みんなの日本語(初級1)第20課のポイントについて解説します。
普通体
「普通体」は友だち、家族などと話す時の「普通の言葉」という位置づけになります。これに対して、これまで第1課から第19課で学んだ言い方は、すべて「ていねい体」です。日本語は「ソト向き」のていねいな言い方、「ウチ向き」のフランクな言い方の差が大きいということを理解してもらいましょう。文法的には省略や縮約形などが混在しています。
ていねい体 | 普通体 | (文法的位置づけ) |
はい | うん | |
いいえ | ううん | |
持っている | 持ってる | 縮約形 |
持っていない | 持ってない | 縮約形 |
楽しいです | 楽しい | 普通形作り方(後述) |
楽しいですか | 楽しい? | 助動詞、助詞省略 |
元気です | 元気だ | 普通形作り方(後述) |
元気ですか | 元気? | 助動詞、助詞省略 |
どうですか | どう? | 助動詞、助詞省略 |
ありません | ない | 普通形作り方(後述) |
ありませんでした | なかった | 普通形作り方(後述) |
ごはんを食べますか | ごはん食べる? | 格助詞の省略、普通形作り方(後述) |
食べたいですが、食べません。 | 食べたけど、食べない。 | 口語表現、普通形作り方(後述) |
富士山に登ったことがありますか。 | 富士山に登ったことある? | 助詞省略、縮約形 |
普通形
「普通体」はフランクな話し方ですが、「普通形」は「た形」「ない形」などと同じく、一つの形という風に考えてもらいましょう。普通形は第21課~第23課で学ぶ、普通形を使った文型で使うもので、このレベルではむしろそちらの方が大切です。
「普通形」は第21課~第23課で学ぶ、いろいろな複文中の従属節に使う動詞、形容詞等の「形」として導入する。
実際に教えてみても、「フランクな話し方」としての「普通体」はこの段階の学習者が使いこなすには荷が重いような気がします。
普通形の作り方
第21課以降の準備の意味で、動詞、イ形容詞、ナ形容詞の普通形の作り方はしっかりと導入します。
動詞
過去形 | 非過去形 | ||
肯定 | ていねい形 | 行きました | 行きます |
普通形 | 行った〔た形〕 | 行く〔辞書形〕 | |
否定 | ていねい形 | 行きませんでした | 行きません |
普通形 | 行かなかった〔なかった形〕 | 行かない〔ない形〕 |
「行きます」→「行く」辞書形と同じ、「行った」→「行った」た形と同じ、「行きません」→「行かない」ない形と同じ、「行きませんでした」→「行かなかった」これは、ない形の「ない」を「なかった」に変えます。(便宜上「なかった形」とします)
動詞(例外)
「ありません」→「×あらない」、「ありませんでした」→「×あらなかった」は特別です。
過去形 | 非過去形 | ||
肯定 | ていねい形 | ありました | あります |
普通形 | あった〔た形〕 | ある〔辞書形〕 | |
否定 | ていねい形 | ありませんでした | ありません |
普通形 | なかった | ない |
イ形容詞
過去形 | 非過去形 | ||
肯定 | ていねい形 | 楽しかったです | 楽しいです |
普通形 | 楽しかった | 楽しい | |
否定 | ていねい形 | 楽しくなかったです | 楽しくないです |
普通形 | 楽しくない | 楽しくない |
イ形容詞の「普通形」は「ていねい形」から「です」を除くだけです。
ナ形容詞、名詞
ナ形容詞 | 過去形 | 非過去形 | |
肯定 | ていねい形 | 元気でした | 元気です |
普通形 | 元気だった | 元気だ | |
否定 | ていねい形 | 元気じゃなかったです | 元気じゃないです |
普通形 | 元気じゃなかった | 元気じゃない |
「元気です」→「元気だった」、「元気でした」→「元気だった」あたりに注意します。
名詞 | 過去形 | 非過去形 | |
肯定 | ていねい形 | 晴れでした | 晴れです |
普通形 | 晴れだった | 晴れだ | |
否定 | ていねい形 | 晴れじゃなかったです | 晴れじゃないです |
普通形 | 晴れじゃなかった | 晴れじゃない |
ナ形容詞と同じですね。
以上です。
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