「閉める」「閉じる」「閉ざす」の違い|15の例で置き換えを徹底比較

「閉める・閉じる・閉ざす」

「閉める」「閉じる」「閉ざす」

「ドアを閉める」「本を閉じる」「心を閉ざす」。
どれも何かを閉じた状態にする表現ですが、なぜ動詞が違うのでしょうか。「閉める」「閉じる」「閉ざす」は意味が似ていますが、使える対象や語感に違いがあります。

結論から言うと、「閉める」は開口部をふさぐ、「閉じる」は開いた状態を終わらせる、「閉ざす」は通行や交流などを遮断する、という違いがあります。
この記事では、まず15の例で置き換えを比較し、その後で三つの動詞の使い分けを詳しく見ていきます。

①「閉める・閉じる・閉ざす」使い分け図解

1.15の例で置き換えを比較

まずは、どの対象にどの動詞が使えるかを比較しましょう。

対象閉める閉じる閉ざす
① ドア◎○○
② 窓◎○○
③ 本△◎×
④ 目×◎×
⑤ 口○◎○
⑥ 傘△◎×
⑦ 店◎○△
⑧ 会議△◎×
⑨ 心×○◎
⑩ ファイル△◎×
⑪ カーテン◎○△
⑫ 引き出し◎△×
⑬ 門◎○◎
⑭ 国境△○◎
⑮ 未来・可能性×△◎

◎=自然で一般的 ○=使用可能 △=限定的な文脈で使える ×=通常使わない。表は代表的な使い方を基準とした目安です。この表を見ると、「閉じる」は使える対象が広く、「閉める」は具体的な開口部に、「閉ざす」は遮断や拒絶を表す場面に使われやすいことが分かります。

2.「閉める」の意味と使い方

「閉める」は、開いている出入り口や開口部をふさいで、閉まった状態にすることを表します。
・寒いので窓を閉めてください。
・帰る前にドアを閉めます。
・引き出しを閉めてください。
・今日は午後6時に店を閉めます。
いずれも日常生活でよく使う表現です。「閉める」は具体的な開閉動作を表す場合に特に自然です。ただし、「店を閉める」は、その日の営業を終了する場合にも、店を廃業する場合にも使えます。

3.「閉じる」の意味と使い方

「閉じる」は、開いているものを合わせたり、開いていた状態を終わらせたりすることを表します。
・教科書を閉じてください。
・静かに目を閉じました。
・会議を閉じます。
・パソコンのファイルを閉じます。
「閉じる」は、本や目などの具体的な対象だけでなく、会議や活動の終了にも使われます。また、「花が閉じる」「幕が閉じる」のように、自動詞として使うこともできます。つまり、「閉じる」は自動詞・他動詞の両方の用法を持つ動詞です。

4.「閉ざす」の意味と使い方

「閉ざす」は、単に閉めるだけではなく、通行・接触・交流・可能性などを遮断する意味を持ちます。
・城の門を固く閉ざしました。
・大雪が山道を閉ざしました。
・彼は周囲の人々に心を閉ざしています。
・その事件は彼の将来の可能性を閉ざしました。
「閉ざす」は、「閉める」「閉じる」に比べ、硬い文章や文学的な表現で使われることが多い言葉です。
「心を閉ざす」「道を閉ざす」「可能性を閉ざす」のように、抽象的なものにも広く使われる点が特徴です。

②門を閉める・閉じる・閉ざす比較図

5.「ドアを閉める」「ドアを閉じる」「ドアを閉ざす」の違い

「ドア」は三つの動詞が使えるため、語感の違いを比較するのに適しています。
① ドアを閉める
普通の開閉動作。日常会話で最も自然。
② ドアを閉じる
開いていたドアを閉じた状態にする。文章でも使われる。
③ ドアを閉ざす
人が入れないようにする、外との接触を断つという意味合いが強い。
例えば、「彼はドアを閉めた」なら単なる動作ですが、「彼は外の世界に対してドアを閉ざした」なら、拒絶や遮断のニュアンスが生まれます。
同じドアでも、どの動詞を選ぶかによって文章の印象が変わるのです。

6.「口を閉める」「口を閉じる」「口を閉ざす」の違い

「口」も三つの言葉の意味の違いがよく表れる対象です。
① 口を閉める
開いている口を物理的に閉じた状態にする。
② 口を閉じる
口を物理的に閉じる。また、話すことをやめる。
③ 口を閉ざす
話そうとしない、何も語ろうとしない。強い沈黙や拒絶を表す。
例えば、次の二つを比較してください。
・彼は静かに口を閉じた。
・彼は事件について固く口を閉ざした。
前者は単に話すのをやめたとも解釈できますが、後者は何も話そうとしない強い意志が感じられます。なお、「口を閉める」も使えますが、一般的には「口を閉じる」の方が自然です。

③口を閉める・閉じる・閉ざす比較図

7.「心を閉じる」と「心を閉ざす」の違い

「心を閉める」とは普通言いません。しかし、「心を閉じる」と「心を閉ざす」はどちらも使えます。
・彼女はつらい経験から心を閉じた。
・彼女はつらい経験から周囲の人々に心を閉ざした。
「心を閉じる」は、自分の気持ちを外に出さなくなることに重点があります。一方、「心を閉ざす」は、他人との交流や関係を拒む意味がより強く表れます。
ただし、両者の意味は重なる部分も多く、明確に区別できない場合もあります。日本語では、「心を閉ざす」という組み合わせが特に定着しています。

8.「店を閉める」と「店を閉じる」の違い

「店を閉める」と「店を閉じる」はどちらも使えますが、使われる場面に違いがあります。
・今日は早めに店を閉めます。
・長年続けてきた店を閉じることにしました。
「店を閉める」は、その日の営業終了にも廃業にも使えます。一方、「店を閉じる」は、店の営業そのものを終える場合に使われやすく、やや改まった表現です。
「店を閉ざす」は通常の閉店を表す言い方としては一般的ではありません。外部との関係を遮断することを強調する場合には、「門戸を閉ざす」などの表現が使われます。

9.「閉める」「閉じる」「閉ざす」と自動詞の関係

三つの動詞には、自動詞との関係にも違いがあります。

他動詞対応する自動詞例文
閉める閉まるドアが閉まる
閉じる閉じる花が閉じる
閉ざす一般的な対応形なし道が閉ざされる(受身)

「閉める」は他動詞、「閉まる」は自動詞です。一方、「閉じる」は自動詞にも他動詞にもなります。
・私がドアを閉める。(他動詞)
・ドアが閉まる。(自動詞)
・私が本を閉じる。(他動詞)
・花が閉じる。(自動詞)
「閉ざす」は他動詞で、「道が閉ざされる」「心が閉ざされる」のように受身形で状態を表すことがあります。

10.まとめ:「閉める」「閉じる」「閉ざす」の使い分け

動詞中心的な意味代表例
閉める開口部をふさぐドアを閉める
閉じる開いた状態を終える本を閉じる
閉ざす通行・交流・可能性などを遮断する心を閉ざす

三つの動詞は意味が似ていますが、使う対象や語感が異なります。「閉める」は日常的な開閉動作、「閉じる」は物理的な開閉から活動の終了まで、「閉ざす」は遮断や拒絶という意味に特徴があります。

閉める・閉じる・閉ざすの違い まとめ
まず覚えたい三つの基本表現
・ドアを閉める
・本を閉じる
・心を閉ざす
この三つを出発点にして、ほかの対象にも使えるかを比較していくと、日本語の微妙な語感の違いが理解しやすくなるでしょう。

④「閉める・閉じる・閉ざす」使い分け図解

以上です。

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