中国語学習の第一歩
「吃饭了吗?」はあいさつ
その昔、外国人が中国語を習う時の教科書には「こんにちは!=吃饭了吗?」つまり「ご飯食べた?」というのが中国式あいさつなのだと書いてあった(そうだ)。
さすがに現代では出合った時、いきなりこの言葉を使われたことはないが、中国にいると会話の中で「もうご飯は食べましたか?」と聞かれることが多い。
日本でこの言葉を使うのは「まだなら一緒に食べに行きませんか?」という意味なので、「まだ。」と答えて食事に行こうとすると「そうですか、私はもう食べました。」という意外な答えが返ってくることも多い。
要はあいさつ代わり、中国人は、単に食べたか食べてないか聞いているに過ぎない。
薬は食べるもの?
続いて中国では「薬を飲む」を「吃药」つまり「薬を食べる」と表現するのだと習う。私の中国語の恩師は、かつて中国では薬草のようなものをむしゃむしゃ食べて服用していたので、食べるというのだとおっしゃっていた。
が、それではちょっと芸がないので考えてみた。
食べる・飲む
日本語の「食べる」とは「咀嚼(そしゃく)をともなう」つまり「咬んでお腹に入れる動作」、そして「飲む」とは「咬まずにお腹に入れる動作」と日本人は考えていないか。
吃,喝
これに対して「吃」は「固体物をお腹に入れる」行為、「喝」は「液体物をお腹に入れる」行為と中国の方は認識しているとしよう。
食べる vs 吃、飲む vs 喝の意味のずれ
上のように理解すると、「食べる」と 「吃」、「飲む」と「喝」はそれぞれ「意味領域」が異なるということになる。
このずれの部分が「薬を飲む」に当たるのかもしれない。
固体を咬まずにお腹に入れる=飲む、吃
こういうことだ。意味のずれが生じる領域、つまり「固体を咬まずにお腹に入れる」すなわち「薬を服用する」ような動作は、必然的に日本語では「薬を飲む」、中国語では「吃药」となるのではないだろうか。(下図ご参照)
以上、真偽のほどはわからない。ただ、語学を学ぶ時。母国語と対象語が、完全に1対1で対応するものではないということは、常に意識しておかねばならないことである。
往々にして大いなる誤解の種となるからだ。
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