「揺らす」「揺する」「揺さぶる」の違い

「揺らす」「揺する」「揺さぶる」

「揺らす」「揺する」「揺さぶる」の違いについて考えましょう。

『木の葉の魚』安房直子から

 例によって、まずは、中国の日本語学科3年次の標準テキスト『日語総合教程第五冊』から少し長めに引用します。

すると、「これから母さんの言う事をようく覚えておくんだよ。これは不思議な鍋でね、この中に山の木の葉を二、三枚入れて蓋をして、ちょっと揺すって又蓋を開けると、木の葉はすばらしい焼き魚になるんだよ。そこに柚子でも絞って食べてごらん。そりゃもう、とびきりのご馳走だから」
 不思議な鍋に木の葉を三枚入れて、揺すると焼き魚ができると嫁に行く娘に伝える場面です。「揺する」は「小刻みにふるえるように動かす」(新明解国語辞典)というイメージで、ゆっくり動かす「揺らす」とは区別されて使われています。

「揺らす」「揺する」「揺さぶる」

  • ブランコを揺らす
  • 木を揺すって実を落とす。肩を揺すって笑う。
  • 気絶した人を肩を揺さぶって起こす。
三つとも、「ゆらゆらと前後、左右、上下などに動くようにする」意味の他動詞であることは共通です。「揺らす」は「力を加えてその物を揺り動かす」という最も一般的な言葉です。「揺する」は「小刻みにふるえるように、または、ゆったりと弧を描くように動かす」こと、「揺さぶる」は「なんらかの刺激を与える目的で大きく揺れるようにする」ことです。

「やさしく」「細かく」「強く」

「揺らす」「揺する」「揺さぶる」、どれぞれの動かし方を一言でいえば「やさしく揺らす」「細かく揺する」「強く揺さぶる」ということになります。

「揺らす」「揺する」「揺さぶる」表

動かす対象の変化

「揺する」「揺さぶる」はその動作の特徴から、「揺する」は「人から金品をまき上げる」という意味が生まれ、「揺さぶる」は心や状況への働きかけにより、「心を揺さぶる(感動する)」、「世の中を揺さぶる大事件」のような抽象化した言い方が生まれます。

「揺らす」「揺する」「揺さぶる」派生意味

以上、新装版「使い方の分かる類語例解辞典」(小学館)などを参考にしました。

 

 

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