「みんなの日本語」で学ぶ”でしょう”について(第21課と第32課)
例えば、次の二つの文を見てください。
①「明日も学校へ来るでしょう?」
②「明日は雨が降るでしょう。」
どちらも「でしょう」を使っています。しかし、その働きは異なります。
①は相手に「そうですよね?」と確認や同意を求める表現です。
②は「おそらく雨が降るだろう」と推量を表す表現です。

『みんなの日本語』では、この二つを次のように分けて学習します。
第21課:確認・同意を求める「でしょう?」
第32課:推量を表す「でしょう。」
なぜ同じ「でしょう」を分けて学ぶのでしょうか。二つの用法と導入順序について考えてみましょう。
第21課:確認・同意を求める「でしょう?」
まず、第21課の「でしょう?」を見てみましょう。
例えば、次のような会話です。
A:「明日も学校へ来るでしょう?」
B:「はい、来ます。」
AさんはBさんが明日も来ると思っています。その予想が正しいかどうかを相手に確かめているのです。
単に「明日も学校へ来ますか」と尋ねる場合とは違います。「来ますか」は、相手が来るかどうかを知らなくても使える質問です。一方、「来るでしょう?」には、「来ると思っていますが、そうですよね?」という話し手の推量、見込みが含まれています。
① 相手に確認する
次のような例があります。
- 明日も学校へ来るでしょう?
- 田中さんは大阪出身でしょう?
- 昨日、試験があったでしょう?
いずれも、話し手がすでに持っている情報や予想を、相手に確かめる表現です。
② 相手に同意を求める
一方、次のような会話もあります。
A:「このケーキ、おいしいでしょう?」
B:「ええ、とてもおいしいです。」
これは事実を確認するだけではありません。Aさん自身がおいしいと思っていて、Bさんにも同じ感想を期待しています。つまり、「おいしいですよね?」と共感や同意を求めているのです。
- この映画、おもしろいでしょう?
- 日本の夏は暑いでしょう?
- この問題、難しいでしょう?
このように、第21課の「でしょう?」は、相手とのやり取りに深く関係する表現なのです。

第32課:推量を表す「でしょう。」
次に、第32課の「でしょう」です。代表的なのは、天気予報などで使う次のような文です。
「明日は雨が降るでしょう。」
「来週は寒くなるでしょう。」
「今年は観光客が増えるでしょう。」
これらは、相手に「そうですよね?」と確認しているのではありません。話し手が持っている情報や知識をもとに、自分の予測や判断を述べているのです。
例えば、次の二つを比較してみましょう。
①「明日は雨が降ります。」
②「明日は雨が降るでしょう。」
①は断定的な言い方です。一方、②は予測として述べていることが明確になります。
第32課では、同じく推量を表す「かもしれません」も学習します。
「明日は雨が降るでしょう。」
「明日は雨が降るかもしれません。」
一般に「でしょう」は、話し手がある程度根拠を持ってそう判断している場合に使い、「かもしれません」は、その可能性があることを示します。ただし、両者の違いは単純に確率だけで説明できるものではありません。話し手がどのように判断を提示するかという違いもあります。

「でしょう?」と「でしょう。」の違い
ここで、第21課と第32課の違いを整理してみましょう。
| 比較項目 | 第21課 | 第32課 |
|---|---|---|
| 用法 | 確認・同意要求 | 推量 |
| 例文 | 明日も来るでしょう? | 明日は雨が降るでしょう。 |
| 話し手の意図 | そうですよね? | おそらくそうなると思います |
| 相手の返答 | 基本的に求める | 必ずしも求めない |
| 典型的な音調 | 上昇調 ↗ | 下降調 ↘ |
イントネーションにも注目しよう
二つの「でしょう」を教えるときに大切なのが、イントネーションです。
① 明日は雨が降るでしょう? ↗
→ 相手に予想の一致を確認する。
② 明日は雨が降るでしょう。 ↘
→ 自分の予測を述べる。
同じ文でも、イントネーションによって相手への働きかけが変わります。
第21課:相手とのやり取りを広げる
第21課では、「~と思います」を使って自分の考えを述べることを学習します。そして「でしょう?」では、自分の判断を相手に確認したり、同意を求めたりすることを学びます。例えば、
「明日は寒いと思います。」
「明日は寒いでしょう?」
という二つの文では、相手への働きかけが違います。つまり、第21課では、自分の考えを述べることから、相手の反応を引き出すことへと、会話の幅を広げていると考えられます。
第32課:予測や判断の表現を広げる
一方、第32課では、「~ほうがいいです」「~でしょう」「~かもしれません」などを学習します。
「明日は雨が降るでしょう。」
「明日は雨が降るかもしれません。」
このように、確定していない事柄について、自分の判断をさまざまな形で述べることを学びます。つまり、第32課では、自分の予測や判断をより豊かに表現することが中心になります。
第21課:相手への働きかけ
第32課:自分の判断の伝え方
〔注意〕 「でしょうか」とは区別する
「明日は雨が降るでしょうか。」
これは、「雨が降りますよね?」と同意を求めているのではありません。相手に「雨が降ると思いますか」と、丁寧に予測を尋ねています。また、「駅はどちらでしょうか」のように、丁寧な質問にも使われます。
まとめ:「でしょう」の二つの用法
| 学習課 | 例文 | 用法 |
|---|---|---|
| 第21課 | 明日も来るでしょう? | 確認 |
| 第21課 | おいしいでしょう? | 同意要求 |
| 第32課 | 明日は雨が降るでしょう。 | 推量 |
第21課では、相手に確認したり同意を求めたりする「でしょう?」を学びます。
第32課では、自分の予測や判断を述べる「でしょう。」を学びます。
「誰に対して、何のために、どんな場面で使うのか」まで考えて学ぶことが大切です。

以上です。




コメント