「モヤる」とは?意味・使い方と感情を表すオノマトペをわかりやすく解説

「モヤる」キャッチ

「モヤる」?

 最近、会話やSNSで、「なんかモヤる」、「その言い方、ちょっとモヤるなあ」という表現を見かけることがあります。「モヤる」とは、いったいどんな気持ちなのでしょうか。今回は「モヤる」の意味と使い方を紹介し、さらに「もやもや」「いらいら」「くよくよ」「びくびく」など、負の感情を表す日本語のオノマトペについても見ていきましょう。

「モヤる」の意味

『三省堂国語辞典 第八版』では、「モヤる」は、

もやっとする。特に、不満や不快などを漠然と感じる。

と説明されています。用例として、
「一見、正論っぽい意見にもやる」
が挙げられています。2010年代に広まった言葉とされています。
つまり「モヤる」は、はっきり「腹が立つ!」というほど強い感情ではありません。
「なんとなく納得できない」
「何か引っかかる」
「うまく説明できないけれど、気分がすっきりしない」
そんな気持ちを表す言葉です。

「モヤる」イラスト

「モヤる」は「もやもやする」から生まれた言葉

「モヤる」は、「靄(もや)る」から来たもの。その「靄る」はすでに、「もやもやする」というオノマトペの元にもなっています。「もやもや」は、もともと煙や霧などがぼんやりと立ちこめる靄になったような状態を表す言葉です。そこから、心の中が霧に包まれているように、気持ちが晴れない、すっきりしない状態にも使われるようになりました。

もやもやする ≒ モヤる

 現代の日本語には、「ググる」「ディスる」のように、もとの言葉を短くして「る」をつけ、新しい動詞を作る例があります。「モヤる」も、現代日本語らしい言葉の作られ方の一例といえるでしょう。

「モヤる」はこんなときに使う

① 説明を聞いたけれど納得できない

A:「一応、説明は聞いたんだけど……」
B:「どうだった?」
A:「うーん、なんかモヤるんだよね。」

② SNSの投稿を見て

「言ってることは間違ってないんだけど、なんかモヤる。」

③ 人の言い方が気になったとき

「悪気はないんだろうけど、あの言い方はちょっとモヤるなあ。」

④ 自分でも理由がよく分からない

「何が嫌なのか自分でも分からない。でも、なんとなくモヤってる。」

ここが「モヤる」の大切なポイントです。不快に感じる理由を自分でもはっきり説明できないときに使えるようです。

「もやもや」について

 今回は「もやもや」をはじめとするABAB型の負の感情を表すオノマトペをいくつか整理してまとめておきましょう。
もやもや・いらいら・むかむか・うじうじ・くよくよ・おどおど・おろおろ・びくびく
などです。どれも嫌な気持ちや不安な状態と関係していますが、意味は少しずつ違います。

オノマトペ主な感情どんな状態?
もやもや違和感・不快なんとなく納得できず、すっきりしない
いらいら怒り・焦り思いどおりにならず腹が立つ
むかむか強い不快・怒り強い不快感や腹立たしさを感じる
うじうじ迷い決断できず、いつまでも悩む
くよくよ後悔・心配過ぎたことなどを何度も気にする
おどおど不安・緊張自信がなく、不安そうに振る舞う
おろおろ不安・動揺どうしていいか分からず慌てる
びくびく恐怖何かを恐れて落ち着かない

負の感情を表すオノマトペを3つに分けると?

これらの言葉を一つずつ暗記するのは大変です。そこで、大まかに「怒り・不快」「迷い・後悔」「不安・恐怖」という3つのグループに分けてみましょう。

「負の感情オノマトペマップ」

① 怒り・不快――もやもや → いらいら → むかむか

「もやもや」は、なんとなく納得できず、気持ちがすっきりしない状態です。それより怒りがはっきり表れてくると「いらいら」、さらに強い不快感や腹立たしさを感じると「むかむか」という表現が使えます。
もやもや → いらいら → むかむか
ただし、これは厳密な「強さの順位」ではありません。実際の感情は場面によって異なります。ここでは、言葉のニュアンスを理解するためのおおよその目安として考えてください。

② 迷い・後悔――うじうじ・くよくよ

「うじうじ」は、なかなか決断できず、いつまでも迷っている様子を表します。一方、「くよくよ」は、失敗したことや過ぎたことなどをいつまでも気にしている状態です。簡単に分けるなら、
うじうじ=決められない、前に進めない
くよくよ=終わったことをいつまでも気にする
と考えると分かりやすいでしょう。

③ 不安・恐怖――おどおど・おろおろ・びくびく

「おどおど」は、自信がなく、不安そうにしている様子です。
「おろおろ」は、突然の出来事などで、どうしていいか分からず慌てている状態です。
「びくびく」になると、「怒られるかもしれない」「何か怖いことが起こるかもしれない」など、恐怖の気持ちが強くなります。
同じ「不安」でも、
おどおど=自信がなく不安
おろおろ=どうしていいか分からず慌てる
びくびく=何かを恐れている
という違いがあります。

「もやもや」と「いらいら」はどう違う?

最後に、今回のテーマである「もやもや」と、それによく似た「いらいら」を比べてみましょう。
たとえば、電車がなかなか来ません。
「もう10分も遅れてる!」
遅れているという原因がはっきりしていて、腹が立っているなら、
「電車が来なくて、いらいらする。」が自然です。
一方、友達に何かを言われて、
「別に悪いことを言われたわけじゃない。でも、なんとなく気になる……」
という場合は、
「友達の言葉にもやもやする。」
がよく合います。

 もやもやいらいら
原因はっきりしないことが多い比較的はっきりしている
中心となる感情違和感・不満怒り・焦り
感情の表れ方心の中に残る感じ表面に出やすい

「もやもや」と「いらいら」

「モヤる」は曖昧な気持ちを表せる便利な言葉

「モヤる」は比較的新しい言葉ですが、そのもとになった「もやもや」は、日本語らしい感情表現の一つです。人間の気持ちは、いつも「怒っている」「悲しい」「不安だ」のようにはっきり分けられるわけではありません。
怒っているほどではない。
悲しいわけでもない。
でも、何か心に引っかかる。
そんな曖昧な感情を表せるのが、

「もやもやする」→「モヤる」
なのです。

以上です。

 

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