旅は人生、そして人生は仲間と歩く旅。 京都から

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16級の先輩、九州外国語学院経由で京都の立命館大学に進学された于子萌さんからです。

はじめに

 2021年もあっという間に終わりを告げようとしています。コロナ禍の続く中、ソーシャルディスタンスの確保や、学校でもオンライン授業などが多い影響もあり、人と人との距離は文字通り遠くなり、コミュニケーションが希薄になりつつあるように感じます。

 そんな2021年という特別な年。私にとっても4月から日本の古都京都での大学院生活が始まった特別な年でした。充実した日々も、やがて徐々にハードさを増していき、いつも研究課題に追われるような毎日を過ごしています。

立命館大学

立命館大学(京都衣笠キャンパス)

 時折、南通大学や九州の語学学校での生活を振り返ることもあります。そんな時よく思うのは、大切なことは、どんな環境であっても、その時自分が置かれた環境で、自分のやれることやるべきことに全力で取り組むことなが大切だということです。

コロナ禍での大学院生活

オンライン授業 学校の授業は、コロナ緊急宣言時期にはほとんどがオンラインになりました。対面での人間関係のストレスこそ軽減されはしましたが、新入生の私にとっては、他人とすぐに連絡が取れないことで、新しい環境や、新しく経験することに対して、余分な緊張感を強いられました。圧迫感の中で、やや委縮していたようにも思います。だから、教授からはオンライン授業中のコミュニケーション不足の注意をよく受けました。

 私自身、自分では社会恐怖症じゃないかと思っています。慣れない人と接触すると緊張して落ち着かなくなる、とても葛藤のある人間なのです。しかし、人と接することがなくなってしまうと逆に、未知なるものへの不安が増大してしまいます。幸い、学校では素晴らしい仲間と出会ってクラスメートとも仲良くなり、ゼミの仲間もみんな気さくで素敵な人たちばかりです。

お茶する女性二人 大学や言語学校の友人たちは、それぞれ違う道を歩み、それぞれの悩みを抱えながらも、いつでも私の悩みを聞いてくれ、精神的に励ましてくれました。みんな、私が迷っているときには力を与えてくれ、困難に立ち向かう勇気を与えてくれるのです。

 学業上のストレス、就職への不安、将来への戸惑い、あらゆるプレッシャーが、コロナによって数倍にも膨れ上がっているかのように見えます。

古都、京都の生活

 ただ良い点もあります。京都はクラシカルで美しい街なので、一歩外に出て散歩するだけで、落ち込んだ気分が必ず癒される気がすることです。荘厳な金閣寺、古典的な姿で優美な清水寺、重厚で華麗な平安神宮。それに、どこか奥ゆかしい伏見稲荷大社や清流鴨川など…。週末にふらりと出かけて、ゆったりとして気分で歩いているだけで心が落ち着いていくのがわかります。

上左から「金閣寺」「清水寺」「伏見稲荷大社」「平安神宮」「鴨川」

手軽に行ける京都の名所。上左から「金閣寺」「清水寺」「伏見稲荷大社」「平安神宮」「鴨川」

花を愛する京都人

 京都に来て私が驚いたこと、そして好きになったことのひとつに、京都の人は花を育てたりするのが好きだということがあります。東京や大阪のような大都市ではない分、京都の人々は、目まぐるしく変化する環境に追われて生きるというのではなく、のんびりと生活を楽しんでいるように見えます。

 そこここに見える、良く手入れされたフラワーポッドや花壇を見るにつけ、京都人の花や植物に対する気配りや愛情が感じられます。私の通学路には、ほとんどの家の庭や塀の足元、玄関先にさまざまな花や植物が植えられています。塀の代わりに生垣で家を囲う家もあり、日常歩く普通の小道であっても、一年中違う景色が楽しめます。ゆっくりと時間が流れる京都で、人々が季節を敏感に感じ取り、その感覚の延長線上にこの植物たちがあるようです。街中に溢れる花や果樹の香りのように、私も、静かに、そして丁寧に日々の生活を感じとっていきたいと思います。

通学路で見つけた花たち

通学路で見つけた花たち

清水寺の桜

清水寺の桜

 

