日語総合教程第5冊 第7課「紅山桜」辰濃和男 から
以下、上級日本語テキストから抜粋します。
「腰を据える」「肩を落とす」「体を張る」
① 腰を据える
「腰を据える」は、一つの場所に落ち着く、または、一つのことにじっくり取り組むという意味です。
腰を動かさず、どっしりと座る姿を想像してください。そこから、簡単には場所を変えず、落ち着いて続けるという意味になりました。
- この町に腰を据えて、作品を書き続ける。
- 今年は腰を据えて日本語を勉強したい。
最初の文では、紅山桜を見るために、二、三日その場所に落ち着いて滞在することを表しています。
漢字では「腰を据える」と書きますが、「腰をすえる」と平仮名で書かれることもあります。
② 肩を落とす
「肩を落とす」は、がっかりして元気をなくすという意味です。
人は失敗したり、悲しい知らせを聞いたりすると、姿勢が悪くなり、肩が下がります。その様子から生まれた表現です。
- 試合に負けた選手たちは、肩を落として会場を出た。
- 不合格の知らせを聞き、彼は肩を落とした。
最初の文では、桜を撮影しに来たのに雪が降ったため、相棒ががっかりしているだろうと予想したのです。しかし、実際には相棒は喜んでいました。
③ 体を張る
「体を張る」は、危険や苦労を覚悟して、全力で行動するという意味です。
自分の体を危険にさらしてでも、何かを守ったり、目的を達成したりしようとする強い姿勢を表します。
- 消防士は体を張って子どもを助けた。
- 彼は体を張って仲間を守った。
最初の文では、土に触れながら、大地と深く関わる暮らしを全身で続けるという生き方を表しています。

問題
次の( )に入る言葉を、肩、腰、体から選んでください。
- 彼は危険を恐れず、( )を張って子どもを助けた。
- 試験に落ちた学生は、( )を落として教室を出ていった。
- あの会社の社長は、誰に対しても( )が低く、話しやすい人だ。
- 接客の仕方は、本を読むだけでなく、実際に働きながら( )で覚えるものだ。
- 父は旅行に誘っても、なかなか行こうとしない。本当に( )が重い。
- 母は兄弟げんかをすると、いつも弟の( )を持つ。
- 毎日二、三時間しか眠らない生活では、( )がもたない。
- 短期間で結論を出さず、( )を据えて研究に取り組みたい。
- 今日は面接ですが、( )の力を抜いて、いつもどおり話してください。
- 仕事も大切だが、働きすぎて( )を壊してはいけない。
- この会社の技術力は、今では世界の一流企業と( )を並べている。
- 何度も説得されて、彼はようやく( )を上げた。
答え
1.体 2.肩 3.腰 4.体
5.腰 6.肩 7.体 8.腰
9.肩 10.体 11.肩 12.腰
「肩」を使ういろいろな慣用表現
「肩」は、人の気持ち、人間関係、実力や立場を表す慣用表現によく使われます。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 肩を落とす | がっかりして元気をなくす | 試合に負け、選手たちは肩を落とした。 |
| 肩の力を抜く | 緊張をやわらげ、楽な気持ちになる | 肩の力を抜いて話してください。 |
| 肩を持つ | 一方の味方をする | 父はいつも兄の肩を持つ。 |
| 肩を並べる | 同じくらいの実力や地位になる | 彼は一流選手と肩を並べるまでになった。 |
肩の力を抜く
緊張していると、無意識に肩に力が入ります。「肩の力を抜く」は、そこから、緊張しすぎず、自然な状態になるという意味で使われます。
「リラックスしてください」と言いたいときによく使われる表現です。
肩を持つ
「肩を持つ」は、争いや意見の違いがあるときに、一方の側に立って味方をするという意味です。
公平ではなく、特定の人ばかりを助けているという、少し否定的な場面でもよく使われます。
- どうしてあなたは、いつも彼の肩を持つのですか。
- 先生は、どちらか一方の肩を持ってはいけない。
肩を並べる
二人が横に並ぶと、肩の位置も並びます。そこから、実力や地位が同じ程度になることを表します。
- 日本の技術は世界のトップレベルと肩を並べている。
- 彼は努力を続け、先輩と肩を並べる選手になった。
「腰」を使ういろいろな慣用表現
「腰」は、行動を始めるか、落ち着いて続けるかという態度や姿勢を表す慣用表現によく使われます。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 腰を据える | 落ち着いて滞在する、じっくり取り組む | 腰を据えて日本語を勉強する。 |
| 腰が重い | なかなか行動を始めない | 父は出かけることに腰が重い。 |
| 腰を上げる | ようやく行動を始める | 彼はようやく腰を上げた。 |
| 腰が低い | 謙虚で、態度が丁寧だ | あの社長はとても腰が低い。 |
腰が重い
重い腰は、簡単には持ち上がりません。そこから、何かを始めるまでに時間がかかることを表します。
- 病院へ行ったほうがいいのに、父は腰が重い。
- 彼は新しいことを始めるのに腰が重い。
腰を上げる
座っていた人が腰を上げると、次の行動を始めます。そのため、「腰を上げる」は、今まで動かなかった人が行動を始めるという意味になります。
「やっと」「ようやく」などの言葉と一緒によく使われます。
- 何度も頼まれて、彼はようやく腰を上げた。
- 政府もやっと問題の解決に向けて腰を上げた。
腰が低い
「腰が低い」は、実際の姿勢だけではなく、人に対して謙虚で、丁寧な態度をとることを表します。
- 彼は有名な俳優だが、とても腰が低い。
- あの店員は誰に対しても腰が低く、感じがいい。
「体」を使ういろいろな慣用表現
「体」は、努力、危険、健康、実際の経験を表す表現によく使われます。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 体を張る | 危険や苦労を覚悟して行動する | 体を張って仲間を守った。 |
| 体で覚える | 実際に経験して身につける | 仕事の手順を体で覚える。 |
| 体がもたない | 肉体的に続けられない | 毎日徹夜したら体がもたない。 |
| 体を壊す | 健康を悪くする | 無理をして体を壊した。 |
体で覚える
「体で覚える」は、説明を聞いたり、本を読んだりするだけでなく、実際に何度も経験して、自然にできるようになることを表します。
- 自転車の乗り方は体で覚えるものだ。
- 料理の細かい手順は、何度も作りながら体で覚えた。
体がもたない
「もつ」には、ある状態が続くという意味があります。「体がもたない」は、負担が大きすぎて、健康な状態を続けられないという意味です。
- 休みなしで働いたら、体がもたない。
- こんな食生活を続けていたら、体がもちませんよ。
体を壊す
「体を壊す」は、けがをすることではなく、一般に無理な生活や働きすぎによって健康を悪くすることを表します。
- 彼は働きすぎて体を壊した。
- 体を壊してからでは遅いので、少し休んでください。
まとめ

| 体の言葉 | 表しやすい意味 | 主な慣用表現 |
|---|---|---|
| 肩 | 気持ち、人間関係、実力や立場 | 肩を落とす、肩の力を抜く、肩を持つ、肩を並べる |
| 腰 | 行動を始める、落ち着いて続ける態度 | 腰を据える、腰が重い、腰を上げる、腰が低い |
| 体 | 努力、負担、健康、実際の経験 | 体を張る、体で覚える、体がもたない、体を壊す |
体を使った慣用表現は、単語の意味を一つずつ考えるだけでは理解しにくいことがあります。
しかし、実際の体の姿勢や動きを想像すると、意味を理解しやすくなります。
今回紹介した12の表現を、例文と一緒に覚えて、実際の会話や文章でも使ってみてください。
以上です。




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