「けっこう」と「かなり」の違いは?―ほとんど同じ。でも少し違う

「けっこう」「かなり」

「けっこう」「かなり」

 「けっこう」と「かなり」は、どちらも程度が高いことを表す副詞です。たとえば、
・「ここから駅までけっこう時間がかかります」
・「ここから駅までかなり時間がかかります」
どちらも自然な日本語です。意味もほとんど同じです。では、この二つにはまったく違いがないのでしょうか。あえて違いを一言で整理するなら、次のように考えるとわかりやすいでしょう。

 けっこうかなり
傾向主観的・定性的客観的・定量的

もちろん、これは絶対的な使い分けではありません。「けっこう」も客観的な内容に使えますし、「かなり」も自分の感想に使えます。二つの意味は大きく重なっています。そのうえで、どちらが使われやすいかという傾向の違いです。

「けっこう」「かなり」使い分け

1.「けっこう」は話し手の感想・評価に使われやすい

 「けっこう」は、話し手が自分で感じた程度を表すときによく使われます。たとえば、次のような文です。

  • この映画、けっこう面白いよ。
  • この店、けっこういいね。
  • 昨日の旅行、けっこう楽しかった。
  • この料理、けっこう好きです。
  • この服、あなたにけっこう似合っていますよ。
  • あの先生の授業、けっこう分かりやすい。

「面白い」「いい」「楽しい」「好き」「似合う」などは、数字で正確に測るものではありません。話し手の感想や評価が中心です。そのため、このような場面では「けっこう」がとても自然に聞こえます。

「けっこう」の例

2.「かなり」は程度を測って判断する場面に使われやすい

 一方、「かなり」は、ある基準と比べて程度が高いと判断するときに使われやすい言葉です。

  • 大阪から北海道まではかなり時間がかかります。
  • 今日は昨日よりかなり気温が高い。
  • 駅からホテルまではかなり距離があります。
  • この一年で物価がかなり上がりました。
  • この荷物はかなり重いです。
  • この町は十年前と比べて人口がかなり増えました。

時間、温度、距離、価格、重さ、人口などは、本来は数字で測ることができます。そのため「かなり」は、「普通の程度よりずいぶん上だ」と程度を判定している感じが出やすくなります。

「かなり」の例

3.ただし、ほとんどの場面では両方使える

ここが大切です。「けっこう=主観」「かなり=客観」と完全に分けることはできません。たとえば、

○ ここから駅までけっこう時間がかかる。
○ ここから駅までかなり時間がかかる。

○ この映画はけっこう面白い。
○ この映画はかなり面白い。

両方使え意味の差もありません。つまり、二つの言葉の使える範囲は大きく重なっています。

「けっこう」「かなり」重なる部分大

4.ニュアンスの差

ただ、状況によってはニュアンスの差が感じられます。次の二つを比べてみましょう。

① この店、けっこういいね。
② この店、かなりいいね。
 どちらも「いい店だ」という意味です。しかし①の「けっこういいね」は、店に入ってみて「思ったよりいい」「なかなかいい」と感じたような、話し手の感想が前に出やすくなります。②の「かなりいいね」は、店のレベルそのものがかなり高いと評価している感じが強くなります。もう一つ見てみましょう。

① この仕事はけっこう時間がかかる。
② この仕事はかなり時間がかかる。
 ①は「やってみると意外に時間がかかるなあ」という話し手の実感を感じやすい表現です。②は「必要な時間が普通より相当に長い」という、程度そのものを述べている感じが少し強くなります。ただし、この違いは微妙です。実際の会話では、どちらを使ってもほとんど意味が変わらない場合も多くあります。

「けっこういいね」「かなりいいね」

5.「けっこう」には「思ったより」の気持ちも入りやすい

「けっこう」には、ときどき予想していたより程度が高かったというニュアンスが感じられます。たとえば、
「この問題、けっこう難しいね。」と言うと、
「簡単だと思っていたけれど、やってみたら意外に難しい」
という気持ちが含まれることがあります。

「かなり難しい」は、より単純に難しさの程度が高いことを表しやすいでしょう。
・けっこう難しい → 「思ったより難しいなあ」
・かなり難しい → 「難しさの程度が高い」
これも、「けっこう」が話し手の感覚や実感と結びつきやすい理由の一つです。

「実感と程度」

まとめ

 けっこうかなり
基本の意味程度が高い程度が高い
傾向主観的・定性的客観的・定量的
よく合うもの感想・評価・実感時間・距離・量・程度
ニュアンス思ったより~、なかなか~程度が相当に高い
入れ替え多くの場合、どちらも使える

「けっこう」と「かなり」は、意味の重なる部分が非常に大きい言葉です。ですから、「こちらは正しく、こちらは間違い」という使い分けではありません。そのうえで、あえて違いをつかむなら、

けっこう → 主観・感想・定性寄り
かなり → 客観・程度・定量寄り

と考えると、二つの言葉の微妙な違いが見えてきます。

以上です。

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