2種の「そうです」―『みんなの日本語』43課と47課の「そうです」比較
・「このケーキはおいしそうです」
・「このケーキはおいしいそうです」。
たった一文字の違いですが、二つの文は意味が大きく異なります。前者はケーキを見て自分が判断したこと、後者は誰かから聞いた情報を伝えたものです。『みんなの日本語』では、43課で様態・兆候の「そうです」、47課で伝聞の「そうです」を学習します。

1.43課の「そうです」―見た様子から判断する
43課の「そうです」は、目の前の様子や状況を手がかりに、自分が判断したことを表す言い方です。大きく分けると、①現在の様子・状態を判断する用法と②これから起こることを予想する用法があります。
① 現在の様子・状態を判断する
例えば、おいしそうなケーキが目の前にあります。しかし、まだ食べていないので本当においしいかどうかはわかりません。このとき、次のように言います。
・このケーキはおいしそうです。
・あの人は忙しそうです。
・この問題は難しそうです。
・彼女は元気そうです。
・このかばんは重そうです。
いずれも、自分が見た印象を表しています。大切なのは、実際にそうなのかどうかは、まだわからないという点です。例えば「あの人は忙しいです」は忙しいことを事実として述べる表現ですが、「あの人は忙しそうです」は、その人の様子から忙しいと判断した表現です。

② これから起こることを予想する
43課では、動詞に接続する「そうです」も学習します。例えば、空に黒い雲が広がってきたとします。まだ雨は降っていません。しかし、空の様子を見て「もうすぐ雨が降る」と予想できます。
・もうすぐ雨が降りそうです。
・赤ちゃんが泣きそうです。
・コップが落ちそうです。
・桜がもうすぐ咲きそうです。
・ガソリンがなくなりそうです。
これらは、すでに起こっている事実ではなく、現在の状況から判断した予想です。特に「コップが落ちそうです」「赤ちゃんが泣きそうです」のように、何かが起こる直前の状態を表します。

③ 43課「そうです」の接続
| 品詞 | 接続 | 例 |
|---|---|---|
| 動詞 | ます形から「ます」を取る | 降ります → 降りそうです |
| イ形容詞 | 「い」を取る | おいしい → おいしそうです |
| ナ形容詞 | 語幹につける | 元気 → 元気そうです |
なお、「いい」は「よさそうです」となるので注意しましょう。ただ、「かわいそうです」を「かわいく見える」という意味で使うことはできません。「かわいそう」は別の意味を持つ語ですから注意しましょう。
2.47課の「そうです」―聞いた情報を伝える
次に47課の「そうです」を見てみましょう。こちらは、自分が見た様子から判断するのではなく、人から聞いた話やニュースなどの情報を、ほかの人に伝えるための表現です。
・天気予報によると、明日は雨が降るそうです。
・友達の話では、あの店の料理はおいしいそうです。
・ニュースによると、来月から電車の料金が上がるそうです。
・田中さんは来週、東京へ行くそうです。
47課の「そうです」は、普通形に接続します。動詞なら「降るそうです」、イ形容詞なら「おいしいそうです」、ナ形容詞なら「元気だそうです」、名詞なら「学生だそうです」という形になります。
3.43課と47課を比較してみよう
二つの用法を、同じ場面で比べると違いがよくわかります。
| 43課:様態・兆候 | 47課:伝聞 |
|---|---|
| 雨が降りそうです。 | 雨が降るそうです。 |
| おいしそうです。 | おいしいそうです。 |
| 元気そうです。 | 元気だそうです。 |
43課は、現在の様子を手がかりにした自分の判断です。47課は、ほかの人や情報源から得た情報の伝達です。「雨が降りそうです」と「雨が降るそうです」は、音が似ていますが、話し手がどのようにその情報を得たのかが違います。

5.まとめ
『みんなの日本語』43課と47課に登場する二つの「そうです」は、形がよく似ていますが、役割は異なります。
43課の「そうです」は、目の前の様子や状況から判断する表現です。「おいしそうです」「雨が降りそうです」などが代表的な例です。
47課の「そうです」は、人から聞いたことやニュースなどで得た情報を伝える表現です。「おいしいそうです」「雨が降るそうです」などがその例です。
以上です。





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