 京都の季節といえば、やはり桜の季節と紅葉の季節が有名です。この時期、普段は静かな京都もひときわ賑わいを見せます。

 今年は桜の季節に清水寺に行きましたが、桜に映える建物がより一層鮮やかで魅力的でした。

大学院入学、桜とパキラ

 私が入学したのは、桜が満開の頃でした。入学式の日に見た桜は本当にきれいでした。

立命館大学大学院入学式2021

入学記念品パキラ

入学記念品パキラ

 

 入学式では、学校からパキラの苗木をいただきました。受け取ったときは本当に驚きましたし、「木を育てる人、木とともに成長する人」になってほしいという学校側の思いを感じました。

 

 この木を見るたび、学校や社会からの期待が伝わってきて励みになります。パキラは今もどんどん成長して大きくなってきており、元の鉢では納まりきらなくなってきそうなので、新しい鉢に交換しようと思っています。

 

秋から冬の京都

 今は12月。紅葉の季節はあっという間に過ぎました。日本に来る前は中国の南方に住んでいて、常緑樹が多く、晩秋でも緑色のカエデの葉しか見ることができません。

 京都に来る前には福岡に1年半住んでいましたが、九州は温暖な海洋性気候のため、確かにとても住みやすいところだとは思いました。が、逆に四季折々の季節感を感じるような景色を経験することはありませんでした。

紅葉

 京都に来て初めて、もみじの紅葉がこんなに鮮やかで情熱的なものだと知りました。厳粛で荘厳な感じのする秋から冬にかけての紅葉は、まるで炎が躍っているようで、ひときわ鮮やかさが際立って見えます。

各地への旅行

 京都内の旅行だけではなく、今学期は少し遠出をした楽しい旅行がいくつもありました。たくさんの新しい友達ができたり、旧友と旅の日々を過ごすこともできました。春は大阪で紫陽花を、夏は瀬戸内海のさまざまな島へ、秋は奈良公園で鹿と遊び、神戸では夜景を、冬は和歌山や白浜で海を見ました。

日本の旅

上部左から「奈良公園の鹿」「久安寺の紫陽花池」「直島にある草間弥生さんの作品「南瓜」(一番有名な黄色の南瓜は台風9号の強風で飛ばされ破損したそうです…)「白良浜 雪のように白い砂浜と、宝石のように澄んだ海」「神戸摩耶山の夜景」

大阪USJにて

大阪USJにて

 一番楽しかったのは、大学時代からの友だちと一緒に大阪のUSJ(Universal Studio Japan)に行ったことです。

 この夏、何度かUSJに行きましたがUSJは私に世界でいちばん幸せを与えてくれる場所なのです。シアターもジェットコースターも楽しくて、USJにいると興奮がとまりません。

 そしてもちろん一番大切なことは、一緒に楽しむ仲間がいてくれることです。すべての思い出が忘れられないものになりました。

旅は人生、人生は旅

 今年はコロナ禍で皆さんにとって、それぞれの立場で大変な一年だったと思います。私にとっても仕事の悩み、勉強の悩み、人間関係の悩みなどがあり大変な年でした。私の留学生活はコロナとほぼ同時に始まり、入試準備から実際に大学院に入学するまで、全てのことが前例がないことで、さまざまな困難にも遭遇しました。

 大学院に入ってからは、徹夜が当たり前となり、ほぼ毎日が、寝不足と大きなストレスを抱える女3人旅生活となりました。あきらめようと思ったことも一度や二度ではありません。そんな時のことを思い出すと、やはり、旅へ出る期待や喜び、そして仲間の励ましや応援があったからこそ頑張ってこれたのだと思います。

  旅の意味とは?この文章を書くために、過去の写真を見ながら、心からの感動と喜びが、蘇ってきました。そのことが最高の答えです。

 私は、この美しい国を、もっともっと知りたいと思いながら各地を回り、そして私自身の人生の旅をしてきました。そしてこれからもこの旅を続けていきます。そして、人生の旅路で出会うすべての風景は、私の癒しとなってくれることでしょう。

 だからあなたも、どんなに忙しい毎日でもあなたの周りの風景を見つめなおす時間を持ちましょう。そしてあなたが会いたい友達に会いに行きましょう。そうすれば、きっと人生も捨てたもんじゃないと、思えることでしょう。

 

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