「にげる(逃げる)」と「のがれる(逃れる)」
「逃げる」と「逃れる」は、どちらも「危険なもの・嫌なものから離れる」という意味を持つ言葉です。
たとえば、次のように言うことができます。
・犯人が逃げた。
・犯人が追跡を逃れた。
どちらも「捕まらないようにする」という点では似ています。しかし、焦点は少し違います。

逃げる=危険・相手・場所から外へ離れる
逃れる=逃げて離れる意味もあるが、危険・責任・災難などを避けて免れる意味でも使う
一言で言えば、「逃げる」は離脱、「逃れる」は離脱+回避・免除です。
まず結論
| 言葉 | 中心イメージ | ポイント |
|---|---|---|
| 逃げる | 外へ離れる | 危険・相手・場所から離脱する |
| 逃れる | 避けて免れる | 被害・責任・災難などを受けずにすむ |
ただし、「逃れる」には「逃げる」に近い意味もあります。ここがこの二語の少しややこしいところです。
「逃れる」には二つの意味がある
「逃れる」は、大きく二つに分けて考えるとわかりやすくなります。
| 種類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 逃れる① | 危険な場所・状況から逃げて離れる | 戦火を逃れる/国外へ逃れる |
| 逃れる② | 責任・災難・危険などを避けて免れる | 責任を逃れる/危険を逃れる |
つまり、「逃れる」は単に「逃げる」の硬い言い方ではありません。
「逃げてその場を離れる」場合もありますが、それ以上に、悪い結果を受けずにすむという意味でよく使われます。
「逃げる」は、危険や相手から離れる
「逃げる」は、危険なもの、怖い相手、嫌な場所などから離れることを表します。
・犬から逃げる。
・犯人が逃げた。
・火事の建物から逃げる。
・嫌なことから逃げる。
「逃げる」は、実際に走って離れる場合にも使いますし、心理的に避ける場合にも使います。
逃げるは、「そこから外へ出る」「相手から距離を取る」という動きが見えやすい言葉です。
「逃れる」は、逃げて離れる意味でも使う
「逃れる」は、「逃げる」と同じように、危険な場所や状況から離れる意味でも使います。
・戦火を逃れて、隣国へ移った。
・村人たちは山へ逃れた。
・迫害を逃れて国外に出た。
この場合の「逃れる」は、「逃げる」にかなり近い意味です。
ただし、「逃げる」よりも少し硬く、文章語的です。また、単に走って逃げるというより、危険な状況から抜け出すという感じが強くなります。
| 文 | 聞こえ方 |
|---|---|
| 火事から逃げた。 | 火事の場所から外へ出た感じ |
| 火事を逃れた。 | 火事の被害を受けずにすんだ感じ |
「逃れる」は、避けて免れる意味でよく使う
「逃れる」の大きな特徴は、責任・災難・危険・追及などを避けて、悪い結果を受けずにすむという意味で使えることです。
・責任を逃れる。
・危険を逃れる。
・災難を逃れる。
・非難を逃れる。
・追及を逃れる。
この場合、「走って逃げる」という動作は必ずしもありません。
大事なのは、危険・責任・被害などを受けずにすんだという結果です。
逃れるは、「悪いことに巻き込まれずにすむ」「負担を受けずにすむ」という意味でよく使われます。
「責任から逃げる」と「責任を逃れる」
「責任」と一緒に使うと、違いがかなりはっきりします。
| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 責任から逃げる | 責任を負いたくなくて避ける | 行動や態度への非難が出やすい |
| 責任を逃れる | 責任を負わずにすむ | 結果として免れる感じ。やや硬い |
「責任から逃げる」は、責任を引き受けようとしない態度に注目しています。
一方、「責任を逃れる」は、責任を負わずにすんだという結果に注目しています。法律、政治、会社、報道など、少し硬い場面でもよく使われます。
「犬から逃げる」と「危険を逃れる」
日常的な例で比べると、さらにわかりやすくなります。
| 文 | 中心イメージ | ポイント |
|---|---|---|
| 犬から逃げる | 犬から離れる | 動作が見える。走って離れる感じ |
| 危険を逃れる | 危険を避ける | 危険な目にあわずにすむ感じ |
「逃げる」は、相手から離れる動きが中心です。「逃れる」は、被害や負担を受けなかったという結果が中心です。
「追跡から逃げる」と「追跡を逃れる」
「追跡」と一緒に使う場合も、違いが見えます。
| 表現 | 意味 | 自然さ |
|---|---|---|
| 追跡から逃げる | 追ってくる相手から逃げる | 意味は通じるが、やや説明的 |
| 追跡を逃れる | 追跡されても捕まらずにすむ | 自然。文章語・報道で使いやすい |
「追跡を逃れる」は、追われたけれど捕まらなかった、という結果を表します。
このように、「逃れる」は「Aを逃れる」という形で、Aから受けるはずだった被害・圧力・責任などを避ける時に使いやすい言葉です。
助詞の違い:「から逃げる」「を逃れる」
助詞にも注意しましょう。
| 形 | 例 | イメージ |
|---|---|---|
| 〜から逃げる | 犬から逃げる/現実から逃げる | そこから離れる |
| 〜を逃れる | 危険を逃れる/責任を逃れる | それを受けずにすむ |
「逃げる」は「〜から」と相性がよく、「逃れる」は「〜を」と相性がよいです。
もちろん、「国外へ逃れる」「山へ逃れる」のように方向を表す表現もありますが、学習者にはまず、「〜から逃げる」「〜を逃れる」の形で覚えさせると整理しやすいでしょう。
「逃げる」は日常的、「逃れる」はやや硬い
文体の違いもあります。
| 言葉 | 文体 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 逃げる | 日常的 | 会話、日常説明、具体的な行動 |
| 逃れる | やや硬い | 文章語、報道、説明、比喩的表現 |
日常会話では「逃げる」の方がよく使われます。
一方、「逃れる」は「責任を逃れる」「危機を逃れる」「戦火を逃れる」のように、文章やニュース、説明文でよく使われます。
例文で確認
| 例文 | 自然な言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 犬に追いかけられて__。 | 逃げた | 相手から離れる動作が中心 |
| 事故の危険を__。 | 逃れた | 危険な目にあわずにすんだ |
| 犯人は警察から__。 | 逃げた | 警察から離れる動作 |
| 犯人は追跡を__。 | 逃れた | 追跡されても捕まらなかった結果 |
| 彼はいつも嫌なことから__。 | 逃げる | 向き合わずに避ける態度 |
| 彼は責任を__。 | 逃れた | 責任を負わずにすんだ |
まとめ

「逃げる」と「逃れる」は、どちらも危険や嫌なものから離れる意味を持っています。
ただし、違いは次のように整理できます。
逃げる=危険・相手・場所から離れる
逃れる=逃げて離れる意味もあるが、危険・責任・災難などを避けて免れる意味でも使う
一言でいうと、「逃げる」は離脱、「逃れる」は離脱+回避・免除
特に大事なのは、「逃れる」には二つの使い方があることです。
| 逃れるの種類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 逃れる① | 逃げて離れる | 戦火を逃れる |
| 逃れる② | 避けて免れる | 責任を逃れる |
覚え方としては、「逃げる」はそこから外へ出る、「逃れる」は悪い結果を受けずにすむと考えるとよいでしょう。
以上です。



コメント