「見える」「聞こえる」と「見られる」「聞ける」(可能形)との違い

「見られる見える・聞ける聞こえる」

 「見る」「聞く」の可能形は?

日本語を勉強すると、初級で「可能形」を習います。

  • 食べる → 食べられる
  • 飲む → 飲める
  • 行く → 行ける
  • 読む → 読める

となりますね。では、「見る」と「聞く」はどうでしょうか。

  • 見る → 見られる
  • 聞く → 聞ける

ここまでは普通の可能形です。

ところが、「見る」「聞く」には、これらとは別に、見える、聞こえる という似て非なる動詞があります。この二つは、可能形ではありません。ここが学習者にとって少し分かりにくいところです。

 まず結論

いちばん大事なのは、次の違いです。

表現意味
見られる見ることができる
見える自然に目に入る
聞ける聞くことができる
聞こえる自然に耳に入る

つまり、「見られる・聞ける」は可能形、「見える・聞こえる」は知覚を表す別の自動詞です。

 「見られる」と「見える」の違い

次の二つを比べてみましょう。

① 静岡に行けば、富士山が見られます。

② 新幹線の窓から、富士山が見えます。

①の「見られる」は、「見る」の可能形です。
つまり、自分が見ようとして、見ることができるという意味です。

たとえば、次のように使います。

  • この美術館では、有名な絵が見られます。
  • 京都に行けば、古いお寺がたくさん見られます。

一方、②の「見える」は少し違います。
これは、自然に目に入るという意味です。

新幹線に乗っていると、窓の外の富士山が自然に見えてきます。
「見ようと努力する」というより、そこにあるものが目に入る感じです。

見られる = 見ることができる
見える = 自然に目に入る

 「聞ける」と「聞こえる」の違い

「聞く」も同じです。

① このコンサートでは、ベートーベンの音楽が聞けます。

② 隣の部屋から、音楽が聞こえます。

①の「聞ける」は「聞く」の可能形です。
自分が会場へ行ったり、チケットを買ったりして、聞くことができるという意味です。

一方、②の「聞こえる」は、自然に耳に入るという意味です。
自分から聞きに行かなくても、音が耳に入ってきます。

聞ける = 聞くことができる
聞こえる = 自然に耳に入る

「見られる・見える」「聞ける・聞こえる」簡単比較イラスト

 使い分け

迷ったときは、自分が主体的にその行為をしているかを考えると分かりやすいです。

タイプ使う形例
自分からする見られる・聞ける美術館で絵が見られる。コンサートで音楽が聞ける。
自然に入る見える・聞こえる窓から山が見える。隣の部屋から音楽が聞こえる。

 「見る」「聞く」には三つの形がある

整理すると、「見る」と「聞く」は次のようになります。

見る … 普通の動詞

見られる … 「見る」の可能形

見える … 自然に目に入ることを表す別の動詞

聞く … 普通の動詞

聞ける … 「聞く」の可能形

聞こえる … 自然に耳に入ることを表す別の動詞

このように、「見える」「聞こえる」は、可能形とは別に覚える必要がある表現です。

 ほかの感覚動詞は?

ここで気になるのが、ほかの感覚の動詞です。
たとえば、においについては「見る/見える」のような対応がきれいにはありません。

  • 花のにおいを嗅ぐ
  • いいにおいがする
  • 何かにおう

つまり、「見る→見える」「聞く→聞こえる」のような対応は、知覚表現の中でも特に大事なものだといえます。

7.まとめ

最後に、ポイントをもう一度まとめます。

表現ポイント
見られる・聞ける可能形。「〜することができる」
見える・聞こえる自然に目・耳に入る。可能形ではない
見分け方自分からするか、自然に入るかを考える

初級学習者は、

  • 富士山が見られます
  • 富士山が見えます

の違いで迷うことが多いです。
そんなときは、

見られる・聞ける = することができる

見える・聞こえる = 自然に入ってくる

と覚えると、使い分けしやすくなります。

「見られる・見える」「聞ける・聞こえる」まとめ

以上です。

 

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