みんなの日本語(初級1)第21課 教案Tips

みんなの日本語初級第21課
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みんなの日本語(初級1)第21課の重要ポイントについて解説します。

普通形を使う文型(21課 22課 23課)

 21~23課は20課で学習した普通形を使う文型(主に複文)を学習します。

21課では引用の「と」を使った「~と思います」「~と言います」、プラス「~でしょう?」、22課は連体修飾、23課は「~とき」「~と」と続きます。
「て形」(14課~16課)の時と同様、「普通形」に慣れることが重要。またほとんどが「複文」となりますので、導入文型もやや高度になってきます。ナ形容詞、名詞にイレギュラーな接続もあり完全に運用させるためには、ある程度、時間をかけることも必要かと思います。

~と思います

 「I think that~」に相当する「~と思います」ですが、「と」は「引用の補足説を導く助詞」、「思います」をつなげると「思考内容の引用」になります。その思考内容は「みんなの日本語」では「推量」と「意見」に分けています。

思います分類例文
引用思考内容推量
  • 明日、雪が降ると思います。
  • ミラーさんはもう帰ったと思います
  • ミラーさんはこのニュースを知らないと思います。
  • 明日は寒いと思います。
  • 明日もいい天気だと思います。
意見
  • 馬は役に立つと思います。
  • 仕事も家族もどちらも大切だと思います。
  • 日本は物価が高いと思います。
  • 新しい空港はちょっと交通が不便だと思います。
  • 彼の話は本当だと思います。

 接続はすべて20課で学習した「普通形」+「と思います」になります。

「思います」について

「~と思います」はすべて話者の主観的な考えを表すものですから、客観情報の伝達には適しません。その場合は「自発」用法の「思われる」が使えます。

  • (私は)明日、雪が降ると思います。
  • ✕〔天気予報〕明日、雪が降ると思います。→と思われます、でしょう
  • ✕ 本実験結果よりAとBには有意な差があると思う。→と思われる、と考えられる

また話者の個人的な考えでもありますから、主体がは常に話者となります。二人称三人称主体の場合は「~と思っています」が使えます。

  • (私は)明日、雪が降ると思います。
  • ✕ 彼は明日、雪が降ると思います。→と思っています

〔参考〕「思う」と「考える」

 「考える」は第25課で初出となりますが、本課においても「思う」の類語として話題にする必要があるかもしれません。以前「思う」と「考える」について考察した記事から転載し以下に示しておきますので少し復習しておいてください。

「思う」「考える」。どちらも頭脳の働きですが、本質的な差があります。それは何かというと、

自分の意志でコントロールできる(考える)か、できないか(思う)
 ということです。このことから「情緒的か論理的か」、あるいは「一時的か継続的か」という、属性(性質)にあたるものが現れてきます。
「思う」と「考える」

「思う」と「考える」

「思う」と「考える」例文

 例えば「不満に…」「うれしく…」「故郷を…」「母を…」とくれば後に続くのは「思う」であり、「原因を…」「対策を…」なら「考える」となります。このように「情緒・感情」に訴えるものは「思う」、「論理・理性」に関するものは「考える」となりスッキリ分かれます。

 そして突発的な思考、「誰かと思ったらあなたでしたか!」は「誰かと考えたら…」にはならない。つまり「一時的」思考は「思う」である。これに対し「明日まで考える」のように、じっくり思考するのはやはり「考える」でないとおかしいですね。

考える人 以上は「思う」「考える」のどちらかが適した言い方になる例なのですが、

 「死後を思う」と「死後を考える」となると、両方言えるのですが、微妙に意味するところが違ってきます。

 前者は「抑えきれない不安が湧き上がってくる」コントロール不能の感情になり、「死後を考える」だと「死亡後の手続きや段取りを論理的に考えておく」のようなコントロール可能な処理を示すニュアンスがあります。

 「くよくよ思うな△」は何となく変ですが、「くよくよ考えるな〇」は「考える」という動作がコントロール可能であるからこそできるアドバイスなのだ、ということになるわけです。

 以上まとめると以下の表のようになります。

「思う」「考える」例文集

「思う」「考える」例文集

「思う」主観から客観へ

また、「思う」「考える」の主観的表現を受身でどのように客観的表現に変わるかについては、中級から上級の話題になりますが、興味のある方は以下リンクを参照ください。

「思われる」「考えられる」「考えられている」については ⇒ こちら

~と言います

 「~と言います」は「発話内容の引用」となります。「~」の部分に「発話文そのもの」が入る「直接引用」と普通形に変えた「間接引用」に分けて学びます。

言います分類例文
引用発話内容

直接引用

  • ミラーさんは「来週東京へ出張します」と言いました。
  • かぐや姫は「月へ帰らなければなりません」と言いました。
  • 私は課長に「釣りが好きです」と言った。
間接引用
  • ミラーさんは来週東京へ出張すると言いました。
  • かぐや姫は 月へ帰らなければならないと言いました。
  • 私は課長に釣りが好きだと言った。

 間接引用の場合引用説の述部は「普通形」になります。

「~でしょう?」

 「~でしょう?」語尾を上昇口調で言った場合、相手の意向を推察して同意を求める意味になります。普通形接続ですが、ナ形容詞、名詞に接続する場合は「だ」を入れないことに注意喚起します。

  • 明日、パーティーに行くでしょう?
  • 北京は寒かったでしょう?
  • 上海はにぎやか(×だ)でしょう?
「~でしょう」は下降口調で言うと「推量」の意味になります。〔天気予報〕「明日は晴れでしょう。」

以上です。

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