「~かけ」と「~途中だ」
「~かけ」と「~途中だ」は、どちらも「まだ終わっていない」ことを表します。しかし、同じ未完了でも、注目している場面はかなり違います。

「~途中だ」は、今まさに進行している過程に注目する。
つまり、アスペクトの観点から見ると、「~かけ」は未完了・中断を強調する表現、「~途中だ」は進行中であること強調する表現だと言えます。

まずは一目で違いを確認
| 文法 | 基本イメージ | アスペクト | 例 |
|---|---|---|---|
| ~かけ | 始まったが、まだ終わっていない | 未完了・中断・途中で止まった感じ | 食べかけのパン |
| ~途中だ | 今、その過程の中にある | 進行中・継続中 | 今、食べている途中です |
「~かけ」は今も続いているとは限りませんが、「~途中だ」は基本的にその過程の中にいます。
「~かけ」の意味と使い方
「~かけ」は、動詞のます形からますを取って付きます。
例:読みかけ・食べかけ・書きかけ・言いかけ
N2では、まず次の意味をしっかり押さえておくとわかりやすいです。
① 始まったが、まだ終わっていない
この用法では、行為が少し進んだあと、まだ完了していない状態を表します。特に、途中で止まっている感じがよく出ます。
- 机の上に読みかけの本が置いてある。
- 食べかけのパンをそのままにして出かけた。
- パソコンには書きかけのメールが残っていた。
これらは「始めたが終わっていないもの」が、結果として残っている状態です。
② もう少しでそうなりそうだった
「~かけ」にはもう一つ、起こりそうになったが、実際には起こらなかったという意味もあります。
- 階段で転びかけた。
- 危うく秘密を言いかけた。
- 眠くて、会議中に寝かけた。
この用法は「~途中だ」とはかなり違うので、記事では①の未完了用法を中心に比較しつつ、②も補足で触れると理解しやすくなります。
そのため、完成していない・途中で止まっている・実現しかけた、という意味につながります。
「~途中だ」の意味と使い方
「~途中だ」は、動作や変化の過程の中に今いることを表します。
- 今、昼ごはんを食べている途中です。
- その件については、今考えている途中だ。
- 駅に向かう途中で、友だちに会った。
「途中」は名詞なので、Vている途中だ、Nの途中だ、V辞書形途中でなど、いくつかの形で使われます。ただし、今回の比較では、特に進行中・継続中という感覚が大事です。
「~途中だ」は、行為がすでに始まっていて、まだ終わっていない点では「~かけ」と共通しますが、今もその流れの中にいるという点がよりはっきりしています。
つまり、動作の時間の流れの中に、今まさに身を置いている感じです。
同じ「まだ終わっていない」でも何が違う?
では、同じ場面を二つの文法で比べてみましょう。
| 文 | ニュアンス |
|---|---|
| 食べかけのパンがテーブルにある。 | 食べ始めたが、食べ終わっていないパン。今は食べていない可能性が高い。 |
| 今、パンを食べている途中です。 | 食べる行為が今まさに進行中である。 |
上の二つは、どちらも「食べ終わっていない」点では同じです。しかし、視点が異なります。
- 食べかけ:パンの状態に注目している
- 食べている途中:食べる行為の進行に注目している
つまり、「~かけ」は途中まで行われた結果としての未完了を見ていて、「~途中だ」は今進んでいる過程を見ているのです。
言い換えられそうで言い換えられない例
1.「読みかけの本」
これは自然ですが、今その人が読んでいるとは限りません。本棚に何年も置かれていることもあります。
- 学生時代の読みかけの本が、まだ実家に残っている。
一方、ここで「読んでいる途中の本」とすると、不自然ではありませんが、今も読み進めている感じが強くなります。
2.「今、説明している途中です」
これは自然です。今まさにその説明が進行中だからです。
しかし、「説明しかけです」とは普通あまり言いません。言うなら、
- そのことを説明しかけたが、やめた。
- 彼は何か言いかけて、黙ってしまった。
のように、始まりかけたが、途中で止まったという文脈が必要になります。
「~途中だ」は“今も流れていること”が基本です。
使い分けのコツ
| こういうとき | 使いやすい文法 | 例 |
|---|---|---|
| 始めたが、終わっていないものを言いたい | ~かけ | 飲みかけのコーヒー |
| 今まさに進行中だと言いたい | ~途中だ | 今、会議の途中です |
| 起こりそうだったが起こらなかったと言いたい | ~かける | 転びかけた |
| 過程の中で別のことが起きたと言いたい | ~途中で | 帰る途中で雨が降った |
間違えやすいポイント
① 「~かけ」は何でも“今している”意味ではない
たとえば、食べかけのパンは、「今、食べているパン」ではなく、「食べ始めたが残っているパン」です。ここを「進行中」とだけ覚えると、意味がずれてしまいます。
② 「~途中だ」は状態の残り方を表しにくい
「読みかけの本」は自然ですが、途中だは普通、そのときその場の進行中を述べることが多いです。長く放置された未完了のものには、「~かけ」のほうが合います。
③ 「~かけた」は別の意味にもなる
「死にかけた」「転びかけた」などは、“もう少しでそうなるところだった”という意味です。ここは「~途中だ」と比べても意味が重なりません。
①未完了 ②実現寸前 の二つがあると整理すると混乱しにくくなります。
例文でまとめて確認
| 文 | 意味 |
|---|---|
| 彼は何か言いかけて、やめた。 | 言い始めたが、途中で止めた。 |
| 読みかけの小説を旅行に持っていく。 | 読み始めたが、まだ読み終えていない小説。 |
| 今、資料を作っている途中です。 | 資料作成が今進行中である。 |
| 駅へ行く途中で、先生に会った。 | 駅へ行く過程の中で、別の出来事が起きた。 |
まとめ
「~かけ」と「~途中だ」は、どちらも完了していないことを表しますが、アスペクトの見方が違います。
- ~かけ:始まったが、まだ終わっていない。中断・未完了の感じが強い。
- ~途中だ:今まさにその過程の中にある。進行中の感じが強い。
未完了を“今進んでいる過程”として見るなら「~途中だ」です。
この違いがわかると、「食べかけのパン」と「今、食べている途中です」の違いも、ただの言い換えではなく、話し手がどこを見ているかの違いだと理解できるようになります。

以上です。



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