「日語総合教程」第六冊 第8課「企業内の聖人」星新一 を読みます。
前回(こちら)の続きです。
なんということなく、周囲ではひとつの結論に到達した。祭り上げ。それができれば、いちばんいいのだがなあ。すべて丸くおさまる。そんなムードが発生し、具体的な運動になったりもした。他人を祭り上げるのなら、やましさを感ぜずに工作できる。
そして、それが実現した。彼はこう言い渡された。
「きみは課長に昇進ときまった」
「いえ、わたしはいまの地位でけっこうです。下積みで地味な仕事に励むのが好きなのです」
彼は本心から答える。下積みでいては困るからこうなったのだとは知らずに。 「それはわかるが、社の決定には従ってもらわなければならぬのだ」
まったく異例な昇進だったが、異議はどこからも出なかった。彼がいなくなった課は、以前の調子を取り戻し、いわゆる順調な進展という状態になった。
しかし、今度はその人柄をよく知らずに彼を迎えた課が困る番だった。いい課長であり、仕事熱心でもあるのだが、さっぱり能率があがらなくなった。つまらん報告書を、熱心に検討したりする。企業には、いい加減さが必要なのだ。そのため、その分を部下たちみんなで気をつかって補わなければならない。余計な重荷をしょいこんでしまった形だった。
といって、批判の声もあがらないのだ。「こんなことでは困ります」と直言しようにも、彼の前ではその声が出なくなる。その男の人徳というやつだ。陰へまわっても言えない。彼への好意の持ち主は多いのだ。愛社の念に燃え、おのれをむなしくして部下をかわいがる、熱意と誠意の結晶のような人物を、けなすのは憚られる。彼への不満は、心の奥にしまっておく以外にない。
なんということなく、周囲では……
没有理由没有原因周围的人自然而然地达成了一个结论,
把他抬高。这个如果做到了,就是最好的。
・祭り上げる:①尊いものとしてあがめる。→②周囲の者が働きかけ、おだてるようにして高い位置につかせる。「会長に祭り上げる」③おだて上げる。「先生、先生と祭り上げる」
一切都圆满解决了,
・すべて:抽象的・概念的傾向。「すべての人類は平等だ」
・全部:具体的・可算的傾向。「りんごを全部食べた」
这种情绪,发展成具体的行动。
如果是抬高别人的事,就会毫不内疚地去行动。
于是,这件事实现了。他被如此告知:“你被提升为科长了。”
「いえ、わたしはいまの地位でけっこうです。
“不,我现在的地位就足够了。
我是喜欢在人下面干具体工作的。”
・励む:気持ちを奮い起こして熱心に物事を行う。精を出す。「日夜家業に励む」「勉学に励む」「黙々と練習に励む」(比較)いそしむ

他出自真心地回答。
下積みでいては困るからこうなったのだとは知らずに。
他并不知道他甘居人下别人很不好办才到如此局面的。
“这一点我们知道,但是必须要服从公司决定的。”
虽是完全异常的升迁但哪里都没有听到不同意见。
・異議:異なった意見。特に、ある意見や処置などに対して、不服・不賛成の意見。「異議を唱える」「異議なし!」
他离开的科恢复了以前的样子,即所谓顺利前进的状态。
しかし、今度はその人柄をよく知らずに……
但是,这次轮到不太了解他的他新去的科麻烦了。
是很好的科长,工作热情也很高,但效率一点也提不高,
尽干一些对无聊的报告书热衷地讨论之类的事。

在企业里是有适可而止的必要的。
为此,这部分就得部下们费心去补足,
从而背上额外的重负。
といって、批判の声もあがらないのだ。
尽管如此,也听不到批评的声音。
即便想要直言说“这样的话可就麻烦了”,但在他面前很难讲出口。
~ようにも
因为他的品德使然。

在背后也不能说。
因为对他抱有好感的人很多。
热爱公司的热情高涨,亏待自己善待部下,是热情和真诚相结合的人物。对这样的人诋毁是令人顾忌的。
・むなしくなる:死ぬの婉曲表現 → そこに物がなくなる
・おのれをむなしくする:自分をないものとする。≒自分を犠牲にして
・はばかる(憚る):差しさわりがある。何かを気にして行動をひかえる。慎む。
「人目をはばかって外出しない」「口に出すのもはばかられる」
对他的不满,只能深藏在心底。




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