「~させていただきます」
「私から説明させていただきます」
「資料を送らせていただきます」
「休業させていただきます」
ビジネスの場面でよく聞く「させていただきます」。とても丁寧に聞こえる便利な表現ですが、使いすぎると、かえって不自然に聞こえることがあります。
「明日休ませていただきます」と「散歩させていただきます」
例えば、会社で上司に「明日、休ませていただきます」というのは自然ですが、「毎日、近所を散歩させていただいております」というと、馬鹿ていねいと言うか、何やら変な感じがします。この辺りを探っていきましょう。

では、「させていただきます」は、いつ自然で、いつ変になるのでしょうか。
結論から言うと、
「させていただきます」は、相手の許可・配慮・恩恵を受けて何かをする時に自然です。
逆に、相手の許可や恩恵と関係ないことまで「させていただきます」と言うと、丁寧すぎて不自然になります。
一言で言えば、「させていただきます」は「あなたのおかげで、そうします」という気持ちがある時に使う表現です。
まず「させていただきます」の基本
「させていただきます」は、もともと次の二つが組み合わさった表現です。
| 部分 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| させて | することを許してもらう | 相手の許可・了解がある |
| いただきます | ありがたく受ける | 相手から恩恵を受ける |
つまり、「させていただきます」は、ただの丁寧語ではありません。
相手の許可や配慮を受けて、自分が何かをするという気持ちを表す敬語です。
自然な「させていただきます」
まず、自然な例から見てみましょう。
・本日は、こちらの会議室を使わせていただきます。
・来週、休ませていただきます。
・資料を拝見させていただきます。
・この場を借りて、お礼を述べさせていただきます。
これらは、比較的自然です。なぜなら、相手の許可・配慮・場の提供が関係しているからです。
| 表現 | なぜ自然か |
|---|---|
| 会議室を使わせていただきます | 相手の場所・設備を使うから |
| 休ませていただきます | 相手や職場の了解を得て休むから |
| この場を借りて述べさせていただきます | 発言の機会をもらっているから |
このように、相手の許可や配慮が感じられる場合、「させていただきます」は自然に聞こえます。
変になりやすい「させていただきます」
一方で、次のような表現は少し不自然に聞こえることがあります。
・私は毎朝、散歩させていただいております。
・今日は朝ごはんを食べさせていただきました。
・私は日本語を勉強させていただいています。
・この商品は大変人気とさせていただいております。
なぜ変に聞こえるのでしょうか。
理由は、相手の許可や恩恵が特に関係ないからです。自分が普通にしていることまで「させていただく」と言うと、へりくだりすぎて不自然になります。
| 不自然な例 | 自然な言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 散歩させていただいております | 散歩しています | 相手の許可が関係ない |
| 朝ごはんを食べさせていただきました | 朝ごはんを食べました | 普通の自分の行動だから |
| 勉強させていただいています | 勉強しています | 相手の許可が必要な行為ではない |
判断ポイントは「誰のおかげでできるのか」
「させていただきます」が自然かどうか迷ったら、次のように考えるとわかりやすいです。
その行動は、相手の許可・配慮・協力があってできることか?
そうなら「させていただきます」が自然。そうでないなら、普通の丁寧語で十分です。
たとえば、同じ「説明する」でも、場面によって自然さが変わります。
| 表現 | 自然さ | ニュアンス |
|---|---|---|
| 本日は私が説明します | 自然 | シンプルでわかりやすい |
| 本日は私が説明いたします | 自然 | 丁寧でビジネス向き |
| 本日は説明させていただきます | 場面による | 説明する機会をもらった感じが出る |
発表の機会を与えられた場面なら、「説明させていただきます」は自然です。しかし、単に担当者として説明するだけなら、「説明いたします」で十分です。
「ご案内させていただきます」は変?
ビジネスでよく聞く表現に、「ご案内させていただきます」があります。
・それでは、会場までご案内させていただきます。
・新サービスについてご案内させていただきます。
これは完全に間違いとは言えません。接客や営業の場面ではよく使われます。
ただし、少し重く聞こえることもあります。より自然にしたいなら、次のように言えます。
| 重めの表現 | すっきりした表現 |
|---|---|
| 会場までご案内させていただきます | 会場までご案内いたします |
| 新サービスについてご案内させていただきます | 新サービスについてご案内いたします |
「ご案内いたします」は十分丁寧です。無理に「させていただきます」をつけなくても失礼にはなりません。
「休ませていただきます」は自然?
