「~とはいえ」「~といえども」「~と思いきや」〔N1文法〕

「とはいえ」「といえども」「と思いきや」
逆接表現のいろいろ
「~とはいえ」「~といえども」「~と思いきや」の違いについて考えましょう。

「~とはいえ」「~といえども」「~と思いきや」

・未成年者といえども、公共の場で勝手な行動をしてはいけない。〔事実〕
・たとえどんな金持ちといえども、愛情は買うことはできない。〔仮定〕
・成人したとはいえ、まだまだ社会のルールは学ばねばならない。〔話者の認定〕
・成人と思いきや、年を聞くと17歳だった。〔話者の考え〕
上の三つの文を比べてみると、「~といえども」では「~」という事実・仮定に対して…、「~とはいえ」は「~」という話者が認めたことに対して~、「と思いきや」は「~」という話者が思ったことに対して~、(「~」は思いに反すること)という違いがあります。
 ~といえども (誰もが認める)事実・(話者の)仮定
 ~とはいえ  話者が認めたこと
 ~と思いきや  話者が思ったこと

 以下、個別にみていきましょう。

~といえども

~といえども
 ~は事実であるが・事実であっても・~の立場の人であっても
・人間は大自然の前で無力だといえども、国を挙げて対策を講じる必要がある。
・いかに困難な状況にあったといえども、罪を犯したことは許されない。
・現在のような不況下、たとえ経営の神様といえども、この会社の再建は難しいだろう。
後件には、主に義務・覚悟・話者の主張を表す表現が来る。「たとえ・いかに・どんな」などの言葉を伴う場合も多い。

~とはいえ

~とはいえ
 ~は事実かもしれないが、それでもやはり状況は同じだ
・ダイエット中とはいえ、出されたご馳走に手を付けないなんて失礼だと思う。
・12月に入ったとはいえ、まだ年末という気がしない。
・あの時は仕方なかったとはいえ、ご迷惑をおかけしました。
前件は、話者が事実だと認めていることを表す表現。後件は前件に反する話者の評価を表す言葉がきます。

~と思いきや

~と思いきや
 ~と思ったが、実際はそうでなかった
・試験は簡単で、満点だと思いきや、名前を書くのを忘れて減点された。
・長期政権が続くと思いきや、あっけなく退陣に追い込まれた。
・工事が終わって、やっと静かになるだろうと思いきや、また別の工事が始まった。
全体として話者の予想に反した事実に対する話者の驚き・意外感を表す文となります。

問題

練習問題です。(   )内に入れるのに適当なものを選んでください。

1.~3.から適当なものを選びましょう。
(1)試験の結果は予想通りだとはいえ、(   )。
   1.あまりショックではなかった    2.不合格だった
   3.やはりショックだった
(2)このテーブルは高いとはいえ、(   )。
   1.一生ものだ     2.思い切って買った  3.すぐ壊れた
(3)(   )といえども、勉強しなければいい成績は取れないだろう。
   1.初めての試験    2.簡単な試験     3.入学試験
(4)失業したといえども、(   )。
   1.家賃を滞納してはいけない   2.彼はまた高い車を買った
   3.高いものを買うな
(5)彼女のお母さんだから、静かな人だと思いきや(    )。
   1.とても賑やかな人だった   2.やはりとても静かな人だった
   3.とてもきれいな人だった
(6)あの弱小チームは、1回戦で負けると思いきや(   )。
   1.やはり1回戦で負けた   2.だれも勝つとは思わなかった   
   3.決勝戦まで進んだ
(7)いくつか間違いがある(   )、李さんの日本語の作文は素晴らしい。
   1.ものを        2.とはいえ     3.と思いきや
(8)今日は1日中晴れる(   )、午後から土砂降りの雨になった。
   1.とはいえ      2.と言っても     3.と思いきや
(9)事情を知らなかった(   )、失礼な質問をしてしまった。
   1.ところを      2.ものを       3.とはいえ
(10)その計画は意義がある(   )、人々の支持は得られないだろう。
   1.ものを       2.とはいえ      3.と思いきや

(1)3.(2)1.(3)2.(4)1.(5)1.(6)3.(7)2.(8)3.(9)3.(10)2.

以上、新完全マスター「文法」日本語能力試験N1(スリーエーネットワーク社)を参考にしました。
 

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