「すでに」「もう」の違いを考えます。
「すでに」と「もう」
・〇 すでに終わった。
・〇 もう終わった。 この二つはどちらも自然な日本語ですが、
・〇 すでに述べたように、この方法は有効です。
・〇 もう帰ります。 は言えるのに、
・× もう述べたように、この方法は有効です。
・× すでに帰ります。 は不自然です。
「すでに」と「もう」は何が違うのでしょうか。結論から言うと、
「もう」は今やその段階に達したことを表します。
この違いを理解すると、多くの例文がすっきり説明できます。
結論:「すでに」は以前を見る、「もう」は今を見る
まずは違いを簡単にまとめましょう。
【もう】:今やその状態になっている
つまり、
「もう」は現在から見た到達状態に注目する言葉です。
「すでに」の意味
「すでに」は、ある基準となる時点より前に、その出来事が成立していることを表します。例えば、
・彼はすでに到着しています。
・会議はすでに始まっています。
・すでに述べたように、この方法は有効です。
最後の例では、「今説明している時点」より前に、その内容を説明済みであることを示しています。そのため、
・「すでに述べたように」 は自然な表現になります。
「もう」の意味
これに対し「もう」は、今やその状態になっていることを表します。例えば、
・もう春ですね。
・もう終わりました。
・もう帰ります。
これらはいずれも、「今の時点から見るとそうなっている」という感覚を含んでいます。
なぜ「もう述べたように」は不自然なのか
次の文を比較してみましょう。
・〇 すでに述べたように、この方法は有効です。
・✕ もう述べたように、この方法は有効です。
「述べたように」は、過去に説明した内容を参照する表現です。ここで必要なのは、「前に説明した」という時間関係です。そのため、「基準時点より前」を表す「すでに」が自然になります。
一方、「もう」を使うと、「今や述べた状態である」という意味合いになります。しかし、「述べたように」という表現では、現在の到達状態を意識することはありません。そのため、「もう述べたように」は不自然に感じられるのです。
なぜ「すでに帰ります」は不自然なのか
今度はこちらを見てみましょう。
・〇 もう帰ります。
・✕ すでに帰ります。
「帰ります」は未来方向の行為です。「もう帰ります」は、「今から帰る段階になりました」という意味で使われます。一方、「すでに」は、「基準時点より前に成立している」ことを表します。しかし、「帰ります」はまだ実現していない未来の行為です。つまり、「まだ起きていない行為なのに、すでに成立している」という矛盾が生じます。そのため、「すでに帰ります」とは通常言いません。
ただし、
・すでに帰りました。
・すでに帰宅しています。であれば自然です。
「すでに終わった」と「もう終わった」はなぜ両方言えるの
では、
・すでに終わりました。
・もう終わりました。
はなぜどちらも自然なのでしょうか。それは、「終わる」という出来事が完了しているからです。「すでに終わりました」は、基準時点より前に終了していたことに注目しています。一方、「もう終わりました」は、今見ると終了状態になっていることに注目しています。つまり、出来事自体は同じでも、見ている方向が異なるのです。
比較すると違いがよく分かる
【すでに】
・すでに到着した
・すでに説明した
・すでに述べたように
→ その時点より前に成立していることを表す
【もう】
・もう終わった
・もう春だ
・もう帰る
→ 今やその状態になっていることを表す
まとめ
「すでに」と「もう」は似ているように見えますが、実際には注目しているポイントが異なります。
【すでに】
・基準時点より前に成立している
・時間の前後関係を表す
例
・すでに到着した
・すでに終わった
・すでに述べたように
【もう】
・今やその状態に達した
・現在から見た到達状態を表す
例
・もう終わった
・もう春だ
・もう帰る
覚え方としては、
「もう」は今を見る言葉。
と理解すると、多くの用法を自然に説明できます。

以上です。



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