敬語表現の一つである「お」「ご」を付加するルールを再確認しましょう。
「お」か「ご」か?
以下の言葉に「お」か「ご」を付けてみましょう。すらすらできますか。

「お」か「ご」か?
和語、漢語(語種)
和語には「お」、漢語には「ご」が原則ですから、まず語種に分けてみましょう。

語種で分類
先の原則通りにならない言葉がけっこうあります。
飯
「飯」単体で読めば「めし」で和語、しかし「お」を付けた「おめし」という言葉はなく、「ご飯」は漢語読みで「ごはん」となります。(このあたりは理屈に合ってます)
帽子、洋服、元気、食事、きれい(綺麗)、茶
このあたりは、もともとは漢語なのですが、長く使われているうちに和語のように扱われているので「お」を付けます。
返事
「返事」は「お」を付ける人「ご」を付ける人、さまざまです。この言葉のでき方をたどると、もともと①「かえりごと」という「和語」があった。それに②漢字を当てて「返事」とした。そしていつしか③「返事」を「へんじ」という風に漢語読みするようになったということです。つまり言葉の由来的にも「和語」なのか「漢語」なのかよくわからないので今でも「お返事派」「ご返事派」に分かれています。
便利
慣用的に「お便利」「ご便利」どちらもつきません。「あのコンビニは便利」のように物主語でしか使わないからという意見もありますが、単なる「美化語」としても使われていないようです。謎です。
タバコ、ビール、トイレ
外来語、複合語は基本的に「お」「ご」は付きませんが、「おタバコ」「おビール」「おトイレ」といったあたりは聞くかもしれません。おそらく接待業から生まれた一種の過剰敬語として言い始められたのだと思いますが、「おトイレ」などは使ってもよさそうです。
「お」か「ご」か?(回答)
以上を勘案して、冒頭の30語を分類します。

「お」のつくもの「ご」のつくもの分類
「お」「ご」がつくと丁寧語?
「お」「ご」がつくと「ていねい語(国語文法では美化語)」となるものが多いですが、尊敬語、謙譲語となる場合も多いことを覚えておきましょう。逆に尊敬語、謙譲語としてしか使えない下記のような例もあります。
- わざわざ お電話 ありがとうございました。〔尊敬語〕
- のちほど こちらから お電話 させていただきます。〔謙譲語〕
- ✕ 妹にお電話を かけました。〔ていねい語(美化語)〕
以上、基礎日本語写作教程① 高等教育出版社刊、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック スリーエーネットワーク社刊、などを参考にしました。
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