みんなの日本語(初級1)第34課 教案Tips

みんなの日本語第34課

みんなの日本語(初級1)第34課の重要ポイントについて解説します。

第34課の導入文型

第34課の導入文型は3つです。
  1. (動詞た形/名詞+の)+とおりに+動詞
  2. (動詞た形/名詞+の)+あとで+動詞
  3. (動詞て形/動詞ない形+ないで)+動詞

「~とおりに」

た形+とおりに+動詞

  • 見たとおりに、話してください。
  • 母に習ったとおりに、作りました。
  • 私がやったとおりに、やってください。★

★第34課では「た形」限定ですが、模範となる動作をこれからする場合、「私がやる通りに、やってください」も成立します。

名詞+とおりに+動詞

  • 説明書のとおりに、組み立てました。プラモ組み立て中
  • 線のとおりに、紙を切ってください。
  • このとおりに、書いてください。★

★「とおり」(通り)は名詞ですので「この」「その」「あの」に接続します。

「~あとで」

  • 新しいのを買ったあとで、なくした時計が見つかりました。
  • 仕事のあとで、飲みに行きませんか。

 第16課で既習の「~てから」と比較して、①「前件が準備ではないこと」②「前後関係を強調した言い方」であることに注目しましょう。

〔参考〕「~あとで」「~あと」「~まえに」「~まえ」

 余裕があれば「あとで」「あと」「まえに」「まえ」について整理しておいてもよいでしょう

〔参考〕「~あとで」「~あと」の違い

「Pあとで、Q」は単にQがPよりあとに起こることを表します。

これに対し、「Pあと、Q」は「Qという動作・できごとが継続すること」を表します。

〔参考〕「まえに」「まえ」の違い

「~あとで」「~あと」の違いと対応しています。

「PまえにQ」は単にQがPより前に起こっていたことを表します。

これに対し、「Pまえ、Q」は「P以前に、Qという動作・できごとが継続していたこと」を表します。

例文といっしょにまとめると以下のようになります。

「あとで」「あと」「まえに」「まえ」

「~て」「~ないで」

  • 傘を持っ 出かけます。①
  • 朝ごはんを食べ 出かけます。②

 まずは「て形」の用法に注目します。①は「付帯状況」つまり「傘を持つ」という動作をしながら「出かける」、②は「継起」つまり「朝ごはんを食べ終わって」から「出かける」ということで、「て形」としての用法が異なります。「付帯状況」「継起」用法の「て形」を否定にすると「~ないで」となります。これが第34課で学習する「~ないで」となります。

  • 傘を持たないで 出かけます。
  • 朝ごはんを食べないで 出かけます。

「付帯状況」「継起」用法の「~ないで」は「~ずに」に言い換えることができます。

  • 傘を持たずに 出かけます。
  • 朝ごはんを食べずに 出かけます。

以下に参考として解説しますが、

「て形」の用法によって、その否定形は「~ないで」「~なくて」「~ずに」と三つに分かれる、ということを教師は把握しておきましょう。(以下に解説)

〔参考〕「~ないで」「~なくて」「~ずに」

「~て」の5用法

 「て形」には「継起(順次動作)」以外に「付帯状況」「手段」「原因・理由」「並列」を表す用法があります。それぞれ典型的な例文を覚えておきましょう。

  • 窓を閉めて、寝ました。(継起)
  • 手を上げて、横断歩道を渡りました。(付帯状況)
  • 包丁を使って、料理をしました。(手段)
  • 彼が来て、安心した。(原因・理由)
  • 太郎は合格して、次郎は合格しなかった。(並列)

 5用法の動詞が否定になったときどうなるか検証してみましょう。

  • 窓を(〇閉めないで/×閉めなくて)、寝ました。(継起)
  • 手を(〇上げないで/×上げなくて)、横断歩道を渡りました。(付帯状況)
  • 包丁を(〇使わないで/×使わなくて)、料理をしました。(手段)
  • 彼が(×来ないで/〇来なくて)心配した。(原因・理由)
  • 太郎は(〇合格しないで/〇合格しなくて)、次郎は合格した。(並列)

 ルールは以下のようになります。

  • (継起)(付帯状況)(手段)を表す「~て」の否定 → ないで
  • (原因・理由)を表す「~て」の否定 → なくて
  • (並列)を表す「~て」の否定 → どちらでもOK
 原因・理由を表す「~て」は「なくて」になる

 と覚えておいてもいいかもしれません。

「~ずに」

「~ずに」は「~ないで」に似ています。少しだけ「硬い」言い方となります。(並列)では使えないという特徴があります。

  • 手を上げ(〇ずに)、横断歩道を渡りました。
  • 包丁を使わ(〇ずに)、料理を作りました。
  • 太郎は合格せ(×ずに)、次郎は合格した。

〔参考〕「~ないで」「~なくて」「~ずに」まとめ

 以上まとめると以下のようになりますね。

 ~ないで~なくて~ずに
継起×
付帯状況×
手段×
原因・理由××
並列×

(〇:使える、×:使えない)

以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック、中上級を教える人のために日本語文法ハンドブック(共に3Aネットワーク刊)などを参考にしました。

 

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