原因を示す「~ばかりに」「あまり」について考察します。
『田中正造』上笙一郎 から
それでもなお、正造は諦めなかった。そして、運動に熱中するあまり、前よりもいっそう身なりを構うゆとりがなくなって、あるときなど、初めて立ち寄った宿屋で、
「じいさん、うちでは泊められないよ。」
と、断られたことさえあったという。
『田中正造』上笙一郎
「~あまり」は「~」の程度が度を越えていたため、そのために生じた悪い結果を示すような場合に使います。
原因を示す「あまり」と「ばかり」
・忙しさのあまり、身なりを構うゆとりすらなくなってしまった。
・彼女は有能なのだが、他人に厳しすぎるばかりに会社では疎まれている。
・彼女は有能なのだが、他人に厳しすぎるばかりに会社では疎まれている。
「~あまり」は「~」の程度が極端だという原因により、その後に起こる悪い結果、「~ばかりに」は「~」だけが原因で、悪い結果になったことを表します。
多義語「あまり」と「ばかり」の意味領域の整理
「あまり」「ばかり」はさまざまな用法がありますからその意味の変遷を整理します。意味がどう変わっていったかを理解し、使い方を覚えましょう。
「あまり」の意味領域
「あまり」(=余り)は「必要な分を除いてままだある分」、「過剰」の度合いが大きい場合から派生して「程度の甚だしいこと」(=あまりに気の毒)を表すようになり、そこから「原因」(=喜びのあまり泣き出す)を表す用法ができました。

「あまり」の意味変遷
〔参考〕「余る」「残る」の違いについては → こちら
「ばかり」の意味領域
「ばかり」の原義は「半分ばかり残る」(=だいたい)。これが「雨ばかり降る」(=それに限る)の意味になり、そこから「それだけが原因」という本記事の意味が生まれたようです。

「ばかり」の意味変遷
「ばかり」の用法については過去にもまとめています。 → こちら参照
問題
問題です。正しいと思われる方を選んでください。
- 定期券を忘れた( ばかりに・あまり )切符代が2000円もかかってしまった。
- 子どもの将来を心配する( ばかりに・あまり )塾にまでついていく親がいる。
- 彼は中国語ができる( ばかりに・あまり )中国工場の責任者を命じられた。
- 彼は研究に熱心な( ばかりに・あまり )給料もすべて研究費に使ってしまう。
- 彼女は優秀なのだが、人付き合いが悪い( ばかりに・ あまり )出世できない。
- 彼女は忙しさの( ばかりに・あまり )、夫の誕生日を忘れてしまった。
- 英語ができない( ばかりに ・あまり )、出世が遅れてしまった。
1.ばかりに、2.あまり、3.ばかりに、4.あまり、5.ばかりに、6.あまり、7.ばかりに
以上、日本語能力試験対策N2文法総まとめ(三修社)などを中心にまとめました。




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