接尾辞「~方」と「~よう」

接尾辞「~よう」「~方」

接尾辞「~方」と「~よう」の用法の違いについて考えましょう。

「~方」「~よう」

 「~方」「~よう」は共に動詞のマス形に接続して「方法、動作の様子」をあらわす接尾辞です。

  • 〇 同じことでも、言いによって印象が異なる。
  • 〇 同じことでも、言いようによって印象が異なる。

 上の例では「~方」「~よう」ともに使用でき、意味的にも大差ないように見受けられます。しかし、「~方」しか使えない例、「~よう」しか使えない例もあります。

「~方(かた)」しか使えない例

  • 〇 ChatGPRの使いを教えてください。

  • ✕ ChatGPRの使いようを教えてください。

  • 〇 巻き寿司の作りを教えてください。

  • ✕ 巻き寿司の作りようを教えてください。

  • 〇 駅までの行きがわかりません。

  • △ 駅までの行きようがわかりません。

 以上は「~方」が適しており「~よう」は使いにくい例です。3例目の「駅までの行き方」は「どうやって行くかの道順」がわからないと言っているという意味ですが、「行きよう」と言うとやや不自然で、無理に解釈jすると「駅までどんな交通手段がいいか」わからない、と言っているようにもとれます。つまり

「~方」しか使えない例は「手順」を示す場合
であると言えるでしょう。

「~方」「~よう」両方使える場合

  • 〇 同じことでも言いによって変わる。

  • 〇 同じことでも言いようによって変わる。

  • 〇 彼の意見も見によっては一理ある。

  • 〇 彼の意見も見ようによっては一理ある。

  • 〇 モノは考えだ。

  • 〇 モノは考えようだ。〔慣用句〕

  • 〇 バカとはさみは使い

  • 〇 バカとはさみは使いよう。〔ことわざ〕

 以上の例では「~方」「~よう」のどちらも使えます。「モノは考えよう」「バカとはさみは使いよう」は言い慣れていますが「~方」でも問題なく使えます。

「手順」「プロセス」ではなく、一般的な「方法」を表す時には「~方」「~よう」両方使える
となります。しかし同じく「方法」を示す場合でも、
  • ✕ あの日の富士山はたとえのない美しさだった。

  • 〇  あの日の富士山はたとえようのない美しさだった。

  • ✕ 今、地震が起きたら、逃げがない。

  • 〇 今、地震が起きたら、逃げようがない。

のような例では「~よう」しか使えません。これは、

「~ようがない」「~ようもない」「~ようのない」など否定に終わる場合は、慣用的な表現として「~よう」しか使わない

ことになります。

「~よう」の方が好ましい例

  • 〇 20年ぶりの故郷の変わりように驚いた。
  • △ 20年ぶりの故郷の変わりに驚いた。

  • 〇 彼女の喜びうといったらなかった。

  • △ 彼女の喜びといったらなかった。

  • 〇 教室は蜂の巣をつついたような騒ぎようだった。

  • ✕ 教室は蜂の巣をつついたような騒ぎだった。

 以上のように、

「様子」に力点が置かれる場合は「~よう」
 が使いやすくなります。

「~方」「~よう」使い方(まとめ)

以上まとめると以下のようになります。

「~方」「~よう」まとめ「手順」「方法」「様子」

「~方」「~よう」まとめ「手順」「方法」「様子」

以上、中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)、三省堂国語辞典第八版、などを参考にしてまとめました。

 

 

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