「できる」
日本語で「できる」を表す方法には、大きく分けて二つあります。
この教室ではWi-Fiを使うことができます。
私は100メートル泳げます。
どちらも「できる」という意味ですが、少し使われ方が違います。

原則として
可能形は、その人が持っている技能・能力を表すときによく使われます。
一方、「~ことができる」は、場所・制度・設備・時間などの状況や条件によって可能であることを説明するときによく使われます。
私は中国語が話せます。
我会说中文。
ここではクレジットカードで支払うことができます。
这里可以用信用卡付款。
中国語が分かる人なら、この違いは「会」と「可以」の違いを思い浮かべると理解しやすいでしょう。
中国語の「会・能・可以」と比べてみよう
中国語では「できる」に相当する表現として、主に会・能・可以があります。これを日本語の可能表現と比べると、「可能形」と「~ことができる」の性格がかなり見えやすくなります。

「可能形=能力」「~ことができる=状況可能」ではない
冒頭の例のように「可能形は技能・能力」「~ことができるは状況可能」ということではありません。実際には、どちらも両方の意味を表すことができます。
今日は時間があるので、ゆっくり話せます。
これは可能形ですが、「話す能力がある」という意味ではありません。今日は時間があるという状況による可能です。
反対に、
私は中国語を話すことができます。
も正しい日本語です。これは「~ことができる」を使っていますが、表しているのは技能・能力です。
「よく使われる場面」には違いがある
ポイントは、意味そのものより、どんな場面で使われやすいかです。
可能形――人の能力を直接言うときに自然
日常会話では、技能や能力について話すとき、可能形が非常によく使われます。
中国語が話せます。
車を運転できます。
100メートル泳げます。
納豆が食べられます。
中国語の「会」に近い場面では、特に可能形が自然です。
我会游泳。→ 私は泳げます。
我会开车。→ 車を運転できます。
「~ことができる」――制度・設備・条件の説明に向いている
「~ことができる」は、案内文や説明文などでよく使われます。
このホテルでは無料でWi-Fiを使うことができます。
このカードがあれば、何度でも入場することができます。
この図書館では夜9時まで本を借りることができます。
「誰かにその能力がある」というより、その条件では可能であるという説明です。中国語なら「能」や「可以」が使われる場面と重なることが多くなります。
「可以」は日本語では二つに分かれる
中国人学習者にとって特に注意したいのが「可以」です。
中国語では、这里可以拍照。と言えますが、日本語では意味によって表現が少し変わります。
許可を表す場合
ここでは写真を撮ってもいいです。
施設・規則上可能であることを説明する場合
ここでは写真を撮ることができます。
意味はかなり近いのですが、
「~てもいい」=許可
「~ことができる」=可能であるという客観的な説明
という違いがあります。
中国語では三つ、日本語とは意味の境界が少し違う
中国語では、非常に大ざっぱに言えば、
会=習得した技能
能=能力・条件
可以=条件・許可
という区別があります。
ところが日本語では、可能形一つでかなり広い範囲を表すことができます。
我会说日语。→ 日本語が話せます。
我今天能去。→ 今日は行けます。
中国語では「会」と「能」を使い分けていますが、日本語ではどちらも可能形です。ここが、中国語と日本語の可能表現の大きな違いの一つです。
まとめ
「~ことができる」と可能形は、基本的にはどちらも「可能」を表します。ただし、典型的な使われ方を見ると、
技能・能力 → 可能形がよく使われる
私は日本語が話せます。
状況・制度・設備などによる可能 → 「~ことができる」がよく使われる
この教室ではWi-Fiを使うことができます。
と考えると分かりやすいでしょう。ただし、これは絶対的なルールではありません。可能形も「~ことができる」も、技能・能力と状況可能の両方を表すことができます。
中国語の「会・能・可以」と比較すると、日本語の可能表現は、中国語とは少し違った形で意味の範囲が重なっていることがよく分かります。
以上です。




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