「~際に」「~にあたって」「~に先立って」〔N2文法〕

「際に」「あたって」「先立って」

「~際に」「~にあたって」「~に先立って」の違いについて考えましょう。

『なぜ車輪動物がいないのか』本川達雄 から

日語総合教程第五冊から

われわれが歩く際には、足は地面をズルズルと擦って歩いているのではなく、動いている方の足は宙に浮いているし、地面についている方の足は、その場所を踏みしめたままだ。だから、地面との摩擦が大きくなっても、歩く効率はあまり落ちない。
『ゾウの時間ネズミの時間』本川達雄 から

上の文の「際に」は「われわれが歩くにあたって、…」または「われわれが歩くに先立って、…」では少し変になります。

「際に」は、もっとも一般的で意味範囲の広い「時に」とほぼ同義で、やや改まった表現と言えるでしょう。

問題

問題をやりましょう。正しい方を選んでください。

  1. 図書館を利用した( 際して・際に)マイナンバーカードを見せた。
  2. 入学式は大講堂( において・にあたって)行われた。
  3. 株式公開( 以来・に先立って )社内説明会が行われる予定だ。
  4. 社会人になる(  にあたって・にあたっての)一人暮らしを始めた。
  5. 帰国( にあたって・ 際に )あいさつ回りをしておこう。
  6. 海外旅行に( 先立つ・先立って )保険に加入しておいた。
  7. 喉が渇いた( 際には・先立って )しっかり水分補給をしてください。

1.際に、2.において、3.に先立って、4.にあたって、5.にあたって、6.先立って、7.際には

「際に」vs.「~にあたって、~に先立って」

「~際に」は「~の動作」の①始まる前、②始まってから、の双方の時を示せるのに対し、「~にあたって」「~に先立って」は「~の動作」の①始まる前しか示せないようです。
・歩く時には、帽子をかぶります。(歩く前、歩いているとき、どちらともとれます)
・歩く際には、帽子をかぶります。(歩く前、歩いているとき、どちらともとれます)
・歩くにあたって、帽子をかぶります。(歩く前に帽子をかぶります)
・歩くに先立って、帽子をかぶります。(歩く前に帽子をかぶります)

「~にあたって」vs.「~に先立って」

共通して使えるケースも多いですが、「~にあたって」は「特別なことをする前の準備」「~に先立って」は「何かをする前の、特別なこと」を表すとき使いやすいです。
・テレビに出演するにあたって、2時間かけてメイクをした。
・就職するにあたって、スーツを3着購入した。
・試合を始めるに先立って、両チームの代表が選手宣誓をした。
・講演を行うに先立って、主催者が挨拶をした。

「~にあたって」

  • テレビに出演するにあたって、2時間かけてメイクをした。

1にあたって

「~に先立って」

  • 試合を始めるに先立って、両チームの代表が選手宣誓をした。

2に先立って

以上、日本語能力試験対策N2文法総まとめ(三修社)などを中心にまとめました。

 

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