「…は…が~」の構造を持つ文
日本語には「私はあなたが好き」「象は鼻が長い」など、「…は…が~」の構造を持つ文型が多くあります。見かけは同じでも構造的に大きく3つに分類できます。以下の3つですが違いがわかりますか。
- (一)わたし は たこ焼き が 好きです。
- (二)大阪 は たこ焼き が おいしいです。
- (三)たこ焼き は わたし が 作ります。
3つの文の構造上の違いをはっきりさせましょう。まず主述関係をみましょう。第一文は「私は〔主部〕好きです〔述部〕」であるのに対し、第二文は「大阪はおいしいです」は変ですから「たこ焼きが〔主部〕おいしいです〔術部〕」となり明らかに構造が違うのがわかります。
つまり(一)は「私は好きです」、その好きな対象は何か「たこ焼き」です、という構造。(二)は「たこ焼きがおいしい」それは「大阪」においてである、と限定しています。
(三)の主述構造は「私が作ります」で(二)と同じです。そして(二)と同様に私が作るものは「たこ焼き」であるという限定を加えています。しかし(二)との違いは「私がたこ焼きを作る」のように「たこ焼き」が「対象(目的語)」になっていることです。
以上まとめると
では一つずつ確認しましょう。
わたし は たこ焼き が 好きです
「NはNが~」の形で「~」部が、感情・能力・希望を示す形容詞、動詞に限られる文型です。
例をあげます。
- 私は日本語が好きです。
- 王さんはテニスが上手です。
- 李さんは数学が苦手です。
- 張さんは韓国語ができます。
- 楊さんは車があります。
- 私はお金がほしいです。
- 私は焼き肉が食べたいです。
以下のようにまとめることができます。
(※ この形式の文は一般的に「ハ‐ガ構文」とは呼ばれません。)
大阪 は たこ焼き が おいしいです〔ハ‐ガ構文〕
この文は「象は鼻が長い」と同じ、いわゆる「象鼻文」です。一つの解釈として次のように考えてもいいかと思います。
「(大阪のたこ焼き)が おいしい」という形容詞文で「大阪のたこ焼き」を主題化して「取り立て」ることで「(大阪のたこ焼き) は おいしい」となり、「大阪のたこ焼き」の中の「大阪」だけを取り立てた表現が「大阪はたこ焼きがおいしいです」となる。
「象は鼻が長い」など日本語の難文については以下の記事もご覧ください。
たこ焼き は わたし が 作ります〔ハ‐ガ構文 その2〕
「Y は X が V」型構文
「たこ焼きは私が作ります」「犯人は警察が探しています」というような文を「ハーガ構文」の中の「YはXがV」型構文といいます。
- 私がたこ焼きを作ります。〔能動文〕に対し
- たこ焼きは私が作ります。〔目的語「たこ焼き」を主題化した〕
ということになります。
この例では目的語がモノで「たこ焼き」なので
- たこ焼きは私に作られた。
は不自然ですが目的語が人の場合
- 伊達が富澤を殴った。〔能動文〕
- 富澤は伊達が殴った。〔目的語主題化文〕
- 富澤は伊達に殴られた。〔受身文〕
となり、この形、つまり「Y は X が V」の形が受身の意味を持つことがわかります。
「X は Y が V」型構文
話し言葉で名詞句Xの後に「YがV」という節が続く場合も「ハ‐ガ構文」の一つとなります。
このあたりになると日本語中級レベルということになります。
以上「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」「みんなの日本語初級1」(第二版)(共に、スリーエーネットワーク刊)などを参考にさせていただきました。
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