「ず」「べし」「ごとし」「たり」「まじ」…などは、日本語としては古い表現ですが、現代日本語でも普通に使われています。N1、N2レベルで出題される古い言葉をまとめて覚えましょう。
問題
最初に問題です。( )内の言葉を適当な形にして下線部に入れてください。
- 旅行先で帽子をなくし、方々探したが、結局 じまいだった。
(見つかる) - じっと見ているだけでは状況は まい。
(変わる) - 夏休みの宿題を早めに片付けようと つつ、時間がたってしまった。
(思い) - 通訳になる道が、どんなに と、私はあきらめない。
(つらい) - 選手たちはミスを連発した。 べくして負けた試合だ。
(負ける) - 彼の態度はすぐ帰れと んばかりだ。
(言う) - 目標を達成 んがため、彼女は必死でがんばった。
(する) - 私が本当のことを が が、彼は態度を変えないだろう。
(打ち明ける)
1.見つからず、2.変わる、3.思い、4.つらかろう、5.負ける、6.言わ、7.せ、8.打ち明けよう、打ち明けまい
古い表現
「~つつ」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~つつ | ~つつ | ~ながら | 将来のことを考えつつ進路を決める。 |
~つつある | ~ているところ | 次第に涼しくなりつつある。 | |
~つつ(も) | ~けれども | 危険な女だと知りつつ、彼女に近づいた。 |
「~せよ」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~せよ | ~にせよ | ~しろ、にしても | 忙しいにせよ、連絡ぐらいできるでしょ。 |
「~ず」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~ず | ~もかまわず | 関係なく | 値段もかまわず買い物する。 |
~を問わず | を問わないで | この仕事は男女を問わずできる。 | |
~にかかわらず | に関係なく | 送料は重さにかかわらず200円です。 | |
~にもかかわらず | にも関係なく | 大雨にもかかわらず多くの人が集まった。 | |
~ずじまいだ | ないで終わった | 連休はどこへも行かずじまいだった。 | |
~ずにはいられない | ないではいられない | 喉が渇いて水を飲まずにはいられない。 | |
~ざるを得ない | なければならない | 週末も働かざるを得ない。 | |
~にとどまらず | にとどまらないで | 国内にとどまらず、海外でも人気だ。 | |
~ならいざしらず | ならわからないが | 赤ん坊ならいざしらず、挨拶ぐらいしなさい。 | |
~をものともせずに | を問題にしないで | 危険をものともせず立ち向かった。 | |
~ずにはすまない | ないではすまない | 物を壊したらあやまらずにはすまない。 |
「~べし」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~べし | ~べきだ | なければならない | 今日できることは今日するべきだ。 |
~べきではない | てはいけない | 女性に年齢を聞くべきではない。 | |
~べからず | てはいけない | 彼女は危険な女だと知りつつ近づいた。 | |
~べく | ために | サッカー選手になるべく毎日練習した。 | |
~べくもない | 必要のない | これは疑うべくもない事実だ。 | |
~べくして~ | 当然の結果だ | 事故は起きるべくして起きた。 |
「~まい」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~まい | ~まい ① | ~ないだろう | 確認したし、間違いはあるまい。 |
~まい ② | ~ないようにしよう | あんなことは二度とするまい。 | |
~ではあるまいか | ~かもしれない | このままでは解決しないのではあるまいか。 | |
~(よ)うが~まいだ | ~しても、~しなくても | 雨が降ろうが降るまいが私は行く。 | |
~ではあるまいし | ではないのだから | 子供ではあるまいし、我慢しなさい。 |
「~かろう」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~かろう | ~かろうが | ~であっても | どんなに難しかろうが、やってみせる。 |
「~まじ」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~まじ | ~まじき | ~てはいけない | これは許すまじき行為である。 |
「~たり」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~たり | ~たるものは | ~であるものは | 紳士たるものは優しくなければならない。 |
~たりとも…ない | ~であっても…ない | 一日たりとも練習を休まない。 |
「~ごとし」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~ごとし | ~ごとく、ごとき | ~ようだ、ような | 下記のごとく、規定を定める。 裏切りのごとき卑劣な行為は許さない。 |
「~いかん」
古い言い方 | 文法形式 | 意味 | 例文 |
~いかん | ~いかんだ | ~がどうであるか | 面接の結果いかんで採用が決定する。 |
~いかんによらず | ~がどうかに関係なく | 年齢いかんによらず給料は同じです。 |
日語総合教程第五冊中の「古い表現」集
つつ
今日、自然は、その調和を乱しつつある。緑の山野は、一面に枯れ山となり、清流は濁流となり、野生の獣はもちろん鳥や魚も一日一日少なくなる。
P64第3課「日常の思想」
P64第3課「日常の思想」
せよ
外の対象に投げかけることによって結果的に治癒する感情の波というものは、たいてい、とりたてて深刻なものとは限らぬにせよ、当の本人にとっては他人に知られずに秘めておきたい、高度にプライベートな類のものである。
P88 「庭」
P88 「庭」
余暇というものをどう考えたらよいかという問題について、哲学的考察をせよというのが新聞社が私に与えた課題である。
P62 第3課「日常の思想」
P62 第3課「日常の思想」
ず
正造が、国会で火のような弁舌をふるって忠告したにもかかわらず、明治政府は、「群馬・栃木の両県の田畑で作物が枯れたりしているのは事実だが、足尾銅山の鉱毒が原因かどうかは分からない。」と言って、問題を採り上げようとしなかった。
第2課「田中正造」
第2課「田中正造」
科学技術の発展と共に、生産力は向上し、人間の労働時間が短縮するのは、資本主義国と社会主義国とを問わず、科学技術を採用している現代の文明のたどる必然の方向であるからである。
第3課「日常の思想」
第3課「日常の思想」
べし
「政府は間違っている。やるべきことは、谷中村を犠牲にして鉱害の範囲を小さくすることではない。足尾銅山の採鉱を停止させ、鉱害が絶対に起こらぬ設備を造らせることだ。」
第2課「田中正造」
第2課「田中正造」
まい
これに気付いた警察は、農民たちを東京へ入れまいとして、あちこちの橋を壊して回る。
第2課「田中正造」
第2課「田中正造」
「こんな時にただで魚を振舞うこともあるまい。うちも貧乏なんだから、魚一匹につき、米一合でも、大根一本でも、いくらかの金でも、もらったらいいと思うが……」
第5課「木の葉の魚」
第5課「木の葉の魚」
かろう
しばらくはその美しさに見とれたあと、お姑さんがため息をついて言いました。こんな所に沈められて、この先、どうやって生きていったらよかろうかと。
第5課「木の葉の魚」
第5課「木の葉の魚」
以上、新完全マスター「文法」日本語能力試験N1,N2 (スリーエーネットワーク社)を参考にまとめました。
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