日本語能力試験N1レベルの動作動詞について整理します。まず問題を解いてから、意味・用法を確認してください。
(問題は表題の5つから適語を選んでください。必要あれば正しい形に変えてください。回答は各セクションの下部にあります。)
「しゃがむ」「つまずく」「もたれる」「すべる」「ひきずる」
- 雨の日は床が濡れて、( )やすい。
- 電車の床に( )いる若者をよく見かける。
- 道路の段差に( )転んでしまった。
- 一日中歩き通しで最後は足を( )ようにして帰った。
- あそこの壁に( )、格好つけてるのが私の兄です。
しゃがむ | 「しゃがむ」:膝を曲げ、腰を落として姿勢を低くする。 「しゃがんで小石を拾う。」 |
つまずく | 「躓く」:歩いていて誤って足先を物に突き当てよろける 「石につまずいて転倒する。」 |
もたれる | 「凭れる」:人や物に自分の体の重みをあずける。 「壁にもたれて本を読む。」 |
すべる | 「滑る」:物の表面を滑らかに移動する。 「スキーで急斜面を滑り降りる。」 |
ひきずる | 「引きずる」:地面などをすって引いて歩く 「下駄をひきずって歩く。」 |

「しゃがむ」「つまずく」「もたれる」「すべる」
1.すべり、2.しゃがんで、3.つまずいて、4.ひきずる、5.もたれて
「むく」「きざむ」「ほる」「ちぎる」「けずる」
- パンを手で( )食べる。
- リンゴの皮を( )食べよう。
- ネギを細かく( )うどんにのせて食べます。
- ナイフで鉛筆を( )ことがありますか。
- 木を( )、人形を作ります。
むく | 「剥く」:表面、外側をおおっているものを取り去って中身を出す 「ミカンの皮をむく」「目をむく」 |
きざむ | 「刻む」:物を細かく切る。 「ネギをきざむ」 |
ほる | 「彫る」:模様・絵などを刻む、また木や石を削り像を作る。 「墓碑に名前を彫る。」 |
ちぎる | 「千切る」:手などで細かに切り離す。 「花びらをちぎる。」 |
けずる | 「削る」:刃物などで物の表面を薄く切り取る。 「鉛筆を削る。」 |
1.ちぎって、2.むいて、3.きざんで、4.けずった、5.ほって
「さける」「さまたげる」「ふせぐ」「ふさぐ」「どける」
- 犯罪を( )ためには、実は経済の安定が不可欠だ。
- ちょっと車が通れないのでその自転車を( )もらえませんか。
- 国家間の課題解決のために武力を行使するのは( )べきだ。
- 彼は議題と関係のない発言で会議の進行を( )ことがままある。
- 山の斜面からの落石が道を( )いる。
さける | 「避ける」:不利益が生じると予想されることから離れる。 「あいつと関わるのは避けた方がいい。」 |
さまたげる | 「妨げる」:物事の進行、遂行に支障が起こるようにする。 「眠りを妨げる」「発展を妨げる」 |
ふせぐ | 「防ぐ」:好ましくない事態が生じないようにする。 「二次感染を防ぐ」「窓を二重にして寒さを防ぐ」 |
ふさぐ | 「塞ぐ」:あいている個所を覆ったりして妨げる。 「倒れた木が道をふさぐ」「穴をふさぐ」 |
どける | 「退ける」:場所を空けるためそこにあったものを移す。 「事故車両をどけて渋滞を解消する」 |
1.ふせぐ、2.どけて、3.さける、4.さまたげる、5.ふさいで
「つかむ」「にぎる」「つまむ」「はさむ」「ひねる」
- 子どもやお年寄りが回転ドアに( )れる事故が多発している。
- 飲むだけで1か月10キロ痩せるという話に、皆は首を( )
- 救急車が来るまでの間、けが人の手を( )いてあげた。
- 子供が小さい指で豆を上手に( )いる。
- 長い文章だが、要点はだいたい( )ことができた。
つかむ | 「掴む」:手でしっかりと握り持つ。 「腕をつかむ」「まわしをつかむ」 |
にぎる | 「握る」:手の指全部を内側へ曲げ物をつかんだり持ったりする。 「車のハンドルをにぎる」「ペンをにぎる」 |
つまむ | 「摘む」:指先ではさむ。箸などではさみ持つ。 「鼻をつまむ」「塩をつまんで入れる」 |
はさむ | 「挟む」:物と物との間に差し入れる。 「栞を本にはさむ」「ドアに指をはさむ」 |
ひねる | 「捻る」:指先でつまんで回す。身体をねじる。 「コックをひねる」「腰をひねる」 |

「つかむ」「にぎる」「つまむ」「ひねる」
1.はさま、2.ひねった、3.にぎって、4.つまんで、5.つかむ
「おさえる」「かぶせる」「うめる」「はめる」「あわせる」
- 犯人は死体を山の中に( )と言っている。
- このスカートには、あのジャケットを( )と素敵だろう。
- 犠牲者の遺体には青いシートが( )ある。
- 傷口を手で( )、止血した。
- 子どもを型に( )ような教育はよくないと言われる。
おさえる | 「押さえる」:物が動かないように押し付けて力を加える、またはそのような動作。「文鎮で紙をおさえる」「耳をおさえる」 |
かぶせる | 「被せる」:上から覆うようにしてものを載せる。 「布団をかぶせる」「水をかぶせる」 |
うめる | 「埋める」:ある物、物の部分を物でふさぎ見えなくする。 「城の堀を埋める」「壺を庭に埋める」 |
はめる | 「嵌める」:ある形に合うように中に入れておさめる。 「障子を桟にはめる」「手袋をはめる」 |
あわせる | 「合わせる」:二つ以上のものを一つにする、ぴったりさせる。「周辺の町村を合わせて一つの市にする」「心を合わせる」 |

「おさえる」「かぶせる」「はめる」「あわせる」
1.うめた、2.あわせる、3.かけて、4.おさえて、5.はめる
以上、日本語能力試験N1/N2 試験に出る漢字と語彙 (桐原書店)、新明解語源辞典(三省堂)などを参考にしました。
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