「よね」について(「よ」「ね」との比較)

「よ」と「ね」がいっしょに用いられた「よね」について考えましょう。

「よね」

「よね」は「よ」と「ね」が組み合わさった形で、意味は「ね」に近いです。基本的に「聞き手が知っていると思われることについて、同意を求めたり確認したりする」という点で「ね」と同じです。
  • この映画、おもしろかった
  • この映画、おもしろかったよね
上の例では意味上の大きな差はありませんが、文例によっては、微妙な意味の違いがあったり、「よね」しか使えないものがあります。以下にご説明します。

「よ」と「ね」

まずは、終助詞「よ」と「ね」について復習しましょう。文末の「よ」はその文が聞き手に向けられたものであることを明示する働きが強く、相手に注意を促して教えてあげる場合に使います。これに対し「ね」は、相手に確認し、同意を求める気持ちを表します。

・注意喚起し教える
・共通認識を念押しする
朝だね

「よね」は基本的に「よ」と「ね」の意味を足し合わせた意味ですが、後置する「ね」の意味が強くなり、全体として「ね」に近くなります。

「よね」と「ね」の違い

「よね」と「ね」で意味上の違いが生じる例

発話内容に確信がもてないケース

  • 会議は1時半からでした。①
  • 会議は1時半からでしたよね。②
②の「よね」では発話内容に対して「発話者自身、確信が持てない」というニュアンスが加わります。
上の理由として、前置された「よ」は「相手への注意喚起」ではなく「自信のない話者が自分自信に向けた確認」の意味合いを持つからと考えられます。
  • 今日は 寒いです。〇 ③
  • 今日は 寒いですよね。△ ④
例えば、上のような例では、「寒い」ことはほぼ確実なことがわかっている状況ですから「よね」は使いにくいということになります。

以前から知っていたことを言うケース

  • 岡本君は字が上手だ。⑤
  • 岡本君は字が上手だよね。⑥
⑤はその場で岡本君の字を始めて見て褒めているような状況が想像されますが、⑥は実際に字を見ない状況で「確か字が上手だったよね」と言及したり、字を見て「やっぱり字が上手だよね」と再認識しているニュアンスが伝わります。

「よね」しか使えない例

 上記①②の比較などの延長線上で、「発話者自身、自信が持てないものの、なんとか信じたい」という気持ちで発せられる以下のような例は「よね」を使うのが好適となります。

  • あれ、電気がついている。さっき確か消した(よね/✕ね)。
  • 財布がない!さっき、ここにあった(よね/✕ね

「よ」「ね」しか使えない例

  • 空港までどのくらいかかりますか?
  • 40分ぐらいです(/✕よね)。
疑問詞疑問文に対する答えには、「よね」は使えません。
以上、初球を教える人のための日本語文法ハンドブック、中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)などを参考にさせていただきました。

〔補足参考〕自分に向く終助詞と相手に向く終助詞

 以下、私の語学の恩師であった名古屋大学平井勝利先生(故人)に教えていただいたことです。昔々のことですが、「なるほど!すごい!」と納得したことを覚えています。 終助詞には「自分の気持ちを述べる(自分向き)」「相手に投げかける(相手向き)」二つの方向性があります。そしてそれは助詞によって決まっています。単独で用いる場合は、すべて相手方に投げかける意味となる(「よ」は相手に教える「ね」は相手に念押し)。しかし「複合助詞」となると、「自分向き」「相手向き」の相対性から必ず「よね」となる(「ねよ」とはならない)。その際に「自分向き」の「よ」は、「相手に対するより、むしろ自分に向いた「よ」、自分に教える、すなわち自ら確認する」という意味合いを強くします。このような観点に立ってさまざまな「終助詞」の「相対的向き」を確認してみると面白いでしょうね。
以上は参考でした。

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