大阪弁入門、次の10語
大阪弁入門の第2回です。初めて読む方は、第1回「大阪弁入門 最初の10語」からどうぞ。前回は「あかん」「ほんま」「知らんけど」などを紹介しました。
今回は、会話をつないだり、気持ちを添えたりするときに役立つ10の言葉を見ていきます。標準語に置き換えるだけでは伝わりにくい「感じ」にも注目してください。
以下の10語です。
| 大阪弁 | 標準語では | 会話のポイント |
|---|---|---|
| ① ええ | いい | 「もうええわ」は「もういい」 |
| ② かまへん | かまわない | 許可や気遣いへの返答 |
| ③ しゃあない | 仕方がない | 受け入れて先へ進む |
| ④ ほんで | それで | 話の続きを促す |
| ⑤ ほな | じゃあ・それでは | 別れ・次の行動へ |
| ⑥ せやから | だから | 理由や結論をつなぐ |
| ⑦ ~ねん | ~んだ | 事情・気持ちを伝える |
| ⑧ ~へん | ~ない | 否定の形 |
| ⑨ ~とる/~てる | ~ている | していること・状態 |
| ⑩ なんぼ | いくら | 値段以外の用法も |
① ええ
「ええ」は「いい」です。「これ、ええやん!」なら、相手の選んだものをほめています。「ここに座ってもええで」なら、「座ってもいいよ」という許可です。
ところが「もうええわ」は、「もういいよ」「もう結構だ」。冗談に対して笑いながら言う場合も、本当にうんざりして言う場合もあります。同じ「ええ」でも、声の調子と場面が大切です。

※標準語の「いい」も、ポジティブな「いいね」、ネガティブな「もう、いいよ」がありますね。
② かまへん
「かまへん」は「かまわない」「大丈夫だよ」という意味です。たとえば
・「ちょっと遅れてもええ?」「かまへんで」
相手が気にしていることを、やわらかく受け入れます。
「気ぃ使わんでええよ。かまへんから」のように、遠慮しなくていいという気遣いにもなります。ただし、遅刻をした人に低い声で「かまへん」と言えば、冷たく聞こえることもあります。
③ しゃあない
「しゃあない」は「仕方がない」。雨で試合が中止になったときの「雨やし、しゃあないな」などです。
「もうどうにもならない」という諦めだけではありません。「しゃあない、次にしよか」と言えば、状況を受け入れて、気持ちを次へ向ける言葉にもなります。

④ ほんで
「ほんで」は「それで」。話を前へ進める言葉です。「昨日、先生に会うてん」「ほんで?」なら、「それで、どうなったの?」と続きを待つ表現です。
自分の話を続けて「ほんで、駅まで一緒に行ってん」とも言えます。短い「ほんで?」は、話し相手への関心を示す相づちにもなります。
⑤ ほな
「ほな」は「じゃあ」「それでは」。「ほな、またな」は別れのあいさつです。「ほな、行こか」なら、次の行動への合図になります。
「ほんで」が話をつなぐのに対して、「ほな」は話を区切って次へ移るときに便利です。

⑥ せやから
「せや」は「そうだ」、「せやから」は「だから」です。「今日は店が休みやねん。せやから、明日にしよ」なら、理由を述べてから結論を伝えています。
「せやから言うたやん!」は「だから言ったじゃない!」。少し強く聞こえることもあります。前回の「せやねん」は「そうなんだ」という返事でしたが、「せやから」は、その先の説明につなぎます。
⑦ ~ねん
「~ねん」は、標準語の説明表現「~んだ」に近い形です。「明日、行くねん」なら「明日、行くんだ」。「今日は忙しいねん」なら「今日は忙しいんだ」。
「知らん」と「知らんねん」も、同じ「知らない」ではありません。たとえば予定を尋ねられたときの「知らんねん」には、「それが、私にも分からないんだ」という事情を相手に伝える感じがあります。ただし、感情は文脈や言い方によって変わります。
「これ、好きやねん」のように、「好きだ」には「やねん」が付きます。何にでも「ねん」をそのまま付ければよいわけではありません。

⑧ ~へん
「~へん」は否定の形です。「行かへん」=行かない、「食べへん」=食べない、「分からへん」=分からない。「明日は行かへんねん」なら、「明日は行かないんだ」と、⑦の「~ねん」とも一緒に使えます。
ただし、標準語の「ない」を全部「へん」に取り替えるだけでは作れません。「しない」は「せえへん」「しいひん」など、「来ない」は「けえへん」「こおへん」など、地域や人による言い方の違いもあります。まずは耳でよく聞く形から覚えましょう。

⑨ ~とる/~てる
「~てる」は「~ている」の縮まった形。「今、何してるん?」なら「今、何をしているの?」です。関西でも日常的に使います。
「~とる」も「~ている」に近く、「何しとるん?」「何しとんねん!」のような言い方があります。ただし、「~とる」の使いやすさや響きは地域・世代・話す人によって違います。大阪の人が全員、いつも「~とる」と言うわけではありません。まずは「何しとんねん」を聞いたときに「何をしているんだ」と分かれば十分です。
⑩ なんぼ
「なんぼ」は値段を尋ねる「いくら」です。「この靴、なんぼ?」なら「この靴、いくら?」。
しかし値段だけではありません。「なんぼ頑張っても、間に合わへん」は「いくら頑張っても、間に合わない」。「なんぼなんでも、それは無理や」は「いくらなんでも、それは無理だ」です。数や程度を強く言う場面でも使われます。
短い会話で、まとめて使ってみよう
A「この靴、なんぼやったん?」
B「安かってん。ええやろ?」
A「ええやん! ほんで、今日どこ行くん?」
B「映画に行くねん。いっしょに行かへん?」
A「ええで。ほな、行こか!」
意味が分かるようになったら、次は「この言葉をどんな気持ちで言っているか」に注目して聞いてみてください。同じ「ええ」でも、ほめ言葉、許可、会話の区切りに変わります。大阪弁は、単語とともに会話の流れを覚えると、ぐっと身近になります。
まとめ
第1回の10語と合わせて20語。テレビやネットで見つけたら、場面ごと覚えて使えるようになるといいですね。
以上です。



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