「噴飯もの」は「腹が立つ」意味になってしまった?

噴飯もの

「噴飯もの」?

「彼の発言は噴飯ものだ。」

この文を見て、どんな意味だと思いますか。「腹が立つ」「けしからん」という意味だと思った人も多いのではないでしょうか。ところが、「噴飯もの」の本来の意味は、「おかしくてたまらないこと」です。
 文化庁『令和7年度 国語に関する世論調査』では、なんと55.1%の人が「腹立たしくて仕方ないこと」を選び、本来の意味である「おかしくてたまらないこと」は34.1%でした。

①「噴飯もの」意味比較

文化庁の調査では「腹が立つ」が多数派

文化庁の調査結果は次のとおりです。

  • 腹立たしくて仕方ないこと …… 55.1%
  • おかしくてたまらないこと …… 34.1%
  • 両方 …… 5.6%
    つまり、現在では「腹が立つ」という意味で受け取る人のほうが多いのです。

②「噴飯もの」の意味は?

「噴飯」は、本当に飯を噴き出すこと

「噴飯」の「噴」は、噴き出すという意味です。つまり「噴飯」とは、あまりのおかしさに、食べていた飯を思わず噴き出してしまうような様子。
そこから、
噴飯もの = おかしくてたまらないもの
という意味になりました。

③なぜ「噴飯」

なぜ「腹が立つ」に変わった?

ここは面白いところです。「彼の発言は噴飯ものだ」のような文では、相手の発言を強く批判していることが多くあります。
すると聞き手は、
「ひどい発言だ」 → 「腹が立つ発言だ」
と意味を受け取りやすくなります。本来は「ばかばかしくて笑ってしまう」という意味でも、実際の使用場面では批判的な気持ちが強いため、「怒り」の意味に引っ張られた、あるいは「憤慨」「憤懣やるかたない」といった怒りを示す言葉からの連想が働いてしまい、意味のずれを生じたと考えられます。

④噴飯の意味変化

これは誤用? それとも意味の変化?

辞書的には、今でも本来の意味は「おかしくてたまらない」です。しかし、文化庁の調査では「腹が立つ」という理解がすでに過半数。しかも添付資料では、すべての年齢層で「腹立たしくて仕方ないこと」を選んだ割合が、本来の意味を10ポイント以上上回ったとされています。ここまで広がると、単に「間違い」と切り捨てるだけでは、今の日本語の実態を説明しきれません。

「噴飯もの」は、まさに意味が変わりつつある言葉の一例と言えそうです。

⑤「噴飯もの」まとめ

まとめ

「噴飯もの」の本来の意味は、「おかしくてたまらないこと」です。ところが、文化庁の令和7年度「国語に関する世論調査」では、55.1%が「腹立たしくて仕方ないこと」と回答しました。
今では、本来の意味よりも新しい受け取り方のほうが多数派になっています。
「噴飯もの」は、『笑う言葉』から『怒る言葉』へ変わりつつあるのかもしれません。

以上です。

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