「1から10」「10から1」をどう数えるか?

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「1から10」「10から1」を多くの日本人はこう数えます

  • 1,2,3,・・・と昇順で読む時はこういう人が多いです。

  (「く」を「きゅう」という人もいます。)

  • 10から1へカウントダウンすると以下のように変わる人がほとんどです。

 携帯では見にくいので以下に図示します。

1-10 10-1読み方

 なぜこうなるのか。実はちゃんとした理由があるのです。

昇順と降順で読み方が変わる理由

昇順が正式な読み方、それに対し、降順はいろんな意味で言いやすい言い方だからです。

正式な1~10は先ほどの昇順なのですが、これは言いなれているのでほとんどの人は正式な読み方で読みます。

  ところが、外国語を勉強したことのある人ならわかるかもしれませんが、1から10より、10から1のカウントダウンの方が慣れていないので、言いにくいものなのです。one two three four、、、はすぐ覚えても、さて、tenから逆に数えなさいと言われたら、慣れないうちはとても難しい。

 このため、日本語のように複数の読み方があるものについては、正式な言い方にこだわらず、言いやすい方、日頃言いなれている方の読み方で言ってしまうのです。

 「言いやすい」理由は二つあります。

 まず、

「し」「しち」よりも、「よん」「なな」の方が発声が楽

 であることがあげられます。

 そして次の理由の方が大きいのですが

日本人は「し(死)」や「く(苦)」が嫌い
 つまり「し(死)」「しち(死地)」「く(苦)」を避けるという意識が働くということが、降順時の読み替えにつながっているのです。
「く」→「きゅう」、「しち」→「なな」、「し」→「よん」の3点です。
だから降順は以下のようになります。

少し詳しい説明

 では、なぜ昇順の読み方が正式な読み方といえるのでしょうか?それには少し漢字や数字の読みについての歴史を知る必要があります。

和語、呉音、漢音、唐音について

 日本には、もちろん太古の昔から日本語という言葉がありました。ただし話し言葉だけで、昔々は文字がありませんでした。その当時からあった言葉を「和語」といいます。

 和語の世界に、4世紀以降文字(漢字)と共に大量の中国語の語彙が流入しました。

 それらは「漢語(かんご)」と呼ばれますが、中国が時代によって繫栄した場所が異なるため、大まかに古い方から「呉音」「漢音」「唐音」という三種類に分かれています。それぞれの時代にそれぞれの地方で話されていた発音が、漢字と共に日本へ入っていったということです。

呉音、漢音、唐音の導入

呉音、漢音、唐音の導入

 「呉音」「漢音」「唐音」の読みは例えば以下のようなものです。日本語の漢字の音読みが複数あるのは多くはこの違いによるものです。

「呉音」「漢音」「唐音」の例

「呉音」「漢音」「唐音」の例

「1から10」の各数字の読み方を分類すると

 現在の「一」~「十」の読み方を上のな「和語」「呉音」「漢音」「唐音」に分類すると、以下のようになります。

1-10昇順

 要するに、日本語の正式な読み方は原則として「呉音」によっているということが言えます。とてもスッキリしていますね。

 これが先に言った理由、読みやすいさ、および「し」死と「く」苦を忌み言葉として嫌ったために以下のような変則的な読み方が、降順に読む時使われる、ということになるのです。

 なるほど、ですね。

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