状況からの判断を示す「~ようだ」「~みたいだ」「~らしい」について考察しましょう。
「~ようだ」「~みたいだ」「~らしい」〔状況からの判断〕
- ノックの音がした。彼女が来たようだ。①
- ノックの音がした。彼女が来たみたいだ。②
- ノックの音がした。彼女が来たらしい。③
「~ようだ」は話者が状況から判断して推定したことを表す表現です。「~みたいだ」は「~ようだ」の少しくだけた言い方で明治時代以降に「~見た様だ」からできたものと言われています。
此野だは、どういふ了見だか、赤シャツのうちへ朝夕出入りして、どこへでも随行して行く、丸で同輩じゃない。主従見た様だ。『坊つちゃん』夏目漱石
「~らしい」は「伝聞」を表す場合と「状況からの判断」を表す場合があります。「伝聞」の意味に引っ張られるのか「状況からの判断」として使われた場合も「ようだ」「みたいだ」より、判断の弱さがあるような気がします。
- 昨夜、家の近所で強盗事件があったらしい。〔伝聞〕
- 王さんは咳をしている。風邪を引いているらしい。〔状況からの判断〕
- 王さんは咳をしている。風邪を引いているようだ。〔状況からの判断〕
「~ようだ」「~みたいだ」〔比喩〕
「~ようだ」「~みたいだ」は対象を他のものに例える比喩にもよく使われます。
- あの人がいなくなって、ぽっかりと心に穴が空いたようだ。
- 中国人同士の普通の会話は まるでケンカをしているみたいだ。
比喩を強調するために、「まるで」「あたかも」「さながら」などの副詞を添加する場合もあります。「まるで」「あたかも」「さながら」の違いについては → こちらご参照ください
「比喩」か「状況からの判断」か、わからないケース
「比喩」「状況からの判断」のどちらの意味にもとれるケースもあります。
- あの人は日本人のようだ。
「状況からの判断」の場合は「どうやら」「どうも」、「比喩」の場合は「まるで」「あたかも」などを使うとはっきりさせることができます。
- あの人はどうやら日本人のようだ。〔状況からの判断〕
- あの人はまるで日本人のようだ。〔比喩〕
まとめ「~ようだ」「~みたいだ」「~らしい」
以下にまとめます。

「~ようだ」「~みたいだ」「~らしい」比較
以上、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)、日本語の難問 宮腰賢著 宝島社親書などを参考にまとめました。
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