを復習しながら進めましょう。

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