みんなの日本語(初級2)第43課 教案Tips

みんなの日本語(初級2)第43課の重要ポイントについて解説します。第43課では①様態の「そうだ」、②「~てくる」について学びます。

「そうだ」(様態)

 様態の「そうだ」は、動詞ます形、形容詞について。対象の外観の印象から推察したことを述べる言い方になります。

  • もうすぐ桜が 咲きそうです。
  • 今年の夏は 暑く なりそうです。
  • この料理は 辛そうです。
  • 彼女は 元気そうでした。
 第47課では伝聞の「そうだ」を学ぶことになります。伝聞の「そうだ」は普通形接続となります、私は予告編的に以下の例示をします。
  • おいしそうです。〔様態〕(見て判断)
  • おいしいそうです。〔伝聞〕(聞いて判断)

〔参考〕様態の「そうだ」と伝聞の「そうだ」

以下は43課段階では教師用メモ

「そうだ」接続まとめ

「そうだ」接続まとめ

様態「そうだ」の接続例外「いい」と「ない」

 「いい」「ない」に接続する時は「よさそう」「なさそう」になります。

  • 彼女は 頭が よさそうです。
  • あの店には なさそうです。

「~てくる」

「動作動詞+てくる」の形で「動作動詞」による動作が終わってから「来る」つまり発話時点の場所に戻る動作を表します。

  • 台所からお皿を取って来ます。
  • ちょっとジュースを買って来ます。
  • 郵便局へ行って来ます。

買ってきます

家を出る時のあいさつ表現「いってきます!」も同じ考えで理解できます。

いってきます

〔参考〕「~てくる」「~ていく」について

「~てくる」と「~ていく」をセットで既習事項を総合的に復習してから、本課の「~てくる」導入につなげてもいいでしょう。以下に「~てくる」「~ていく」についてまとめました。

最初に「来る」と「行く」について

まず日本語の「来る」と「行く」について確認しましょう。

「来る」は「話者の発話時点の場所に近づく動き」、「行く」は「話者の発話時点の場所から離れる動き」を表します。
「来る」と「行く」

相手に近づく時も「行く」

 相手に近づくときも、この原則は変わらず日本語では「行く」ですが、英語や中国語では「come、来」が使われるので注意が必要です。

「行きます」=「I'm coming」=「我来了」

「行きます」=「I’m coming」=「我来了」

以上の前提で「~ていく」「~てくる」について考えましょう。「空間的用法」と「時間的用法」に分けて考えます。

「~ていく」「~てくる」の空間的用法

動詞の種類によって三つの用法があります。

移動様式を表す場合

①移動様式を表す 歩く、走る、飛ぶ、泳ぐ、乗る、送るなど
  • 遅れそうになったので、走ってきました
  • 北京なら飛行機に乗っていった方が便利だ。

 これら本来移動を表す動詞の場合、「移動の様式」つまり「どのような手段」で移動したかを表すことになります。

 主体の移動でなく、対象が移動する場合もあります。

  • 実家から、畑でとれた野菜を送ってきた。
  • 夜中に電話をかけてこられたので少し驚いた。

動作の結果状態を伴って移動することを表す場合

②動作の結果状態を伴って移動 着る、はく、(眼鏡を)かける、持つ、連れる
  • 今日は寒いので厚手のコートを着ていった方がいいね。
  • 通勤用の革靴を履いてきたので、山登りは大変だった。

 何かを身に付ける、あるいは携帯する、連れていくというタイプの動詞では、その動詞の行為の結果を伴って移動することを表します。

①②以外の一般的な動作動詞の場合

③その他の一般的動作動詞 食べる、買うなどの動作動詞や一部の感覚動詞
  • お客様のところへ行く前に、お土産を買っていった
  • 外で食べてきたので、ごはんはいらないよ。

 「食べる」「買う」などの一般的な動作を表す動詞の場合、その動作の後に生じる移動を表します。

  • 夕食時、隣の家からいい匂いがしてきた
  • お寺から鐘の音が聞こえてきました

 などの感覚動詞の場合も、広義にこの分類に入る用法といえます。

「~ていく」「~てくる」の時間的用法

 今(基準時)より以前から今(基準時)までの推移を「~てくる」、今(基準時)から以後への推移を表す場合には「~ていく」が使われます。

「~てくる」「~ていく」時間的用法

「~てくる」「~ていく」時間的用法

  • 今まで頑張ってきたのだから、これからも頑張っていきましょう。
  • 積もった雪も、昼から太陽が出てとけてきた
  • 我々は常に変わっていかなければならない

以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)などを参考にしました。

 

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