「ながら」のいろいろな意味について整理します。
「ながら」の4つの意味
「ながら」には一見、ばらばらに思える4つの意味があります。
1.同時進行:「音楽を聴きながら勉強する」
2.逆接 :「貧しいながらも幸せな家庭」
3.状態保持:「昔ながらのたたずまい」
4.全部 :「三度ながら失敗した」
2.逆接 :「貧しいながらも幸せな家庭」
3.状態保持:「昔ながらのたたずまい」
4.全部 :「三度ながら失敗した」
これら4つの意味について、その関連性を確認しながら見ていくことにしましょう。
① 「同時進行」同時に他の動作を行う
もともとの意味、「その動作をするのと同時に他の動作を行う、同時進行の意味を表します。
・音楽を聴きながら勉強します。
・飲みながら話そう。
・爆音を響かせながら走り去っていった。
・飲みながら話そう。
・爆音を響かせながら走り去っていった。
同時進行を表す「~ながら」「~っぱなし」「~つ~つ」の比較
② 「①同時に成り立つ」→ その一方で、…にもかかわらず
同時進行つまり「二つの動作が行われる」という過程で、一つ一つの動作に着目すると「その一方で」という意味になり、さらに「…にもかかわらず」「…ではあるが」ということを表すようになります
・貧しいながらも、楽しい我が家。
・頂上を目前にしながら、やむなく引き返した。
・陰ながら協力します。
・頂上を目前にしながら、やむなく引き返した。
・陰ながら協力します。
逆接の意味の「~ながらも」「~ものの」「~つつも」の比較
③ 状態保持
これも同時進行動作の、片方の動作に着目し、それが継続しているという考え方で「そのまま変化しない状態で続く」という意味を表します
・昔ながらのたたずまい。
・いつもながら感心する。
・居ながらにして楽しめる。
・いつもながら感心する。
・居ながらにして楽しめる。
「さながら」
「さながら」も「そう+ありながら」=「そのような状態のままで」=「そのまま」ということで、この「ながら」の派生的表現です。

「さながら」は「そのまま」から「ちょうど・まるで」という意味が生まれます
「さながら」「まるで」「あたかも」「ちょうど」の比較
【参考】「~ながら」を変わらない状態「様態」を表すとして、「~ばかりだ」「~ともなく」「~きらいがある」などと比較
④「全部」
同時進行の片方に着目するのと反対の考え方で、両方(全部)ひっくるめる形で「…どもども」「全部」の意味を示すこともあります
・三度ながらしくじった。
・親子ながらにけんかっ早い。
・親子ながらにけんかっ早い。
以上、明鏡国語辞典(第三版)大修館書店 を参考にしました。
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