「~に照らして」と「~に則って」
「~に照らして」と「~に則って」は、どちらも「何かを基準にする」という意味を持つN1文法です。ただし、使う場面はかなり違います。
「~に則って」=ルール・方針に従って行動する
| 文法 | 一言でいうと | 中心イメージ | 例文 |
|---|---|---|---|
| ~に照らして | 基準にして判断する | 光を当てて、正しいか考える | 法律に照らして判断する。 |
| ~に則って | ルールに従って行動する | 決まりどおりに進める | 法律に則って手続きを進める。 |
たとえば、次の二つの文を比べると違いがわかりやすいです。
- 会社の規定に照らして、その社員の処分を決めた。
- 会社の規定に則って、その社員を処分した。
一つ目は、会社の規定を判断の基準にしています。
二つ目は、会社の規定に従って実際に行動しています。
実行するなら「~に則って」

1.「~に照らして」について
「~に照らして」は、ある基準と比べて、正しいかどうか、適切かどうかを判断するときに使います。「照らす」は、もともと「光を当てる」という意味です。
そこから、ある基準に光を当てるようにして、物事をよく見て判断するイメージになります。
よく一緒に使われる言葉は、次のようなものです。
- 法律に照らして
- 規則に照らして
- 基準に照らして
- 事実に照らして
- 過去の例に照らして
- 現状に照らして
- 常識に照らして
例文
- 法律に照らして考えると、その行為は問題がある。
- 学校の規則に照らして、この処分が妥当かどうか判断する必要がある。
- 過去の事例に照らして、今回のケースを検討した。
- 現在の経済状況に照らして、この計画は少し無理がある。
- 常識に照らして考えれば、その説明は納得しにくい。
- 会社の基準に照らして、応募者を評価した。
「~に照らして」の後ろには、判断・評価・検討・考える・見る・問題がある・妥当だなどの言葉が来やすいです。
| よく使う形 | 例 |
|---|---|
| ~に照らして判断する | 規則に照らして判断する。 |
| ~に照らして考える | 現状に照らして考える。 |
| ~に照らして見る | 過去の例に照らして見る。 |
| ~に照らして妥当だ | 基準に照らして妥当だ。 |
2.「~に則って」について
「~に則って」は、規則・方針・慣習・方法などに従って行動するときに使います。「則る」は、「基準やルールに従う」という意味です。
そのため、「~に則って」は、考えるだけではなく、実際にそのルールどおりに進めるというニュアンスが強くなります。
よく一緒に使われる言葉は、次のようなものです。
- 法律に則って
- 規則に則って
- 方針に則って
- ルールに則って
- 手順に則って
- 伝統に則って
- 慣例に則って
例文
- 法律に則って、手続きを進めます。
- 会社の規定に則って、処分を行った。
- 学校の方針に則って、授業を進める。
- マニュアルに則って、機械を操作してください。
- 伝統に則って、式典が行われた。
- 国際ルールに則って、問題を解決する必要がある。
「~に則って」の後ろには、行う・進める・処理する・運営する・実施する・対応するなど、実際の行動を表す言葉が来やすいです。
| よく使う形 | 例 |
|---|---|
| ~に則って行う | 規則に則って行う。 |
| ~に則って進める | 手順に則って進める。 |
| ~に則って処理する | 会社の規定に則って処理する。 |
| ~に則って実施する | 計画に則って実施する。 |
3.「法律に照らして」と「法律に則って」の違い
「法律」は、どちらにも使うことができます。
しかし、意味は少し違います。
| 表現 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| 法律に照らして判断する | 法律を基準にして、正しいかどうか考える | 判断・評価 |
| 法律に則って手続きを進める | 法律のルールどおりに手続きを行う | 行動・実行 |
「則って」は、ルールに従って動く。
例文で確認しましょう。
- この契約内容は、法律に照らして問題がないか確認する必要がある。
- 契約の解除は、法律に則って正式な手続きを取らなければならない。
一つ目は、契約内容が法律上問題ないかを判断しています。
二つ目は、法律で決められた方法に従って手続きを実行しています。
4.「~に照らして」は少し硬い判断表現
「~に照らして」は、日常会話よりも、ニュース・論説文・ビジネス文書・法律関係の文章などでよく使われます。たとえば、以下のような文です。
- 今回の発言は、社会的責任に照らして不適切だったと言える。
- この政策は、現在の人口減少の状況に照らして再検討する必要がある。
- 過去の判例に照らして、今回の判断は妥当だと考えられる。
どれも、ある基準や状況をもとにして、適切かどうかを考える文です。
5.「~に則って」は公式・制度的な行動に使いやすい
「~に則って」は、ルール・制度・方針などに従って、きちんと行動する場面でよく使われます。
- 試験は、大学の規則に則って実施される。
- 個人情報は、社内ルールに則って管理されています。
- この大会は、国際基準に則って運営されます。
- 葬儀は、地域の伝統に則って行われた。
「~に則って」は、かなり硬い表現ですが、ビジネスやニュースではよく使われます。
日常会話では、「ルールどおりに」「決まりに従って」と言う方が自然なことも多いです。
6.「~に基づいて」との違い
似た表現に「~に基づいて」があります。
「~に基づいて」は、情報・資料・データ・考え方などを根拠にするときに使います。
| 文法 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ~に基づいて | 根拠・資料をもとにする | データに基づいて分析する。 |
| ~に照らして | 基準と比べて判断する | 法律に照らして判断する。 |
| ~に則って | ルールに従って行動する | 法律に則って手続きを進める。 |
この三つを一言で整理すると、次のようになります。
基準と比べて判断する → ~に照らして
ルールどおりに行動する → ~に則って
7.間違えやすい例
次の文はどうでしょうか。
- 会社の規則に照らして、手続きを進めた。
意味は完全に間違いとは言えませんが、「手続きを進めた」という実際の行動が続いているので、普通は次のように言う方が自然です。
- 会社の規則に則って、手続きを進めた。
反対に、次の文はどうでしょうか。
- 会社の規則に則って、この処分が妥当かどうか判断した。
これも意味はわかりますが、「判断した」が中心なので、次の方が自然です。
- 会社の規則に照らして、この処分が妥当かどうか判断した。
後ろに「行う・進める・実施する」が来るなら「~に則って」。
8.練習問題
次の文では、「~に照らして」と「~に則って」のどちらが自然でしょうか。
問題1 この判断が正しいかどうか、過去の事例( )考える必要がある。
問題2 個人情報は、会社の規定( )厳重に管理されています。
問題3 現在の状況( )、計画を変更した方がよいかもしれない。
問題4 式典は、昔からの伝統( )行われた。
答え
| 問題 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | に照らして | 過去の事例を基準にして考えるから |
| 2 | に則って | 会社の規定に従って管理するから |
| 3 | に照らして | 現在の状況を基準にして判断するから |
| 4 | に則って | 伝統に従って行うから |
まとめ
「~に照らして」と「~に則って」は、どちらも「何かを基準にする」表現ですが、ポイントは大きく違います。
| 文法 | 意味 | 後ろに来やすい言葉 | 覚え方 |
|---|---|---|---|
| ~に照らして | 基準にして判断する | 判断する・考える・検討する・評価する | 基準に光を当てて考える |
| ~に則って | ルールに従って行動する | 行う・進める・実施する・処理する | 決まりどおりに進む |
「~に則って」は、行動の表現。
この違いを押さえると、かなり使い分けやすくなります。

以上です。



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