【語源】「矢」を含む言葉

「矢」という文字を含む言葉を集めました。

一矢を報いる

相手から受けた攻撃・非難が、とうてい対抗できないレベルである状況で、たとえわずかであっても負けずにやり返すこと
・SNS上を中心に非難の嵐であったが、記者会見での冷静かつ論理的な対応によって、ようやく一矢を報いることができた。
一矢を報いる 「一矢」は一本の矢のこと。矢ぶすま()をつくる相手に対して、ひるむことなく一矢を放つことから。
 同音の「一死」も「報いる」とともに使いますが、もともと「一矢を報いる」とは起源の言葉です。
「一死をもって(=一つしかない命をなげうって)恩義に報いる」

矢面(やおもて)に立つ

質問・非難・攻撃などの集中する立場に身を置くこと。
・新制度への批判が高まる中、担当大臣が矢面に立って説明責任を果たした。
 「矢面(やおもて)」とは、文字通り「矢が飛んでくる正面」、つまり攻撃の集中する場所。
 そこに「立つ」ということで、相手からの攻撃の集中する場所に逃げずに身を置いて、責任を果たす態度のことをいいます。

矢庭に

その場で。たちどころに。即座に。いきなり。
・彼は矢庭に立ち上がり、何も言わずに部屋を出て行った。
矢庭に襟首をつかまれ、罵倒された。
 矢庭に怒る人「矢庭(やにわ)」は、矢を射ているまさにその場、という意味です。平家物語に「矢庭に射殺さるる者八人」などという用法が見られ、「矢庭に」は「その場で~」となり、「たちどころに」という意味が生まれてきたようです。
「見つかったと知って、やにわに逃げ出した。」
 さらに、「いきなり」「それまでの状況と変わって突然に」というニュアンスが加わることも多いようです。
「それまで静かにしていたのにやにわに怒り出した。」

矢継ぎ早

続けざまにすばやく物事をすること。

矢継ぎ早に質問する人

・矢継ぎ早に質問を浴びせる。
・矢継ぎ早に改革案を出す。
 もとは矢を次々と弓につがえて射ることを言いました。そこから物事を続けざまに手早くすること。たたみかけてすること、またはそのさまを表すようになりました。

矢も楯もたまらず

あることをしたいという気持ちをこらえることができないさま
矢も楯もたまらず母校の応援に駆けつける。矢も楯もたまらず
・本郷の下宿で、夜、机に凭れて遠くから聞こえてくる出征の万歳などを耳にすると、矢も楯もたまらず〔千枝子に〕会いに行きたいと思ったものだ。『福永武彦・草の花』
 矢でも盾でも制することができないほど、はやる気持ちをいいます。

光陰矢の如し(こういんやのごとし)

月日の早く過ぎゆくたとえ
・大学を卒業してからもう四十年か、光陰矢の如しだね。
・松過ぎの又も光陰矢の如く〈高浜虚子〉
光陰矢の如し(こういんやのごとし)

光陰矢の如し(こういんやのごとし)

以上、明鏡ことわざ成句使い方辞典(大修館書店刊)などを参考にしました。
 
 
 

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