「~にかこつけて」と「~をいいことに」
「~にかこつけて」と「~をいいことに」は、どちらも“何かを利用して、自分に都合のいいことをする”ときに使われる表現です。
ただし、利用するものが違います。
「~をいいことに」=好都合な状況・条件を利用する
まずは、典型的な例文を1つずつ見てみましょう。
① ~にかこつけて
出張にかこつけて、京都観光までしてきた。
② ~をいいことに
親が留守なのをいいことに、子どもたちは夜遅くまでゲームをしていた。
後者は「親が留守だ」という好都合な状況を利用しています。

まず結論|「名目」か「状況」かを見ればOK
| 表現 | 意味 | 利用するもの | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| ~にかこつけて | ある名目・理由を利用して別のことをする | 行事、出張、祝い、見舞い など | やや批判的。「ついでに」「口実に」の感じ |
| ~をいいことに | 好都合な状況を利用して勝手なことをする | 留守、不在、立場の弱さ、忙しさ、親切さ など | 批判の気持ちが強い。「図に乗って」の感じ |
「好都合な状況」を使うなら「~をいいことに」です。
「~にかこつけて」の意味と使い方
「~にかこつけて」は、ある行事・出来事・理由などを名目にして、実際には別のことをするときに使います。
「お祝いだから」「出張だから」「見舞いだから」など、表向きにはもっともらしい理由がありますが、話し手はそこに“本当の目的は別にある”という気持ちを込めています。
接続
N+にかこつけて
例文
- 出張にかこつけて、昔の友人に会ってきた。
- 子どもの誕生日にかこつけて、大人まで高級ケーキを楽しんだ。
- お見舞いにかこつけて、近くの温泉にも立ち寄った。
- 歓迎会にかこつけて、上司は毎晩のように飲みに行っている。
「~をいいことに」の意味と使い方
「~をいいことに」は、自分にとって都合のいい状況・条件を利用して、勝手なことをするときに使います。
こちらは、単なる利用ではなく、“それをいい機会だと思って調子に乗る”ような批判の気持ちが強いのが特徴です。
接続
普通形+の/こと+をいいことに
※ 実際には 「~のをいいことに」 の形がとてもよく使われます。
例文
- 親が留守なのをいいことに、子どもたちは夜遅くまで騒いでいた。
- 先生がやさしいのをいいことに、学生たちは宿題を出さなくなった。
- 相手が反論できないのをいいことに、一方的に責め立てるのはよくない。
- 店が忙しいのをいいことに、その客は無理な要求ばかりしていた。
「~にかこつけて」と「~をいいことに」の違い
1.利用するものが違う
| 表現 | 利用するもの | 例 |
|---|---|---|
| ~にかこつけて | 名目・理由・イベント | 出張、祝い、見舞い、会議 など |
| ~をいいことに | 好都合な状況・条件 | 留守、忙しさ、弱い立場、やさしさ など |
たとえば、次の2文を比べてみましょう。
出張にかこつけて、京都観光までしてきた。
上司が出張中なのをいいことに、部下たちは長い休憩を取っていた。
前者は「出張」という名目を利用しています。後者は「上司がいない」という状況を利用しています。
2.批判の強さが少し違う
どちらもややマイナスの意味を持ちますが、一般に「~をいいことに」のほうが非難の気持ちが強いです。
- ~にかこつけて:軽い皮肉・あきれ・便乗の感じ
- ~をいいことに:勝手な行動への強い批判・非難
「~をいいことに」は“好都合につけこむ”感じです。
3.言い換えの近さも違う
近い表現で考えると、次のように整理できます。
| 表現 | 近い言い換え |
|---|---|
| ~にかこつけて | ~を口実にして/~を名目にして |
| ~をいいことに | ~につけこんで/~を利用して勝手に |
使い分けのポイント
「~にかこつけて」を使う場面
- 行事やイベントに便乗して別のことをするとき
- もっともらしい理由を前に出すとき
- “ついでに楽しむ・便乗する”感じを出したいとき
「~をいいことに」を使う場面
- 自分に有利な状況を利用して勝手なことをするとき
- 相手の弱さ・不在・やさしさなどにつけこむとき
- その行動を批判したいとき
有利な状況が前にあるなら「~をいいことに」を考えると使い分けやすいです。
よくある間違い
× 「留守にかこつけて」?
「留守」は普通、イベントや名目ではなく状況です。ですから、自然なのは次の言い方です。
○ 親が留守なのをいいことに、勝手に友だちを呼んだ。
× 「誕生日をいいことに」?
「誕生日」は状況というより名目・機会として使われやすいので、自然なのは次の言い方です。
○ 誕生日にかこつけて、少し高いレストランに行った。
類似表現との関係
あわせて覚えておくと便利なのが、次の表現です。
| 表現 | 意味・特徴 |
|---|---|
| ~を口実にして | 表向きの理由を言い訳として使う。 「~にかこつけて」に近い。 |
| ~につけこんで | 相手の弱みや状況を利用する。 「~をいいことに」に近い。 |
| ~を名目に | 表向きの理由・建前を示す。やや硬い。 |
まとめ
~にかこつけて
→ 何かの名目を利用して別のことをする
~をいいことに
→ 自分に都合のいい状況を利用して勝手なことをする
「好都合な状況を利用する」なら「~をいいことに」です。
似ているようで、見ているポイントが違います。文の前半にあるのがイベント・名目なのか、状況・条件なのかを意識すると、かなり使い分けやすくなります。
例文ごと覚えるなら、まずはこの2つを押さえておきましょう。
- 出張にかこつけて、京都観光までしてきた。
- 親が留守なのをいいことに、子どもたちは夜遅くまでゲームをしていた。

以上です。



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