みんなの日本語(初級1)第35課 教案Tips

みんなの日本語第35課

みんなの日本語(初級1)第35課の重要ポイントについて解説します。第35課は「条件形」を学びます。

条件形(ば形)の作り方

条件形の作り方は、動詞Ⅰグループ(五段)はます形の「i」を「e」にし「ば」を付けます。Ⅱグループは「ます」を「れば」に換えます。Ⅲグループは「きます」→「くれば」、「します」→「すれば」。イ形容詞は「い」→「ければ」、ナ形容詞、名詞は「なら」を付けます。

条件形の作り方(動詞)

条件形の作り方(動詞)

条件形の作り方(動詞)

条件形の作り方(形容詞・名詞)

条件形の作り方(形容詞、名詞)

条件形の作り方(形容詞、名詞)

「~と」と「~ば」(条件形)の違い

 第23課で既習の「~と」と似ています。違いを確認しましょう。

「~と」「~ば」共通して恒常的依存関係を示す

  • 蛇口をひねる、水が出ます。
  • 蛇口をひねれ、水が出ます。

 要は「こうすればかならずこうなる」という関係を示す時、「~と」「~ば」共に使えます。(ニュアンスの差は後述)

「~と」と違い、「仮定」を表すことのできる「~ば」

  • ✕ 雨が降る、どうしよう。
  • 〇 雨が降れ、どうしよう。(もし、雨が降れば、どうしよう。)

 前件の条件が「仮定」となる場合(=「もし」を添加して成立する場合)のケースでは「~と」は使いにくくなります。

  • 〇 注射を打ってもらうと、治りました。
  • ✕ 注射を打ってもらえば、治りました。

 逆に、上の例のように、前件、後件ともに既に生じたことである場合、仮定を表す性質をもつ「~ば」は使えません。

「~と」と「~ば」まとめ

「~と」と「~ば」の違いまとめ

「~と」と「~ば」の違いまとめ

〔補足〕「~と」「~ば」のニュアンスの違い

「~ば」は後件を実現するための、条件を表すことが多いため(ex.「どうすれば、実現できますか?」)、前件に焦点のある条件文になります。「~と」の文とニュアンスの差が生じることがあります。
(主として言いたいことは黄色マーク部分)想定される質問
このボタンを押せ、回数券が買えます。「回数券はどうやって買いますか?」

このボタンを押す回数券が買えます

このボタンを押す切符が買えます

このボタンを押す駅員を呼べます。…

「この券売機はどうやって使いますか?」

「~ば」と「~たら」の違い

 次に、第25課で既習の「~たら」との違いについて。

  • 〇 雨が降れ、キャンプは中止です。
  • 〇 雨が降ったら、キャンプは中止です。
  • ✕ 午後になれ、散歩に行きましょう。①
  • 〇 午後になったら、散歩に行きましょう。
  • ✕ 田中さんに会え、よろしく伝えてください。②
  • 〇 田中さんに会ったら、よろしく伝えてください。

  ①そうなることが確実にわかっている場合②後件に意志、希望、依頼が来る場合、「~ば」は使えません。

「~なら」

 第35課では「名詞+なら」の形だけを学習します。

  • 旅行なら、京都か奈良がいいと思います。
  • 日本語の勉強なら、留学するのがいいと思います。

 「~なら」が「~と、~ば、~たら」と異なる点は、相手の発言を受けて発話するのがほとんどということです。

  • 「旅行に行きたいんですが、どこがいいですか?」
  • →「旅行なら、京都か奈良がいいと思います。
  • 「日本語を勉強するいい方法は何ですか?」
  • →「日本語の勉強なら、留学するのがいいと思います。

「~なら」と「~たら」

 「~なら」には「~たら」の「実現」という意味合いがなく「仮定」の感覚が強いため、以下のような例では意味に差が出ます。

  • パリへ行くなら、靴を買います。〔事前に靴を買う〕
  • パリへ行ったら、靴を買います。〔パリで靴を買う〕

〔参考〕「と、ば、たら、なら」まとめ

「と、ば、たら、なら」まとめ(新版)

「と、ば、たら、なら」まとめ(新版)

以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)などを参考にしました。

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