「大」の読み方 大と小のはなし(Ⅰ)

大と小

 大の読み方は「大金庫(ダイキンコ)」では「ダイ」、「大金(タイキン)」では「タイ」、「大金持ち(オオガネモチ)」では「オオ」となります。これらの違いについて確認しましょう。

大金庫、大金、大金持ち

大金庫、大金、大金持ち

大(おお、だい、たい)

〔原則〕漢語につける大は「ダイ」

 大企業(だいきぎょう)、大洪水(だいこうずい)、大人物(だいじんぶつ)…のように「漢語(中国から来た言葉)」に大をつける時は”原則”「ダイ」と読みます。

漢語につける大は「ダイ」
大企業(ダイキギョウ)大洪水(ダイコウズイ)
大人物(ダイジンブツ)大豊作(ダイホウサク)
大草原(ダイソウゲン)大金庫(ダイキンコ)

漢語についても「オオ」と読む例

 しかし例外はたくさんあります。

漢語についても「オオ」
大道具(オオドウグ)大地震(オオジシン)
大騒動(オオソウドウ)大火事(オオカジ)

〔原則〕和語につける大は「オオ」

 大金持ち(おおがねもち)、大通り(おおどおり)、大売出し(おおうりだし)…のように日本に昔からある和語に大をつける場合は原則「オオ」と読みます。

和語につける大は「オオ」
大金持ち(オオガネモチ)大通り(オオドオリ)
大売出し(オオウリダシ)大立ち回り(オオタチマワリ)
大酒飲み(オオザケノミ)大入り袋(オオイリブクロ)

和語についても「ダイ」と読む例

 「大好き」(ダイスキ)「大嫌い」(ダイキライ)などが例外に当たるでしょうか。

大地震(おおじしん?だいじしん?)
おおじしん?だいじしん?

おおじしん?だいじしん?

 大地震は今日本のニュースでは「おおじしん」と言うようになりました。日常語としては「だいじしん」と言う人もいます。NHK(日本放送協会)では特に理由なく「大地震(おおじしん)、大震災(だいしんさい)」と読み習わしているそうです。

 漢語につける大に「おお」と読む例外が多数あるのは、いわゆる「漢語」も時が経ちこなれてくるともはや完全なる日本語となって、「おお」をつけたくなるのかもしれませんね。

大をタイと読む例

大食漢

大食漢

 どちらかと言えば少ない例として覚えておいた方が良いのが大を「タイ」と濁らずに読む例です。「ダイ」と同じ音読みですが、「ダイ」が呉音であるのに対し、「タイ」は漢音、比較的時代が新しいものです。

大を「タイ」と読む例
大火(タイカ)大海(タイカイ)
大食漢(タイショクカン)大病(タイビョウ)
大金(タイキン)大別(タイベツ)

 「ダイ」のように「大+企業」「大+洪水」と「大」の字を外しても成り立つ構成ではなく、「大+食漢」「大+別」のように「大」が分離できないような語に多いようなイメージがあります。

「大」が不可分でも「ダイ」と読む例

 かといって切り離せない一語になっていても「ダイ」と読む例も多いのです。

「大」が不可分でも「ダイ」と読む例
大学(ダイガク)大工(ダイク)
大根(ダイコン)大八車(ダイハチグルマ)

 以上、原則は原則として、例外がとても多いですね。この記事に挙げた例ぐらいは問題なく読めるようにしておいて、あとは一つ一つ確認しながら語彙を増やしていっていきましょう。

おおね → 大根 → ダイコン
ダイコン

ダイコン

 ついでにもう一つ。上の大根=ダイコンという読みにはちょっとおもしろい経緯があります。もともとダイコンは和語で「おおね」と言いました。漢字が導入されて漢字表記するようになると「大根」と書くようになったのです。

 この「大根(おおね)」を今度は音読みで読むようになって「大根=ダイコン」というのが一般的になったということです。

 同じような変遷をたどった言葉として「ひのこと」→「火の事」→「火事(カジ)」というものあります。

 

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