みんなの日本語(初級1)第23課の重要ポイントについて解説します。
「~とき」「~と」
第23課では、「時の設定」をする「~とき」、「条件」を表す「~と」の文型を扱います。
- 図書館で本を借りるとき(時)、カードが要ります。
- このボタンを押すと、お釣りが出ます。
「~とき」の文型では「相対テンス」の考え方、「~と」の文型では日本語における条件を示す「と」「ば」「たら」「なら」の四つを意識しながら教えることをお勧めします。
「~とき」「~と」接続
「~とき」は基本普通形に接続しますが、ナ形容詞は「…なとき」名詞は「…のとき」となります。「~と」は普通形に接続します。ただしこの課では「辞書形」に接続する場合のみを導入します。
- 暇なとき うちへ遊びに 来ませんか。〔ナ形容詞+なとき〕
- 学生のとき、アルバイトをしました。〔名詞+のとき〕
相対テンス
発話時点を基準にして過在、現在、未来のテンスを使い分けるのが「絶対テンス」。英語は絶対テンスの言語。これに対し日本語はうせつ「相対テンス」の言語です。「相対テンス」とは、
発話時ではなく「主節の動作時」を基準に過去、現在、未来を使い分ける:相対テンス
例えば、「カバンを買う」「日本へ行く」という二つの動作があるとします。どちらが先かによって二通りに分かれます。
「カバンを買う」を主節にすることにしたら、「カバンを買う」時が基準になって、それより前は「ル形」(タ形以外の述部をル形といいます)、それより後のことは「タ形」で表します。
- 日本へ行くとき…
- 日本へ行ったとき…
「カバンを買う」の方のテンスはどうなるかというのは、普通に発話時との前後関係で決まります。
- 日本へ行くとき、カバンを買います。
- 日本へ行ったとき、カバンを買います。
- 日本へ行くとき、カバンを買いました。
- 日本へ行ったとき、カバンを買いました。
相対テンスは、以上を板書しながら順々に説明していくと、とてもわかりやすい!
条件節をみちびく「~と」
- スイッチを押すと 電気がつきます。
- つまみを回すと 音が大きくなります。
- 春になると 桜が咲きます。
- 右へ曲がると 郵便局があります。
「~と」で表す条件-帰結の関係は、反復的、恒常的になりたつ依存関係(必然の関係)を示します。このあたりは数多く例文を提示した方が理解し易いかもしれません。
〔参考〕「~と」もう一歩踏み込んで
別途「~と」は、前件、後件ともに既に起こった事柄を示すことで「継起」関係に近い表現ができます。
- 窓を開けると、心地よい風が入ってきた。
- 彼女にメッセージを送ると、すぐに返事が来た。
〔参考〕条件を示す「と」「ば」「たら」「なら」の違い(概要)
- スマホがあると、何でもできます。
- スマホがあれば、何でもできます。
- スマホがあったら、何でもできます。
- スマホがあるなら、何でもできます。
上のように4つとも使える例もあります。ただし文によっては、使えたり使えなかったりがとても複雑です。
原則的に以下のようになります。
と → ば → たら → なら、の順に「条件」→「仮定」を示すようになる
下図のようなイメージです。
と:必然 ば:原則 たら:実現 なら:仮定 です。
次の代表的な例文を頭に入れておくのが一番手っ取り早いと思います。
- 蛇口をひねると、水が出る。〔必然〕
- 黙って座れば、ピタリと当たる。〔原則〕
- 着いたら、連絡してね。〔実現〕
- 飲んだら乗るな、乗るなら飲むな。〔仮定〕
使える範囲が一番広いのが「たら」
「たら」はほぼ万能! 例外は以下↓
「たら」はほとんどすべての条件を示す文で使えます。迷ったら、「たら」にするのが無難かもしれません。
「たら」が使えない例は一つ。
「なら」の用法中、「乗るなら飲むな」、「日本語を勉強するなら南通大学」のように“アドバイスする意味で使う場合の「なら」”はそのまま「たら」には代えられません。
ただその時も「~のだったら」の形に変えればOK。
「乗るんだったら飲むな!」
「日本語を勉強するんだったら〇〇大学!」だったら言えます( ´艸`)。
以上です。
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