「仕方ない」の反対は「仕方ある」?

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「仕方ない」の反対は「仕方ある」?

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  • ① 「お金がないからあきらめよう。仕方ないね。」
  • ② 「お金があるから買いに行こう。仕方あるね。」

 ①は正しい言い方です。②は「ない」を「ある」に替えて逆の意味を表そうとしたのですが、正しいでしょうか?

サ変動詞の「名詞+する」間の親和性

 上の問題を考える前に、ちょっと寄り道。

 私たちが習う「勉強します」「洗濯します」などのいわゆるサ変動詞(Ⅲグループ動詞の「~します」)は「勉強をします」「洗濯をします」のように間に「を」を入れることができるものが多いですね。

洗濯します

 サ変動詞(動詞形)に対して、「を」の入った形を(構文形)と言うことにしましょう。

動詞形構文形
勉強します勉強をします
洗濯します洗濯をします
仕事します仕事をします

 初期の頃にならうサ変動詞は上の表のようにほとんど構文形で使えるのですが、実は構文形ではほとんど使わない、あるいは使えないサ変動詞も多いのです。

動詞形構文形
集中します
存在します
利用します
増加します

 なぜ構文形にできるものとそうでないものがあるのか実はよく分かっていません。偉い先生方も研究中のテーマです。興味のある方のために参考リンクを一つ以下にご紹介します。

  「漢語サ変動詞の卓立性の再考」

 ここでは単純にサ変動詞を形成する「名詞」と「します」の結合力が強いものとそうでないものがあるという風に考えておきましょう。

 「勉強します」なら「勉強」と「します」の結合が強いので「勉強」を「します」と分けることが可能ですが、「集中します」は「集中」と「します」が強く結ばれているので間に「を」が入りにくいという風に理解しておきましょう。

「お金がない」と「仕方ない」

 さて、上で例として挙げたサ変動詞の「結合力」という観点で、表題例文の「お金がない」と「仕方ない」を比較してみると、「お金」と「ない」の結合力は弱く、「仕方」と「ない」の結合力が強いと考えればよいのではないでしょうか。

 ただし「仕方ない」は「仕方がない」という風に「構文形」にすることもできますが、相対的に結合力が強いのだと理解してはどうでしょうか。

 形容詞形構文形
結合弱お金がない
元気がない
結合中仕方ない仕方がない
面目ない面目がない(△)
結合強心もとない
はしたない

 より結合力が強くなった「心もとない」「はしたない」のように、もはや構文形にならないものもあります。

 上の表では、上から下へ徐々に結合力が強まって一語の形容詞化していくイメージがわかると思います。

「仕方ない」の反対は「仕方なくない」

 ですから、ある程度形容詞化の進んだ「仕方ない」の反対は「仕方ある」ではなくて、「仕方なくない」ということになりますね。

 形容詞形構文形反対語
結合弱お金ないお金がないお金がある
元気ない元気がない元気がある
結合中仕方ない仕方がない仕方なくない
面目ない面目がない面目なくない
結合強心もとない心もとなくない
はしたないはしたなくない

(以上、「なにげにてごわい日本語」すばる舎などを参考にさせていただきました。)

 

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