「そして」と「それから」の使い分け

「そして／それから」＝並列、時系列

　「今日、お姉さんと出かけました。そして公園で遊びました。それから家に帰ってゲームをしました」小学生が始めて書く作文にありがちな文です。接続詞の「そして」「それから」がやたら多く出てくるのが特徴です。

　物事を並べて言う時、特に時系列に述べる時「そして」「それから」は簡単で便利な接続詞です。

「そして」「それから」は二つの出来事が「並列」「時系列」に発生する時、前件と後件をつなぎます。

「そして」「それから」＝「並列」「時系列」

　以上のように意味が単純でとても使いやすい「そして」「それから」ですが、どうやって使い分けるのでしょうか？

　とりあえず、差を一言でいうと、

「そして」は並列的事項の接続、「それから」は時系列的事項の接続

　に用いられやすいという傾向があります。しかしこれだけではうまく使い分けられるようにはなりません。以下、微妙な違いのある具体例で確認していきましょう。

「昼は～、そして夜は～」という具合に「昼も夜も（どちらも）楽しんだ」んだよという「対比」に近い「並列」用法です。これを「昼は～、それから夜は～」とすると「時系列」でやったことを客観的に述べるだけというニュアンスになり、少し意図するところが変わってきます。

　例えば会議が終了した後、主催者が思い出したように次回予定を言い添える時は、

のように、「それから」を使うのが自然です。

　上の例では２つとも違和感のない文になります。しかし「ビール、日本酒、それからワイン」だと、飲んだ順が最初にビール、二番目に日本酒、最後にワインであることがイメージされるのに対し、「ビール、日本酒、そしてワイン」であると時系列に行っているとは限らないという印象を与える言い方になります。

　前件で起こったことを起点として「それ以来」「以後」の意味で「それから」を使うことがあります。

　以上のように「そして」は「並列」の意味が「対比」へと拡張され、「それから」の方は「並列」の意味は「添加」の方へ展開し、「時系列」の意味は強くそれが「以後～」と言う前件を受ける意味へ移っていったと考えてはどうでしょうか。

「そして」＝対比、「それから」＝添加、以後」

　以上、まとめます。

「そして／それから」用法まとめ

　以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブックスリーエーネットワーク社刊、使い方の分かる類語例解辞典小学館刊、などを参考にさせていただきました。