「なぜ」と「どうして」について考えましょう。
「なぜ」〔理由〕、「どうして」〔方法〕〔理由〕
「なぜ」は理由がわからず不審に思う気持ちを表します。
- なぜ勉強しなければならないのでしょう?〔理由〕
「どうして」も不審に思う気持ちを表しますが、「どうして」はもともと「どのようにして」つまり、”どのような方法によって”という意味を表すことから、
- どうして勉強すれば良いでしょう?〔方法〕
のように方法を表す用法がまず見られます。しかし、
- どうして勉強しないんですか?〔理由〕
のように理由を表し「なぜ」に置き換えることのできる用法もあります。
「どうして」について
「どうして」について、〔理由〕を表す時と〔方法〕を表す時をいくつかの例文で比較してみましょう。
- どうしてやらなければならないんだろう。〔理由〕
- どうしてあんなことをやってしまったんだろう。〔方法〕
- 人間はどうして生きるんだろう。〔理由〕
- 私はどうして生きていこうか。〔方法〕
- どうして勉強しないんですか。〔理由〕
- どうして勉強しようか。〔方法〕
〔理由〕を表す「どうして」は、話者の意志が届かない動作、つまり「無意志動作」の時、それに対して〔方法〕は、話者の意志で行える動作「意志動作」である場合であることがわかります。
「なぜ」「どうして」の用法まとめ
つまり「なぜ」「どうして」の用法は原則的には以下のようになります。
- 「どうして持って帰るのだろうか」…話し手の意志外〔理由〕
- 「どうして持って帰ろうか」…話し手の意志〔方法〕
〔理由〕か〔方法〕かあいまいな時
例えば
- どうして行きますか?〔理由? or 方法?〕
のように「理由」、「方法」のどちらにも理解できる言い方もでてきます。そういう場合はやはり理由を聞くなら「なぜ」を使う、方法を聞くなら「どうやって」を使うようにして誤解をなくすようにした方がいいでしょう。
(以上 気持ちをあらわす基礎日本語辞典 森田良行著 を参考にさせていただきました)
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