「休ませていただきます」は、かなり自然に使われる表現です。
・明日は休ませていただきます。
・体調不良のため、本日は休ませていただきます。
これは、職場や相手の理解・許可を受けて休む感じがあるため、自然です。
ただし、少し事務的に言うなら、次の表現でも十分です。
| 表現 | ニュアンス |
|---|---|
| 本日は休ませていただきます | 相手の理解に感謝する感じ |
| 本日は休みます | シンプル。やや直接的 |
| 本日は欠席いたします | 事務的で丁寧 |
「閉店させていただきます」は変?
店の張り紙などで、次のような表現を見ることがあります。
・本日は都合により、閉店させていただきます。
・明日は休業させていただきます。
これはよく使われますが、少し不思議な表現でもあります。
なぜなら、客が店に「休業していいですよ」と許可しているわけではないからです。
ただし、店側としては「ご迷惑をおかけしますが、ご理解ください」という気持ちを込めて使っていると考えられます。
| よく見る表現 | よりすっきりした表現 |
|---|---|
| 休業させていただきます | 休業いたします |
| 閉店させていただきます | 閉店いたします |
「休業いたします」「閉店いたします」でも十分丁寧です。必要なら、「ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします」と添えれば自然です。
変になるパターン1:自分だけで完結する行為
「させていただきます」が変になりやすい一つ目のパターンは、自分だけで完結する行為です。
| 不自然 | 自然 |
|---|---|
| 毎日、読書させていただいております | 毎日、読書しています |
| 趣味で料理させていただいています | 趣味で料理をしています |
| 昨日は早く寝させていただきました | 昨日は早く寝ました |
自分の普通の行動にまで「させていただく」をつけると、敬語が過剰になります。
変になるパターン2:相手に恩恵を与える行為
二つ目は、こちらが相手にサービスを提供する場面です。
・資料を送らせていただきます。
・ご連絡させていただきます。
・確認させていただきます。
これらはビジネスでよく使われます。完全に間違いとは言えませんが、毎回使うと少しくどくなります。
多くの場合、次のように言えば十分です。
| 重い表現 | すっきり表現 |
|---|---|
| 資料を送らせていただきます | 資料をお送りします |
| ご連絡させていただきます | ご連絡いたします |
| 確認させていただきます | 確認いたします |
「いたします」は、十分に丁寧で、しかもすっきりしています。
変になるパターン3:何でもつける
「させていただきます」は便利なので、つい何にでもつけたくなります。
・開始させていただきます。
・終了させていただきます。
・販売させていただいております。
・開催させていただきます。
もちろん、場面によっては自然です。しかし、全部に「させていただきます」をつけると、文章全体が重くなります。
敬語は、長ければ長いほど丁寧というわけではありません。
丁寧さは、長さではなく、場面に合っているかどうかで決まります。
「させていただきます」を使うべき場面
では、どんな時なら「させていただきます」を使うとよいのでしょうか。
| 使いやすい場面 | 例 |
|---|---|
| 相手の許可を得て行う | 会議室を使わせていただきます |
| 相手に配慮してもらう | 明日は休ませていただきます |
| 機会を与えられて行う | 発表させていただきます |
| 相手のもの・場を使う | こちらを使わせていただきます |
このような場面では、「あなたのおかげでできます」という意味が自然に入るので、「させていただきます」が合いやすいです。
迷ったら「いたします」でよい
実際の会話やメールで迷った時は、「させていただきます」ではなく、「いたします」を使うと安全です。
| 迷いやすい表現 | おすすめ表現 |
|---|---|
| ご説明させていただきます | ご説明いたします |
| ご連絡させていただきます | ご連絡いたします |
| 確認させていただきます | 確認いたします |
| 対応させていただきます | 対応いたします |
「いたします」は短く、丁寧で、使える範囲も広い表現です。
日本語学習者に説明するなら
日本語学習者には、次のように説明するとわかりやすいです。
「させていただきます」は、ただの polite expression ではありません。
相手の許可や親切によって、自分が何かをする時に使います。
permission + benefit の感じがある表現です。
| 考え方 | 使う表現 |
|---|---|
| 相手のおかげでできる | させていただきます |
| 普通に丁寧に言いたい | いたします |
まとめ
「させていただきます」は、とても丁寧な表現です。しかし、何にでもつければよいわけではありません。
自然な「させていただきます」=相手の許可・配慮・恩恵を受けて行う
不自然な「させていただきます」=相手と関係ない自分の行動にまで使う
迷った時=「いたします」を使うとすっきりする
たとえば、
・説明させていただきます
・ご連絡させていただきます
・確認させていただきます
が少し重く感じる時は、
・説明いたします
・ご連絡いたします
・確認いたします
で十分です。
一言でまとめるなら、「させていただきます」は、相手のおかげでできる時だけ使うと自然です。丁寧にしたいだけなら、「いたします」で十分なことも多いのです。
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以上です。



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