日本語初級の難所「ものの数え方」
ものの数え方は日本語の勉強を始めてすぐ出会う難所です。「一本(いっぽん)」「二本(にほん)」「三本(さんぼん)」…と日本人は無意識に言っていますが勉強するほうは大変。
とくに初級ででてくる「三回」と「三階」、なぜ「さんかい」「さんがい」と違うのか、実は日本人でもよくわからない。
これについて飯間浩明先生の「日本語はこわくない」におもしろい説明がありました。
まず大前提として
濁音は時代と共に清音化する
という原則があるそうです。
「三階」(さんがい)と「三回」(さんかい)
日本語の教科書では「三階」は「さんがい」、「三回」は「さんかい」と読むことになってしますが、実際の日本人の使い方は、多少「ゆらぎ」があるようです。
1997年の文化省調査では「三階」を「さんがい」と濁って読む日本人は70%、しかし若い世代の5-60%は「さんかい」と濁らずに読むと答えたそうです。
つまり時代と共に清音化が進み、おそらく現代ならより多くの人が「さんかい」と清音で読むのに違和感を持たなくなっているだろう、とのことです。
そして回数の「回」という数量詞は比較的最近になって使われ始めたということです。つまり、「回」は「階」よりも新しい言い方。よって、より新しい清音読みの方が定着したということのようですね。
「入獄」(にゅうごく)と「入国」(にゅうこく)
そう考えると、その他の長年の疑問が解けるかもしれません。例えば「入獄」(にゅうごく)と「入国」(にゅうこく)、「入国」の方が新しい言葉なのでしょう。
「4階」はなぜ「よんがい」ではなく「よんかい」
「階」について謎はもう一つあります。「4階」(よんかい)は濁りません。撥音(ん)の後は連濁するのがルールですから、「3階」(さんがい)が濁音化すれば、「4階」(よんかい)も本来は「よんがい」であるべきですが…
実は「4階」はもともとは「しかい」と読んだそうです。この「し(死)」を忌み言葉として避け、「よん」と読み代えた時、わざわざ「濁音化」せず「よんかい」として定着したのかもしれません。
「3000」(さんぜん)と「4000」(よんせん)
これも上の「4階」と同じ理屈です。4000はもともと「しせん」と読んだために、「し」を「よん」と変えても濁音化せず残ったのでしょうね。
理屈はわかっても、それでもやはり日本語の数量詞は複雑ですね。
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