大の読み方は「大金庫(ダイキンコ)」では「ダイ」、「大金(タイキン)」では「タイ」、「大金持ち(オオガネモチ)」では「オオ」となります。これらの違いについて確認しましょう。
大(おお、だい、たい)
〔原則〕漢語につける大は「ダイ」
大企業(だいきぎょう)、大洪水(だいこうずい)、大人物(だいじんぶつ)…のように「漢語(中国から来た言葉)」に大をつける時は”原則”「ダイ」と読みます。
漢語につける大は「ダイ」 | |
大企業(ダイキギョウ) | 大洪水(ダイコウズイ) |
大人物(ダイジンブツ) | 大豊作(ダイホウサク) |
大草原(ダイソウゲン) | 大金庫(ダイキンコ) |
漢語についても「オオ」と読む例
しかし例外はたくさんあります。
漢語についても「オオ」 | |
大道具(オオドウグ) | 大地震(オオジシン) |
大騒動(オオソウドウ) | 大火事(オオカジ) |
〔原則〕和語につける大は「オオ」
大金持ち(おおがねもち)、大通り(おおどおり)、大売出し(おおうりだし)…のように日本に昔からある和語に大をつける場合は原則「オオ」と読みます。
和語につける大は「オオ」 | |
大金持ち(オオガネモチ) | 大通り(オオドオリ) |
大売出し(オオウリダシ) | 大立ち回り(オオタチマワリ) |
大酒飲み(オオザケノミ) | 大入り袋(オオイリブクロ) |
和語についても「ダイ」と読む例
「大好き」(ダイスキ)「大嫌い」(ダイキライ)などが例外に当たるでしょうか。
大地震(おおじしん?だいじしん?)
大地震は今日本のニュースでは「おおじしん」と言うようになりました。日常語としては「だいじしん」と言う人もいます。NHK(日本放送協会)では特に理由なく「大地震(おおじしん)、大震災(だいしんさい)」と読み習わしているそうです。
漢語につける大に「おお」と読む例外が多数あるのは、いわゆる「漢語」も時が経ちこなれてくるともはや完全なる日本語となって、「おお」をつけたくなるのかもしれませんね。
大をタイと読む例
どちらかと言えば少ない例として覚えておいた方が良いのが大を「タイ」と濁らずに読む例です。「ダイ」と同じ音読みですが、「ダイ」が呉音であるのに対し、「タイ」は漢音、比較的時代が新しいものです。
大を「タイ」と読む例 | |
大火(タイカ) | 大海(タイカイ) |
大食漢(タイショクカン) | 大病(タイビョウ) |
大金(タイキン) | 大別(タイベツ) |
「ダイ」のように「大+企業」「大+洪水」と「大」の字を外しても成り立つ構成ではなく、「大+食漢」「大+別」のように「大」が分離できないような語に多いようなイメージがあります。
「大」が不可分でも「ダイ」と読む例
かといって切り離せない一語になっていても「ダイ」と読む例も多いのです。
「大」が不可分でも「ダイ」と読む例 | |
大学(ダイガク) | 大工(ダイク) |
大根(ダイコン) | 大八車(ダイハチグルマ) |
以上、原則は原則として、例外がとても多いですね。この記事に挙げた例ぐらいは問題なく読めるようにしておいて、あとは一つ一つ確認しながら語彙を増やしていっていきましょう。
おおね → 大根 → ダイコン
ついでにもう一つ。上の大根=ダイコンという読みにはちょっとおもしろい経緯があります。もともとダイコンは和語で「おおね」と言いました。漢字が導入されて漢字表記するようになると「大根」と書くようになったのです。
この「大根(おおね)」を今度は音読みで読むようになって「大根=ダイコン」というのが一般的になったということです。
同じような変遷をたどった言葉として「ひのこと」→「火の事」→「火事(カジ)」というものあります。
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