「~たりとも…ない」「~だに」「~にして」「~あっての」「~からある」〔N1文法〕

「たりとも…ない」「だに」「にして」「あっての」「からある」
いろいろな強調
 強調表現「~たりとも…ない」「~だに」「~にして」「~あっての」「~からある」(N1レベル)について比較します。

何を強調する?

・あなたのことは1日たりとも忘れたことはありません
・その病気が広まって100万人以上の人が死ぬなど、想像するだに恐ろしい。
・結婚して8年目にしてようやく子供を授かった。
・結婚は相手あってのことだから、相手がいないとどうしようもない。
・10トンからあるこの石を、古代の人々はどうやって運んだのだろう。

 強調するものは以下のようにまとめることができます。上記例文と見比べて理解しましょう。

「たりとも…ない」「だに」「にして」「あっての」「からある」何を強調するか

 以下、個別に例文とともに詳述します。

~たりとも…ない

~たりとも…ない
 ~も…ない、まったく…ない
・試合中は一瞬たりとも気を抜いてはいけません
・この部分の設計は1ミリたりとも誤差がないようにお願いします。
・何人たりともこの神聖な場所に立ち入ることは許されません
最小単位を例として示し、まったくないことを強調します。

~だに

~だに
 ~だけでもそのような状況なのだから、実際ははるかに程度が高いだろう
・私がスターになるなんて、夢にだに思わなかった。
・戦争が始まるなんて、想像するだにおそろしいことです。
・そのニュースを聞いても、彼女は微動だにしなかった。
慣用的な言い方が多く、使用される語彙、ケースは限定されます。以下6つぐらいを個別に覚えておけばよいでしょう。
想像するだに(恐ろしい)
聞くだに(可哀そうだ)
予想するだに(しなかった)
夢にだに(思わなかった)
微動だに(しなかった)
考えるだに(おそろしい)

~にして

~にして
 ~という高い段階・特別な条件に合っている・合っていない
・プロの職人にして失敗をするのだ。君が失敗してもしょうがないだろう。
・この曲はベートーヴェンのような天才にしてはじめて書ける作品だ。
・やれやれ、この親にしてこの子あり。二人ともよく食べる。
高い段階に至っていることや特別であることを示す言葉につきます。

~あっての

~あっての
 ~があるからこそ、あることが成立する(~の大切さを強調)
・海あっての漁業なのだから、海を汚染してはいけない。
・読者あっての雑誌なので、読者が読みたいと思うものを提供したい。
・国民あっての政治家であるということを忘れてはいけない。
~の意義・恩恵、必要不可欠なものであることを強調する。

~からある・~からする・~からの

~からある
 ~か、それ以上の数・数量である
・彼は30キロからあるスーツケースを2つ持って留学に出かけた。
・彼女は10万円からする服を、値段も見ないで何着も買った。
・そのデモには10万人からの人々が参加したそうだ。
量・数の大きさを強調します。使い分けは以下。
・「~からある・~からの」:重さ・距離・大きさ・量
・「~からする」:値段
・「~からの」:人数

問題

練習問題です。(   )内に入れるのに適当なものを選んでください。

1.~3.から適当なものを選びましょう。
(1)私たちの税金は(    )たりとも無駄にしてほしくない。
   1.1万円        2.千円       3.1円
(2)明日は6時の新幹線で東京に向かいます分た。1分たりとも(    )。
   1.遅れたらどうしよう  2.遅れないように 
   3.遅れたら次のに乗るように 
(3)あのチームが決勝戦に勝ち進むとは、だれも(   )だにしなかった。
   1.思う        2.考えて      3.予想
(4)テロとか襲撃などの言葉は(   )だに恐ろしい。
   1.経験する      2.聞く       3.死ぬ  
(5)3回目の挑戦にして(    )。
   1.やっと成功した   2.いつも成功だ     3.2回成功した
(6)60歳にして(    )。
   1.趣味の写真が楽しかった    2.初めて海外旅行した
   3.退職した
(7)過去の失敗あっての(   )だ。
   1.反省         2.成功      3.連続
(8)病気が全快しました。(   )あっての回復です、感謝しています。
   1.健康         2.命       3.家族の協力
(9)この研究会では(   )からある資料を、毎週読まなければなりません。
   1.1ページ      2.15ページ    3.150ページ
(10)そのオーディションには(   )人が応募した。
   1.1万人からする   2.1万人からいる  3.1万人からの
(11)宿題が終わるまでは、(   )家から出しませんよ。
   1.1歩たりとも    2.1歩すら    3.1歩だに
(12)この竹細工はこの道五十年の(   )できる作品なのだ。
   1.武田さんですら   2.武田さんにして  3.武田さんだに
(13)(   )結婚生活ではないだろうか。
   1.愛あっての     2.愛にしての   3.愛すらある
(14)(   )毎日歩いて学校に通った。
   1.4キロすらある道を 2.4キロあっての道を 3.4キロからある道を

(1)3.(2)2.(3)3.(4)2.(5)1.(6)2.(7)2.(8)3.(9)3.(10)3.(11)1.(12)2.(13)1.(14)3.

まとめ

 以下にまとめます。

「たりとも…ない」「だに」「にして」「あっての」「からある」まとめ表

以上、新完全マスター「文法」日本語能力試験N1(スリーエーネットワーク社)を参考にしました。

 

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