「~てごらん」と「~なさい」
今回は、相手に何かをするように言う表現「~てごらん」と「~なさい」の違いを整理します。どちらも目上の人が目下の人に使いやすい表現ですが、言い方のやわらかさや命令の強さが違います。
① ~てごらん
このリンゴ、おいしいから食べてごらん。
② ~なさい
早く宿題をしなさい。

「~てごらん」は、相手にやさしく勧めたり、試しにやらせたりする言い方です。
「~なさい」は、相手にするように指示する言い方です。
つまり、~てごらんのほうがやわらかく、~なさいのほうがはっきりしています。
1.「~てごらん」と「~なさい」の基本的な違い
| 項目 | ~てごらん | ~なさい |
|---|---|---|
| 基本の意味 | やってみるように勧める | するように指示する |
| 話し手の気持ち | やさしい、親しみがある | しっかり言い聞かせる |
| 聞き手との関係 | 主に目上→目下 | 主に目上→目下 |
| 強さ | 弱い・やわらかい | やや強い・はっきり |
| よくある場面 | 食べる、見る、聞く、やってみる | 勉強する、座る、片づける、急ぐ |
2.「~てごらん」― やさしく勧める表現
~てごらんは、相手に「ちょっとやってみて」とやさしく促す言い方です。命令というより、勧める感じが強いです。
母親が子どもに言ったり、先生が生徒に言ったりする場面でよく使います。
- この漢字を書いてごらん。
- 分からなかったら、もう一度読んでごらん。
- この料理、おいしいから食べてごらん。
- 外を見てごらん。虹が出ているよ。
~てごらんは、相手にプレッシャーをかけず、自然に行動をうながす言い方です。
「ためしに」「ほら、やってみて」という感じをよく表します。
3.「~なさい」― はっきり指示する表現
~なさいは、相手にある行動をするようにはっきり言う表現です。こちらも親が子どもに、先生が生徒に使うことが多いですが、~てごらんより命令に近い感じがあります。
- 静かにしなさい。
- 早く寝なさい。
- 名前を書きなさい。
- 席に戻りなさい。
~なさいは、相手がするべきことをきちんと指示する言い方です。
やさしさがないわけではありませんが、勧めるというより「しなさい」と言い聞かせる感じです。
4. 同一動詞でのニュアンスの違い
同じ動詞でも、~てごらんと~なさいでは聞こえ方がかなり変わります。
① 食べてごらん。
→ やさしく勧めている。
→ 「おいしいから試してみて」という感じ。
② 食べなさい。
→ 食べるように指示している。
→ 「ちゃんと食べるべきだ」という感じ。
① 見てごらん。
→ 「ほら、見てみて」と相手の注意を向ける感じ。
② 見なさい。
→ 「見なさい」とはっきり指示する感じ。
~なさいは、相手に必要な行動をはっきり示す表現です。
5. 使える相手にも注意
どちらも、基本的には目上の人が目下の人に使う表現です。ですから、学生が先生に、部下が上司に使うのは普通ではありません。
不自然な例・
・× 先生、この問題を見てごらん。
・× 部長、早く来なさい。
自然な例
・○ 先生、この問題を見てください。
・○ 部長、こちらへお越しください。
~てごらんも~なさいも、相手との上下関係がはっきりしている場面で使う表現です。
対等な相手や目上の相手には、別の言い方を選びましょう。
6.「~てごらん」が使いやすい場面
~てごらんは、特に次のような場面でよく使われます。
- 実際に試してみてほしいとき
- 相手の注意を向けたいとき
- やさしく声をかけたいとき
- 難しく考えないで、まずやってごらん。
- この写真を見てごらん。きれいでしょう。
- もう少し大きな声で読んでごらん。
7.「~なさい」が使いやすい場面
~なさいは、特に次のような場面でよく使われます。
- 必要な行動をきちんとさせたいとき
- 生活上の注意を与えるとき
- 先生や親が指導するとき
- 遊ぶ前に宿題をしなさい。
- 使ったものは元の場所に戻しなさい。
- 危ないから、そこに立ちなさい。
8. 似ているけれど、どちらを使う?
迷ったときは、次のように考えると分かりやすいです。
- やさしく勧めたい → ~てごらん
- はっきり指示したい → ~なさい
特に、食べる・見る・聞く・やってみるのような動作には、~てごらんがよく合います。
一方で、宿題をする・静かにする・片づけるなど、守るべき行動には~なさいがよく使われます。
9. まとめ
| 表現 | 意味・ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| ~てごらん | やさしく勧める、試しにやらせる | この本を読んでごらん。 |
| ~なさい | はっきり指示する、言い聞かせる | 早く寝なさい。 |
「~てごらん」=やさしく勧める表現
「~なさい」=はっきり指示する表現
同じ「相手に行動をうながす表現」でも、やわらかさと命令の強さが違うと覚えればOKです。

以上です。




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