みんなの日本語(初級2)第50課の重要ポイントについて解説します。
第49課の「尊敬語」に続き、第50課では「謙譲語」を学び「みんなの日本語 初級」は終了となります。
謙譲語
尊敬語は2種類。Ⅰ.専用の謙譲語、Ⅱ.お/ご〇〇します、Ⅲ.の二種類。敬度はⅠ>Ⅱです。
謙譲語Ⅰ(専用謙譲語)

①専用謙譲語
特別な形の専用謙譲語で学ぶべきはこの程度です。二つ以上の謙譲語のある「行く、来る」→「参る、伺う」、「言う」→「申す/申し上げる」、「知っている」→「存じている/存じ上げている」は、それぞれ学校文法的に言うと「丁重語/謙譲語」のペアとなります。
日本語教育文法では、あえて丁重語と謙譲語を区別しません。
- 日本から参りました。〔丁重語〕
- 先日、先生のお宅に伺いました。〔謙譲語〕
- 私は山田太郎と申します。〔丁重語〕
- 皆さまに御礼を申し上げます。〔謙譲語〕
- そのように存じます。〔丁重語〕
- その方でしたら存じ上げております。〔謙譲語〕
謙譲語Ⅱ 「お/ご~します」の形
「(お/ご)~します」は、敬意を示す相手に対してする動作をへりくだって行う表現になります。

お/ご~します
「~させていただきます」
「~させていただきます」も一種の謙譲表現として、近年多用されるようになりましたが、これは「話者の単独動作」(休む、帰る)に対して使います。相手に対するアクションの動詞に使うと「お手伝いさせていただきます」「持たせていただきます」などとやると、ちょっと卑屈な感じがしてしまう場合があります。
- 明日は休ませていただきます。
- お先に帰らせていただきます。
- それでは発表させていただきます。
あたりの言い方が無難だと思われます。
専門尊敬語、専門謙譲語まとめ
別々の表を合体します。
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専用敬語(尊敬、謙譲)
ここで学習者に対して念押しのコメント。
「くれる」には尊敬語「くださる」しかない。「あげる」には謙譲語「さしあげる」、「もらう」には謙譲語「いただく」しかない。
授受動詞の復習、「くれる」の主体は相手、「あげる」「もらう」の主体は自分(内)、これがルールでした。
尊敬語は相手が主語、謙譲語は自分が主語
ということもしっかり頭に入っていれば、「くれる」には尊敬語しかない、「あげる、もらう」には謙譲語しかないことは当然ということですね。

あげもらい2021版
以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)などを参考にまとめました。
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